77 / 124
許して! 狂ったガム
しおりを挟む
コンコン
コンコン
ガムが様子を見にやって来た。仲直りの絶好のチャンス!
あの件以来ガムとはほとんど口を利いていなかった。
そのせいで今度の作戦は傍観者。
私だって知っていたら少しはお手伝いできたのに。
ガムと国王の綿密な作戦でワンド王子の悪だくみを阻止できたのは確かに良かったと思ってる。
でもやっぱり一言あってもいいじゃない。誰にも言いません。顔にだって出しません。
私はド・ラボーなのよ? どれだけ驚いたか。どれだけ心配したか。
本当に困った人たち。
今になって怒りが込み上げてくる。
「ガム! 」
「どうしたのステーテル? 顔が真っ赤よ」
余裕のガム。余計に頭に来る。
「知らない! ガムなんて知らない! 」
「あらあら我がままなステーテル」
「知らない! 知らない! 」
「もうステーテルは本当に子供なんですから」
そう言われると何も言えなくなってしまう。
「今回の件は本当に申し訳なく思っています。ですがこれも国王の判断。私にはどうすることもできませんでした」
国王のせいにするガム。本当かなあ?
「どうして言ってくれなったの? 」
「酷い? 」
「うん。当たり前でしょう! 」
「でもあなたの方が先に酷いことをしたでしょう。違いますか? 」
ガムは後をつけたことを根に持っている。
「あれくらい別に…… 」
私にだって秘密の一つや二つある。ステーテル! あなたにだってあるでしょう? 」
干渉するなということらしいが実際にはない。だってガムに黙っていてもいつの間にか知られているのだから。
隠しごとは苦手。あるとすれば過去ぐらい。
ガムと出会う前はそれは色々と悪さをしていた。
「悪かったってガム! 謝るから! 」
頭を下げる。
ド・ラボーがお付の者に下げるのです。文句ないはず。ガムだって許してくれる。
これですべて解決。明日から元の二人に戻る。そんな風に思い描いていた。
「ふふふ…… もっと深く。そんなもの? 」
挑発するガム。らしくない。
「ガム…… お願い許して! 」
「許しません! 」
「もうどうしたらいいの? 」
「自分でお断りするんですね。そうしたら許してあげる」
ガムにはお見通しのようだ。サンスリン様への思いが薄れていることが。
「分かった。自分で何とかする」
「いえ無理にする必要はありません」
どっち? ふざけてるのかしら。
「よく考えてください。ここでお相手の王子が見つかれば晴れて私もお役御免となる訳ですから」
「ガムったら意地悪なんだから! 」
もうサンスリン様から心が離れているって知ってるくせに。
「サンスリン様は諦めます。もちろん自分でお断りします」
「そうそれは残念」
笑ってる。一体何なの?
「今夜はこれではまだ許せませんね」
「ガム! お願い! 」
「しかしそれでは話が違います」
「ガム…… 」
「そんな顔をしない! 」
「どうしたらいいのガム? 」
「もう自分で考えてください」
ガムとの関係が改善されようとしている。ここで余計なことをすれば修復不可能になるのは目に見えている。
どうしたらいい?
ガムが望むもの。それは王子様。ガムにサンスリン様を譲るとか?
でもサンスリン様では幼過ぎて釣り合わない。
だったらエルス王子を紹介?
ううん。ここは乱射王子の出番?
ああ! 頭が混乱する。
もうお付の者にここまでしなければダメなわけ?
「ふふふ…… もう許してあげるって思ったけど。可愛いからもう少しだけ。でも…… ダメみたい」
ガムが豹変。
「ガム? 」
「ステーテル。あなたは今何がしたい? 」
「えっと…… 全て忘れて眠りたい」
「一人で? 」
「えっ? 」
ベットに視線が行く。
続いてガムを見る。
「ガムあなたまさか…… 」
二人の関係はそれは深かった。愛を確かめ合ったこともあった。
でも…… ガムが分からない。
「まさかお姉さま…… 」
「ふふふ…… そう言うこと」
ガムの考えと私の想いはまったく異なる。
でも…… これはこれで悪くない。
二人の関係が元に戻った。いや深まった?
ガムに全てを捧げる。
「ステーテル! 」
「ガム…… 」
こんなことが許されるの?
続く
コンコン
ガムが様子を見にやって来た。仲直りの絶好のチャンス!
あの件以来ガムとはほとんど口を利いていなかった。
そのせいで今度の作戦は傍観者。
私だって知っていたら少しはお手伝いできたのに。
ガムと国王の綿密な作戦でワンド王子の悪だくみを阻止できたのは確かに良かったと思ってる。
でもやっぱり一言あってもいいじゃない。誰にも言いません。顔にだって出しません。
私はド・ラボーなのよ? どれだけ驚いたか。どれだけ心配したか。
本当に困った人たち。
今になって怒りが込み上げてくる。
「ガム! 」
「どうしたのステーテル? 顔が真っ赤よ」
余裕のガム。余計に頭に来る。
「知らない! ガムなんて知らない! 」
「あらあら我がままなステーテル」
「知らない! 知らない! 」
「もうステーテルは本当に子供なんですから」
そう言われると何も言えなくなってしまう。
「今回の件は本当に申し訳なく思っています。ですがこれも国王の判断。私にはどうすることもできませんでした」
国王のせいにするガム。本当かなあ?
「どうして言ってくれなったの? 」
「酷い? 」
「うん。当たり前でしょう! 」
「でもあなたの方が先に酷いことをしたでしょう。違いますか? 」
ガムは後をつけたことを根に持っている。
「あれくらい別に…… 」
私にだって秘密の一つや二つある。ステーテル! あなたにだってあるでしょう? 」
干渉するなということらしいが実際にはない。だってガムに黙っていてもいつの間にか知られているのだから。
隠しごとは苦手。あるとすれば過去ぐらい。
ガムと出会う前はそれは色々と悪さをしていた。
「悪かったってガム! 謝るから! 」
頭を下げる。
ド・ラボーがお付の者に下げるのです。文句ないはず。ガムだって許してくれる。
これですべて解決。明日から元の二人に戻る。そんな風に思い描いていた。
「ふふふ…… もっと深く。そんなもの? 」
挑発するガム。らしくない。
「ガム…… お願い許して! 」
「許しません! 」
「もうどうしたらいいの? 」
「自分でお断りするんですね。そうしたら許してあげる」
ガムにはお見通しのようだ。サンスリン様への思いが薄れていることが。
「分かった。自分で何とかする」
「いえ無理にする必要はありません」
どっち? ふざけてるのかしら。
「よく考えてください。ここでお相手の王子が見つかれば晴れて私もお役御免となる訳ですから」
「ガムったら意地悪なんだから! 」
もうサンスリン様から心が離れているって知ってるくせに。
「サンスリン様は諦めます。もちろん自分でお断りします」
「そうそれは残念」
笑ってる。一体何なの?
「今夜はこれではまだ許せませんね」
「ガム! お願い! 」
「しかしそれでは話が違います」
「ガム…… 」
「そんな顔をしない! 」
「どうしたらいいのガム? 」
「もう自分で考えてください」
ガムとの関係が改善されようとしている。ここで余計なことをすれば修復不可能になるのは目に見えている。
どうしたらいい?
ガムが望むもの。それは王子様。ガムにサンスリン様を譲るとか?
でもサンスリン様では幼過ぎて釣り合わない。
だったらエルス王子を紹介?
ううん。ここは乱射王子の出番?
ああ! 頭が混乱する。
もうお付の者にここまでしなければダメなわけ?
「ふふふ…… もう許してあげるって思ったけど。可愛いからもう少しだけ。でも…… ダメみたい」
ガムが豹変。
「ガム? 」
「ステーテル。あなたは今何がしたい? 」
「えっと…… 全て忘れて眠りたい」
「一人で? 」
「えっ? 」
ベットに視線が行く。
続いてガムを見る。
「ガムあなたまさか…… 」
二人の関係はそれは深かった。愛を確かめ合ったこともあった。
でも…… ガムが分からない。
「まさかお姉さま…… 」
「ふふふ…… そう言うこと」
ガムの考えと私の想いはまったく異なる。
でも…… これはこれで悪くない。
二人の関係が元に戻った。いや深まった?
ガムに全てを捧げる。
「ステーテル! 」
「ガム…… 」
こんなことが許されるの?
続く
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話

あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」
結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は……
短いお話です。
新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。
4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる