ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

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謁見 (第)八王子舐めるな!

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笑顔の第一王子が姿を見せた。

敵か? 味方か?

「これはこれはお美しい」

挨拶を済ませローパーに乗り込む。

さあ、いざコンプラ王国へ。ゴー!


ルーパは徐々にスピードを上げる。

王子は緊張してるのかなぜか無口だ。私も合わせるしかない。

うるさい女。騒がしい女だと思われたくない。

あーあ。

窓の景色を楽しむこともできずただ時間だけが過ぎて行く。

ローパ―には重苦しい空気が流れた。

ガムも何もしゃべってくれない。困ったなあ……

長い沈黙の後大きな音を立てローパ―が止まった。


「さあ着きましたよ。足元にお気を付けください」

王子のエスコートによって降ろされる。

「きゃあ! 」

段差で転びそうになる。

「大丈夫ですか? 」

常に紳士的な王子。抱き着いても決して取り乱したりせずに優しく抱き締めてくれる。

「こちらです」

目の前には強烈な緑の物体。

周りの山々に同化するように緑の建物が建てられている。

「ようこそ我が城へ。ご招待します」

王子の背中について行く。


「ふふふ…… 」

「ガム? 」

「どうやら気に入られたようですね。この調子でお願いします」

ガムは喜んでいるのか怒っているのか良く分からない。まさか嫉妬してる?

「ねえ。ガムこれからどうすればいい? 」

「ですから太郎王子の居所を突き止めるのです。何度言えば分かるんですか? 」

「それくらい分かってる。その方法を聞いてるの! 」

「はあ…… あの王子か国王にでも聞いてみるのはどうでしょう? 」

ようやく本来のガムに戻ったようで的確なアドバイス。

「どうしたステーテル? 」

前方から王子の心配する声。
 
「少々疲れております」

「それはいけない。ゆっくり休んでいくといい」


王子の案内で城の中を見学。

「こら何をしてる! 」

邪魔が入る。

随分ベテランのメイド。メガネのせいで目つきが悪い。

怖そう……

「ほらこっちですよ! もう困ったわね」

「私たちは王子の招待を受けまして…… 」

「はあ? 嘘おっしゃい! 新米のくせに! 」

ガムでも太刀打ちできない。

「いいからこっちに来なさい! ああもう壁に触れない! もう気をつけてよね」

どうやら勘違いしてるようだ。

「ははは! 」

「もう王子様ったら! 」

「済まん済まん。どうやら君たちを新人メイドと間違えたようだね」

そう言えば長旅で服も変えていない。過酷な旅のせいで服もボロボロ。これじゃ仕方がないか。

「ああその壁触らないように。壊れやすくなってるからね」

どうしろと言うのでしょう?

「ではそろそろ」


コンプラ国王挨拶。

「よく来たな。歓迎するぞ! しかし何だその貧相な身なりは…… まあいいか」

国王らしき渋いお顔のおじさま。溌剌としておりまだまだお若い。

この若き国王がコンプラ王国を支配している。

ぎゃあ!
うぎゃあ!

「済まんな。生まれたばかりなのだ」

赤ん坊の泣き声が響き渡る。

「元気だろう? 今日生まれたのだ。これで八人目だ。どうだ見ていくか? 少しなら構わないぞ」

大変ご機嫌な国王。よっぽどのことが無ければ怒りはしないだろう。

せっかくの国王の誘い。本来なら見ていくのが礼儀。その上で褒めちぎるのがマナーかもしれない。

でも生憎今はそんな遊びに付き合っていられない。

「申し訳ありません。単刀直入に申し上げます」

ガムが前に出る。

「ほう八人目の王子の顔を見たくないと申すか? 」

「いえそのようなことは一切考えておりません」

「第八王子舐めるな! 」

つい熱くなってしまう国王。

「父上! 」

「済まん済まん。つい感情的になってしまった。許してくれるな? 」

そう言われては何も言えない。ただ頷くのみ。


自己紹介を済ます。

「おお! ド・ラボーとは珍しいな。それでここには何の用があって来た? 」

国王の鋭い質問が飛ぶ。

「まあ、父上も興奮なさらずに」

「実は…… 」

ガムが今までの経緯を話す。

「そうかそれは辛かったな。これからはここで幸せに暮らすといい」

国王は完全に花嫁候補として見ている。ド・ラボーなのだから当たり前と言えば当たり前。

何と言っても王子は赤ん坊を含めて八人。誰にすればいいか逆に迷ってしまう。


「ではステーテルさん。また今夜にでも」

国王はそう言うと赤ん坊の元へ。


               続く
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