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恐怖! 魔王城の怪
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魔王は余裕たっぷり。
「馬鹿な奴らだ。まさか火あぶりにする気か? 我々は何ともないが君は耐えられまい」
出口がない以上一番被害を受けるのは私。彼らには何の影響もないのならばまったくの無駄。
ただ熱い思いするだけなんて最悪だ。などと言うレベルではない。下手したら…… いや下手しなくても確実にお亡
くなりになるレベル。一刻も早く中止させないと。でも連絡手段が無い…… 悲劇的展開。
「確かにあぶり出す作戦は効果的だがそれも効き目があればの話。ただ考え方は悪くない。部下に欲しいぐらいだ」
魔王から一定の評価を得る。
「どうする? 君は黒焦げだ。覚悟できてるか? まあ放っておくのも一興。様子を見るとしようか」
「本気? ホホホ…… 」
「ははは! 」
ダメだ。魔王は本気だ。
まったく馬鹿なんだから。火によって浮かびあがったドッドたち。火を手にこちらに向かってくる。
「誰か! お願い! 早く気づいて! 」
「ふふふ…… 今さら遅い。ここはすぐに火の海さ。残念だが諦めるんだな」
ステーテル絶体絶命のピンチ。頭の悪いナイトを飼ったばっかりに……
内と外ではどうして温度差がこうも違うの?
外
庭まで侵入したドッドたち。火のついた棒を片手に団結。
「さあ行くぞ! 」
「おう! 」
ザッザ!
ザッザ!
「なあ足音がしないか? 」
臆病風に吹かれた者一名。
「俺も聞こえた気がする。なあドッド」
恐怖が伝染する。
「ははは…… ここには他に誰もいる訳ない! そうだろ? 」
「ええ。間違いなく魔王一家しかいないはずだ」
「幽霊? まさか本当に幽霊? 」
「ははあ…… 風だろ。風に決まってる! 」
皆ビビってしまっている。
「馬鹿何やってる! 行くぞ! 」
「しかしドッド」
「まったくどいつもこいつも臆病風に吹かれやがって! 」
やはり王子たちには荷が重すぎるのか?
「俺に続け! 」
先頭を切るドッド。
ザッザ!
ザッザ!
さっきよりもくっきり聞こえる。これは勘違いや風の音なんかじゃない。正真正銘。足音だ。
「うわあああ! 」
恐怖のあまり逃げ出そうとするナイトたち。
ドッドは音がする方に火を向ける。
「おい幽霊! いい加減にしろ! 」
ドッドは怯まない。
「逃げるなお前ら…… まったく情けない連中だ。それでもナイトか? 」
「うん…… その声ドッドじゃない! 」
「まさか…… 」
ガムが姿を現した。
「かわいそうに幽霊になっちまったか」
「ふざけないで! 私はステーテルが心配で戻って来たの」
「一緒じゃないのか? てっきり一緒に捕まったと思ったがな」
「ええ。いろいろあってね。それよりも皆さんお揃いで」
「ははは…… 」
「まさかその火を放つ気じゃないわよね? 」
「ああ。魔王だからな。これくらいしなくてはとてもとても」
「馬鹿なんだから! 」
「何? ドッド様のやり方に口を出すな! 」
「馬鹿なんだから! 」
ドッドは反論できない。
ガムの必死の説得で最悪の事態は免れた。
ガムを加えて作戦タイム。
内。
集団は帰っていく。
「まったく馬鹿な奴らだと思ったがまあ少しはまともな奴もいたんだな。さあ次はどんな手を打ってくる? 」
魔王は嬉しそうに様子を窺う。
「まあ無理だとは思うがな。それよりも君だ」
「まさか…… 」
「ふふふ…… 」
まずい。まずいわ。どうしましょう?
不気味な笑みで見つめる魔王に恐怖する。
「寝るなら用意するが」
意外とまとも。
「親切にどうも。だけど仲間が一生懸命救出しようって時に寝れる訳ないでしょう! 」
「まあそうだな。だが肌にも健康にも悪いぞ」
「もう! 勝手でしょう! 」
「そうかなら好きにしろ! ここで大人しくしてるんだな」
「ちょっと待ってよ。あなたは? 」
「魔王はもう年だからな。もう寝なくて体力が持たない」
はああ? そんな魔王聞いたことない。伝説の魔王も拍子抜け。
「おやすみ。ステーテルさん」
「はいはい」
魔王は自室に戻る。
今が絶好のチャンス。だがナイトたちは動く気配が無い。
もう一体どういうこと?
続く
「馬鹿な奴らだ。まさか火あぶりにする気か? 我々は何ともないが君は耐えられまい」
出口がない以上一番被害を受けるのは私。彼らには何の影響もないのならばまったくの無駄。
ただ熱い思いするだけなんて最悪だ。などと言うレベルではない。下手したら…… いや下手しなくても確実にお亡
くなりになるレベル。一刻も早く中止させないと。でも連絡手段が無い…… 悲劇的展開。
「確かにあぶり出す作戦は効果的だがそれも効き目があればの話。ただ考え方は悪くない。部下に欲しいぐらいだ」
魔王から一定の評価を得る。
「どうする? 君は黒焦げだ。覚悟できてるか? まあ放っておくのも一興。様子を見るとしようか」
「本気? ホホホ…… 」
「ははは! 」
ダメだ。魔王は本気だ。
まったく馬鹿なんだから。火によって浮かびあがったドッドたち。火を手にこちらに向かってくる。
「誰か! お願い! 早く気づいて! 」
「ふふふ…… 今さら遅い。ここはすぐに火の海さ。残念だが諦めるんだな」
ステーテル絶体絶命のピンチ。頭の悪いナイトを飼ったばっかりに……
内と外ではどうして温度差がこうも違うの?
外
庭まで侵入したドッドたち。火のついた棒を片手に団結。
「さあ行くぞ! 」
「おう! 」
ザッザ!
ザッザ!
「なあ足音がしないか? 」
臆病風に吹かれた者一名。
「俺も聞こえた気がする。なあドッド」
恐怖が伝染する。
「ははは…… ここには他に誰もいる訳ない! そうだろ? 」
「ええ。間違いなく魔王一家しかいないはずだ」
「幽霊? まさか本当に幽霊? 」
「ははあ…… 風だろ。風に決まってる! 」
皆ビビってしまっている。
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「まったくどいつもこいつも臆病風に吹かれやがって! 」
やはり王子たちには荷が重すぎるのか?
「俺に続け! 」
先頭を切るドッド。
ザッザ!
ザッザ!
さっきよりもくっきり聞こえる。これは勘違いや風の音なんかじゃない。正真正銘。足音だ。
「うわあああ! 」
恐怖のあまり逃げ出そうとするナイトたち。
ドッドは音がする方に火を向ける。
「おい幽霊! いい加減にしろ! 」
ドッドは怯まない。
「逃げるなお前ら…… まったく情けない連中だ。それでもナイトか? 」
「うん…… その声ドッドじゃない! 」
「まさか…… 」
ガムが姿を現した。
「かわいそうに幽霊になっちまったか」
「ふざけないで! 私はステーテルが心配で戻って来たの」
「一緒じゃないのか? てっきり一緒に捕まったと思ったがな」
「ええ。いろいろあってね。それよりも皆さんお揃いで」
「ははは…… 」
「まさかその火を放つ気じゃないわよね? 」
「ああ。魔王だからな。これくらいしなくてはとてもとても」
「馬鹿なんだから! 」
「何? ドッド様のやり方に口を出すな! 」
「馬鹿なんだから! 」
ドッドは反論できない。
ガムの必死の説得で最悪の事態は免れた。
ガムを加えて作戦タイム。
内。
集団は帰っていく。
「まったく馬鹿な奴らだと思ったがまあ少しはまともな奴もいたんだな。さあ次はどんな手を打ってくる? 」
魔王は嬉しそうに様子を窺う。
「まあ無理だとは思うがな。それよりも君だ」
「まさか…… 」
「ふふふ…… 」
まずい。まずいわ。どうしましょう?
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意外とまとも。
「親切にどうも。だけど仲間が一生懸命救出しようって時に寝れる訳ないでしょう! 」
「まあそうだな。だが肌にも健康にも悪いぞ」
「もう! 勝手でしょう! 」
「そうかなら好きにしろ! ここで大人しくしてるんだな」
「ちょっと待ってよ。あなたは? 」
「魔王はもう年だからな。もう寝なくて体力が持たない」
はああ? そんな魔王聞いたことない。伝説の魔王も拍子抜け。
「おやすみ。ステーテルさん」
「はいはい」
魔王は自室に戻る。
今が絶好のチャンス。だがナイトたちは動く気配が無い。
もう一体どういうこと?
続く
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