ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

文字の大きさ
上 下
72 / 124

それぞれの思惑 超絶不利サンスリン様

しおりを挟む
早朝。謁見の間へ。

再謁見。

昨日に続き国王のご様子を窺う。落ち着きを取り戻されている。

国王のお体が心配できたのですが…… もちろん乱射王子のことも気がかり。心配で心配で夜も眠れない。

「お体はもうよろしいのでしょうか? 」

「済まぬな。昨日は取り乱してしまったようだ」

乱射王子の的になり命からがら逃げてきた国王。

怒りも恐怖も悲しみもあるのでしょう。しかしそれを悟られないように笑みを湛えている。

「あ奴には驚かされたわ。ほほほ…… 」

もうすっかり元気になられている。

「ではお許し願いませんでしょうか? 」

「ならん! それはできん話だな」

やはり相当お怒りになられているようだ。もう困ってしまう。

「しかし…… 」

「ならんものはならん! 」

頑固な国王には本当に困ってしまう。助命は諦めるしかない。

これではもはや奪還するしか手はない。

でも待って…… 果たして私はあの乱射王子にそこまでの義理があったかしら?

いくらかわいそうだと思ってもこれ以上は無理。うん。ここは見守るしか方法はないみたい。


「それで何の御用でしょうか? 」

乱射王子の件はついで。国王に直々に呼び出されていた。

まさか早く選べなどと急かすつもり?

もちろん現段階ではサンスリン様しかありえない。

「そうであった。実はな…… 」

前に来るように命じる。何かよほどのことがあるに違いない。

静かに語りだした。

「我が王子サンスリンが二日後に二十歳を迎える。そこであるイベントが開催される。どうだ三人から何か聞いていないか? 」

王子たちの動向を伺っている。なぜ? このタイミングで?

「どうだ何か知っておるか? 聞かされておるなら教えてくれないか? 」

エルス様からお誘いがあった。

しかしこのことは口外するなと言われている。もちろん国王にも漏らす訳にはいかない。

首を振る。

「いえ…… 何も聞かされていません」

弟の為に動いているエルス様を売るような真似はできない。他言無用と言われている。

「そうか。ならよいのだ。ニ日後に盛大に行われる。ぜひとも二人には参加してもらいたい」

国王もそれ以上のことは言わずに謁見を終える。

国王の様子がおかしい。まだ乱射王子の件が尾を引いている?


ガムと別れて単独行動。

エルス様からガムにも漏らすなと止められているしガムとの関係が悪化している。

ガムも用事があると言っていた。

さあエルス様のところへ。あー面倒臭いなあ……


体を動かす。走ったかと思ったら今度はゆっくり歩く。

つかみどころのない特訓。その成果は徐々に現れ始めている。エルス様について行けるようにまでなった。

「よくやった。ステーテル! 」

「ありがとうございます」

「合格だ。さあ後は休んでくれ」

どうやら秘密の特訓はこれでお終いらしい。

「ねえエルス様? これが何か役に立つのですか? 」

「ステーテルも心配性だな。サンスリンもきっと喜んでくれるだろう」

良く分からずに特訓に付き合っていたが何かが変だ。

おかしい。一体エルス様は何を隠しているのでしょう?


当日。

サンスリン様二十回目の誕生日。

今日で二十歳になられたわけだ。

「おめでとう」

「おめでとうございます」

皆から祝福を受ける今日の主役・サンスリン様。

パンパン!

国王が手を叩く。

「さあそろそろ始めるぞ! 」

「父上? 」

「そうか。サンスリン王子には言ってなかったな。サンスリンよ。お前が二十歳となった今、王位を次の者に譲りたいと思う。どうだろう皆の者? 」

「賛成! 」

「国王様を支持します」

「お前らはどうだ? 」

二人の王子は賛成に回る。サンスリン様は困惑気味。

「父上がそうおっしゃるのでした従うのみです」

「サンスリン王子には酷かもしれんがまあこれがこの国のルール。では誰か説明してやってくれ」

国王は一旦下がり後を執事に任せる。


「ええでは今から説明いたします」

ついに全貌が明らかになる。

                続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」 結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は…… 短いお話です。 新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。 4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

処理中です...