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脱出 どっど疲れた
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ついでの王子をお助け。
これが今回の任務であり第一目的。
まあ実際は太郎さえ見つけてしまえばここからオサラバ。その前に第五王子を発見できたのは幸い。
ただ救出と言う意味ではまだ達成されていない。
通り抜けなければならない難関がいくつもある。
さあここからが大変。
「ちょっと出しなさい! 私はド・ラボーなのよ? 」
大声で騒ぎ立てる。
「うるさい! 大人しくしてろ! 」
「こんな粗末な牢屋にそれも殿方と一緒だなんて恥ずかしくて死んでしまいそうだわ! 」
「ああもう本当にうるせいな! ほらこれでも食って大人しくしてろって」
粗末な牢屋に粗末な食事。
肉もなければ魚もない。ただパンとスープだけ。どんどん冷めてしまっている。
食後のフルーツと質素だが決してまずいわけではない。
ああ困ってしまう。怒るに怒れない。
何か中途半端なのよね。
「ねえ! 」
「うるせいな! 食ったらとっとと寝ろ! 」
男の上からの態度が我慢ならない。だが拷問されることもない。
意外と丁重に扱われている?
隠さずにド・ラボーの身分を明かしのが功を奏しているようだ。
ガムも無事だといいんだけど……
「王子! ご心配なく。必ず帰れますからね」
「うーん」
すっかり甘えて今は寝ている。
可愛らしい寝顔。どことなく私の幼いころに似ている。
ふふふ……
ふいに昔を思いだす。
太郎とは短い間だったけど……
国王挨拶の際に隣にいた男性がたぶん太郎。
内気な性格は治っていない。王子としては少し情けなかった。
いくら甘やかされているとはいえもう少し鍛えてれば少しは違った印象になっていただろう。
王子とも二言、三言話しただけで完全に太郎だったかまでは確証が今一つ。
大きくなった太郎に会ったのはその日が初めて。
それから姿を見ることはなかった。
風の噂ではイーチャットで政変が起き第三王子である太郎が幽閉されたと聞かされた。
あの時太郎は私をどう思ったのだろう。
一人の女性として見た?
気付いて懐かしんでいた?
寡黙で心も閉ざしていたように見えた太郎。
二人にとってあの時がラストチャンスだった。
想いをしっかり伝えることがどうしてもできなかった。
だって太郎なんですもの。私の可愛い子分。
まさか好きとか嫌いとかそんな変な感情が入り乱れているのが不思議で仕方なかった。
大きくなった太郎。もう何も言うことはない。ただ抱きしめてあげたかった。
今その時が近づいている。
さあ太郎を探し出すのよ。
ガチャガチャ!
突然鍵が開く音がした。
騒がしい。まさかこんな夜中に何が?
「ステーテル! ステーテル! 」
ガムが呼んでいる。
まさか自力で脱出できた?
「さあ王子を連れてこちらへ」
なぜかガムは自由の身。
言われるまま熟睡している王子を連れて後を追う。
「こちらです。急いで! 」
後ろを振り返る。
大丈夫追手はかかっていないようだ。
発覚するのは早くても明日の朝。もう日を跨いだから正確には今日か。
大騒ぎになるだろうな。まあ当然か。
そこまでに何とかこの国から離れる必要がある。
はあはあ
はあはあ
影が二体動いた。
あれガム以外に誰かいる?
手引きしたハッシャの裏切者。
こちらから見れば救世主。でも裏切ってはただで済まないはず。そこまでする人物と言えば……
まさか太郎?
「懐かしいですか? 」
「ガム? その方は太郎…… 」
「ははは! 違うよ。スティ―」
「誰よあんた? 」
「そうそうそれがいつもの君だった」
「まさか本当に太郎? 」
「馬鹿だな。そんな訳ないだろ! 」
一体誰なの? 私を知るこの男は? 男よね?
ついに正体が明らかになる。
「忘れちまったのか? ドッドだよ」
ドッド? ワル仲間のドッド? 確か最年長の口うるさいドッド。
でもなぜ彼がハッシャに?
「へへへ…… 久しぶりスティー」
懐かしい…… ああ! ドッドがいれば安心だ。
安心したら気が抜けた。もう力が入らない。
どうしましょう?
続く
これが今回の任務であり第一目的。
まあ実際は太郎さえ見つけてしまえばここからオサラバ。その前に第五王子を発見できたのは幸い。
ただ救出と言う意味ではまだ達成されていない。
通り抜けなければならない難関がいくつもある。
さあここからが大変。
「ちょっと出しなさい! 私はド・ラボーなのよ? 」
大声で騒ぎ立てる。
「うるさい! 大人しくしてろ! 」
「こんな粗末な牢屋にそれも殿方と一緒だなんて恥ずかしくて死んでしまいそうだわ! 」
「ああもう本当にうるせいな! ほらこれでも食って大人しくしてろって」
粗末な牢屋に粗末な食事。
肉もなければ魚もない。ただパンとスープだけ。どんどん冷めてしまっている。
食後のフルーツと質素だが決してまずいわけではない。
ああ困ってしまう。怒るに怒れない。
何か中途半端なのよね。
「ねえ! 」
「うるせいな! 食ったらとっとと寝ろ! 」
男の上からの態度が我慢ならない。だが拷問されることもない。
意外と丁重に扱われている?
隠さずにド・ラボーの身分を明かしのが功を奏しているようだ。
ガムも無事だといいんだけど……
「王子! ご心配なく。必ず帰れますからね」
「うーん」
すっかり甘えて今は寝ている。
可愛らしい寝顔。どことなく私の幼いころに似ている。
ふふふ……
ふいに昔を思いだす。
太郎とは短い間だったけど……
国王挨拶の際に隣にいた男性がたぶん太郎。
内気な性格は治っていない。王子としては少し情けなかった。
いくら甘やかされているとはいえもう少し鍛えてれば少しは違った印象になっていただろう。
王子とも二言、三言話しただけで完全に太郎だったかまでは確証が今一つ。
大きくなった太郎に会ったのはその日が初めて。
それから姿を見ることはなかった。
風の噂ではイーチャットで政変が起き第三王子である太郎が幽閉されたと聞かされた。
あの時太郎は私をどう思ったのだろう。
一人の女性として見た?
気付いて懐かしんでいた?
寡黙で心も閉ざしていたように見えた太郎。
二人にとってあの時がラストチャンスだった。
想いをしっかり伝えることがどうしてもできなかった。
だって太郎なんですもの。私の可愛い子分。
まさか好きとか嫌いとかそんな変な感情が入り乱れているのが不思議で仕方なかった。
大きくなった太郎。もう何も言うことはない。ただ抱きしめてあげたかった。
今その時が近づいている。
さあ太郎を探し出すのよ。
ガチャガチャ!
突然鍵が開く音がした。
騒がしい。まさかこんな夜中に何が?
「ステーテル! ステーテル! 」
ガムが呼んでいる。
まさか自力で脱出できた?
「さあ王子を連れてこちらへ」
なぜかガムは自由の身。
言われるまま熟睡している王子を連れて後を追う。
「こちらです。急いで! 」
後ろを振り返る。
大丈夫追手はかかっていないようだ。
発覚するのは早くても明日の朝。もう日を跨いだから正確には今日か。
大騒ぎになるだろうな。まあ当然か。
そこまでに何とかこの国から離れる必要がある。
はあはあ
はあはあ
影が二体動いた。
あれガム以外に誰かいる?
手引きしたハッシャの裏切者。
こちらから見れば救世主。でも裏切ってはただで済まないはず。そこまでする人物と言えば……
まさか太郎?
「懐かしいですか? 」
「ガム? その方は太郎…… 」
「ははは! 違うよ。スティ―」
「誰よあんた? 」
「そうそうそれがいつもの君だった」
「まさか本当に太郎? 」
「馬鹿だな。そんな訳ないだろ! 」
一体誰なの? 私を知るこの男は? 男よね?
ついに正体が明らかになる。
「忘れちまったのか? ドッドだよ」
ドッド? ワル仲間のドッド? 確か最年長の口うるさいドッド。
でもなぜ彼がハッシャに?
「へへへ…… 久しぶりスティー」
懐かしい…… ああ! ドッドがいれば安心だ。
安心したら気が抜けた。もう力が入らない。
どうしましょう?
続く
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