ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

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許して! 狂ったガム

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コンコン
コンコン

ガムが様子を見にやって来た。仲直りの絶好のチャンス!

あの件以来ガムとはほとんど口を利いていなかった。

そのせいで今度の作戦は傍観者。

私だって知っていたら少しはお手伝いできたのに。

ガムと国王の綿密な作戦でワンド王子の悪だくみを阻止できたのは確かに良かったと思ってる。

でもやっぱり一言あってもいいじゃない。誰にも言いません。顔にだって出しません。

私はド・ラボーなのよ? どれだけ驚いたか。どれだけ心配したか。

本当に困った人たち。

今になって怒りが込み上げてくる。


「ガム! 」

「どうしたのステーテル? 顔が真っ赤よ」

余裕のガム。余計に頭に来る。

「知らない! ガムなんて知らない! 」

「あらあら我がままなステーテル」

「知らない! 知らない! 」

「もうステーテルは本当に子供なんですから」

そう言われると何も言えなくなってしまう。


「今回の件は本当に申し訳なく思っています。ですがこれも国王の判断。私にはどうすることもできませんでした」

国王のせいにするガム。本当かなあ?

「どうして言ってくれなったの? 」

「酷い? 」

「うん。当たり前でしょう! 」

「でもあなたの方が先に酷いことをしたでしょう。違いますか? 」

ガムは後をつけたことを根に持っている。

「あれくらい別に…… 」

私にだって秘密の一つや二つある。ステーテル! あなたにだってあるでしょう? 」

干渉するなということらしいが実際にはない。だってガムに黙っていてもいつの間にか知られているのだから。

隠しごとは苦手。あるとすれば過去ぐらい。

ガムと出会う前はそれは色々と悪さをしていた。


「悪かったってガム! 謝るから! 」

頭を下げる。

ド・ラボーがお付の者に下げるのです。文句ないはず。ガムだって許してくれる。

これですべて解決。明日から元の二人に戻る。そんな風に思い描いていた。

「ふふふ…… もっと深く。そんなもの? 」

挑発するガム。らしくない。

「ガム…… お願い許して! 」

「許しません! 」

「もうどうしたらいいの? 」

「自分でお断りするんですね。そうしたら許してあげる」

ガムにはお見通しのようだ。サンスリン様への思いが薄れていることが。

「分かった。自分で何とかする」

「いえ無理にする必要はありません」

どっち? ふざけてるのかしら。

「よく考えてください。ここでお相手の王子が見つかれば晴れて私もお役御免となる訳ですから」

「ガムったら意地悪なんだから! 」

もうサンスリン様から心が離れているって知ってるくせに。

「サンスリン様は諦めます。もちろん自分でお断りします」

「そうそれは残念」

笑ってる。一体何なの?


「今夜はこれではまだ許せませんね」

「ガム! お願い! 」

「しかしそれでは話が違います」

「ガム…… 」

「そんな顔をしない! 」

「どうしたらいいのガム? 」

「もう自分で考えてください」

ガムとの関係が改善されようとしている。ここで余計なことをすれば修復不可能になるのは目に見えている。

どうしたらいい?


ガムが望むもの。それは王子様。ガムにサンスリン様を譲るとか?

でもサンスリン様では幼過ぎて釣り合わない。

だったらエルス王子を紹介?

ううん。ここは乱射王子の出番?

ああ! 頭が混乱する。

もうお付の者にここまでしなければダメなわけ?


「ふふふ…… もう許してあげるって思ったけど。可愛いからもう少しだけ。でも…… ダメみたい」

ガムが豹変。

「ガム? 」

「ステーテル。あなたは今何がしたい? 」

「えっと…… 全て忘れて眠りたい」

「一人で? 」

「えっ? 」

ベットに視線が行く。

続いてガムを見る。

「ガムあなたまさか…… 」


二人の関係はそれは深かった。愛を確かめ合ったこともあった。

でも…… ガムが分からない。

「まさかお姉さま…… 」

「ふふふ…… そう言うこと」

ガムの考えと私の想いはまったく異なる。

でも…… これはこれで悪くない。

二人の関係が元に戻った。いや深まった?


ガムに全てを捧げる。

「ステーテル! 」

「ガム…… 」

こんなことが許されるの?

               続く
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