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選択の時 太郎王子との関係

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「王子が見つかりました。囚われの太郎王子の居場所が分かったのです! 」

太郎王子? 

その言葉がガムの言葉から出てきたことに驚いている。

半ばあきらめていた太郎。まさか……

初恋の相手であり大切な仲間。

消息不明のイーチャット第三王子。

太郎と命名したのは私。

政変が勃発し太郎王子は幽閉されたと聞かされている。今回の王位継承争いと構図は同じだ。


「今更そんなこと言われても…… 私にどうしろと? 」

「奪還するんです! そして一緒になられる。それがあなたの本当の使命なのです」

「ちょっと待ってよ。そんな話聞いてない! 」

「まさにあの夜だったんですよ」

「ガムの様子がおかしかったあの時? 」

ガムが答える。

「ええ。ここナナチャットにはヤ―チャットの者も多数。たぶんカジノが目当てでしょう。
彼らは色々な情報を教えてくれました。ただタレイの言っていた空飛ぶ馬車はちょっと…… 」

なおも続けるガム。

「とにかくヤ―チャットの者から太郎王子らしき人物が囚われていると言う情報がありました。
もちろん裏を取りました。ええ。間違いありません。少なくても三か月前まで居たと証言があります。
ですのでほぼ間違いありません」


「まさか…… 」

太郎王子とは幼馴染。と言っても悪友だった訳だけど。

「あの日太郎王子の居所が判明。あなたに知らせようか悩んでいました。でもあなたはここでサンスリン様に夢中でしたよね? ですからためらいがあったのです」

「私がどちらを取るか? 
ええ、もちろんその話を聞けばサンスリン様を蹴って太郎王子に行ったでしょう。二択に迷いはありません」

「そう、できたら私も選択肢としてあってくれたら…… だから言うのを止め、新しい恋に走ろうと思った。
でもステーテルが私を引き止めてしまった」

「いえ、まったくそんなつもりないんだけど…… 」


それからは余計関係が悪化し今日を迎えた。

ガムの葛藤が明らかになる。ガムは私との関係に本当に悩んでいた。その為余計に言い出しづらい状況に。

そしてガムはついに告白。

私との関係を清算し太郎王子について語った。

ガムは必死だった。私はガムと仲直りがしたかった。

両者の思惑が一致した。

「汚いやり口」

ガムの後悔も良く分かる。でも私だって拒否しなかった。

ガムが悪いんじゃない。ガムだけが悪いんじゃない。私にも問題があった。

ガムが泣くなら私だって一緒に。

抱き合って涙を流した。

もう抱き合うこともない。そう思っていた。

さっきまでの二人とは違う。

もうただのド・ラボーとお付の者でしかない。


寝不足のまま朝を迎える。

「ははは! 眠れなかったのか? 」

タレイが姿を現した。

ここ数日まったく見ていなかった。乱射王子が解放され危険が去ったと判断したのだろう。

でもあの乱射王子を本当に許す気? 私はお勧めできない。


ついに乱射王子の処分が決まる。

国外追放。

タレイと共に二度とナナチャットに足を踏み入れることを禁じた。

「ここでお別れだな」

当初の予定よりも随分遅れてナナチャットを離れる二人。

トラブルメーカーの王子と一緒に回るのは危険。私としても二度とお会いしたくないものだわ。

さあ乱射王子の件も片付いた。

私たちもそろそろ新しい旅に出かける頃合い。

ガムとの関係も一応改善した。思い残すことはもうない。

さあサンスリン様にお別れを伝えようではありませんか。


「サンスリン様! サンスリン様! 」

「おお! 愛しのステーテル。このバラを君に捧げたい」

可愛らしい笑顔の王子。この可愛らしい笑顔が一瞬で消えてしまうと思うと気の毒だ。

王子は仰々しく跪く。

「ステーテル…… 」

王子は断られるなどとは夢にも思っていないのかへらへらしている。

ごめんなさいサンスリ様……

                    続く
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