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ガムの秘密 風変わりな夜のお店
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二名様ご案内。
タレイの話ではお食事するところだとか。
本当に大丈夫? いまいち信用できないのよね。
「きゃあ! 」
入ってすぐ真っ暗闇。つまずきそうになる。
「大丈夫だって」
歩きだすとすぐに眩しいくらいの光が店内を照らす。
目によろしくない光線と耳によろしくない大音量の音楽。
ああ、くらくら。目まいがする。苦手なのよね……
「こっちだ! 」
店内は満席。
皆お酒やたばこを楽しんでいる。
ぎゃあ!
ぎゃあ!
下品な叫び声。集団で騒いでいるのかとても不気味。
まるで怪鳥ジャスラのようだ。
声の主は男に入れあげている年配女性。
ここは一体?
お洒落なレストラン? でも何か変なのよね。
女性一人に対して男性が囲むように四人。隣も女性二人に対して男性が三人。その隣も女性三人にして男性五人。
こんな風におかしな状況が続く。なぜかしら……
男の方はずいぶんと若そう。
女性は若い人もいれば年配の方もいる。バラバラだ。
「いらっしゃい。今はちょっと…… 」
混んでいるらしくもう少しかかるそうだ。
「ああ。奥の席空いてる? 」
「すみません。今は…… 」
「ああ気にするな」
タレイは強引に歩き始めた。
「ああ…… お待ちください! 」
制止を振り切って店内の奥に消えていくタレイ。私も仕方なくついて行く。
ガヤガヤ
ガヤガヤ
「シャンパン一つ」
「こっちも! 」
「追加でこっちもお願い! 」
あらあら随分盛況だこと。
奥に進むと部屋が二つ。
あれ? どっち?
部屋は二つあり中に入ったのかタレイの姿が見えない。
まずい…… もう!
仕方がなく近い方へ。
コンコン
コンコン
「どうぞ! 」
ああ。良かった。
タレイ? は見当たらない。間違えた?
えっ? でも……
部屋には女性一人と男四人が座って談笑している。
「うふふふ! もっともっと! 」
甘えた声ではしゃぐ女性。
女性は両隣の男に順に抱き着く。
「ああ王子様! 」
「抑えて抑えて。ははは! 」
お酒のせいなのか女性はずいぶんとご機嫌。
「もう何? お酒? まーだ? 」
目が合う。
えっええ?
「ガム…… ガム? 」
ガム発見。
「あなたガムよね? 」
「人違いでです」
「ガム! ガムでしょう? 顔を良く見せて! 」
「ちょっと! 」
「おいお前! 迷惑だろうが! 何なんだお前は?
髭面の渋い王子様風がすごむ。
「追い出すぞ手伝え! 」
酒とたばこのせいで怖いもの知らずの小っちゃな王子様もどきに腕を掴まれる。
「ほら出て行け! へへへ…… 」
「ちょっと止めろ! 何をやっているお前ら! 」
焦った残りの偽王子風の二人組が必死に止める。
「暴力は良くないぞ! 」
これはまずい。どうしましょう? トラブル発生。
「ウルセ―! 」
「だから止めろって! 」
喚き散らす男たち。混乱状態。
ああまずいわ。ガムお願い!
「ガム! 助けて! 」
「何をやってるんですか! 」
いつも守ってくれたガム。お付の者としてド・ラボーに何かがあれば反射的に助けてしまう。
たとえ自分が不利なるとしても。それがガムの役割。使命に忠実なガム。
ガムは仕方なく王子風の二人から引き離してくれた。
「さあ行きますよ! 」
私の腕を掴んで外へ。
男たちは店の外まで追い駆けることはなかった。何とか危機から脱することができた。
「もうつけてたんですね? 」
「へえ? 」
「だから私の後をつけたんでしょう? 」
「ううん。偶然。いや見かけたのは確かだけど…… 」
「ほらやっぱり! 」
「でもそれも偶然で…… 」
「嘘ばっかり! 」
「ガム…… 」
「ステーテル! もういいです! 」
二人の関係にひびが入る。
固い絆で結ばれてきた二人なのに……
あーあ。
ガムは本気で怒っているようだ。話しかけても何も答えてくれない。
嫌な空気になる。
「おーい! 」
タレイの声。
そうだった。タレイの後を追ってきたんだった。
「どうした? 帰るのか? 」
タレイはお構いなし。
「そうだ。紹介してなかったな。こちらサーチャットの第三王子。会ったことあるだろ? 」
どうしてここに王子が? まさかあの店は本当に王子が?
「いやあ。ステーテル久しぶり。元気そうだね」
本物の王子の出現で余計に混乱。
話を整理する前に戻るのが先決だ。
ああ! サンスリン様を置いてきてしまった。
とりあえず王宮に戻るとしましょう。
馬車を手配してもらい夜遅くに戻る。
これ以上混乱するのは避けたい。話は明日にして今日は寝るとしましょう。
あー疲れた。おやすみなさい。
続く
タレイの話ではお食事するところだとか。
本当に大丈夫? いまいち信用できないのよね。
「きゃあ! 」
入ってすぐ真っ暗闇。つまずきそうになる。
「大丈夫だって」
歩きだすとすぐに眩しいくらいの光が店内を照らす。
目によろしくない光線と耳によろしくない大音量の音楽。
ああ、くらくら。目まいがする。苦手なのよね……
「こっちだ! 」
店内は満席。
皆お酒やたばこを楽しんでいる。
ぎゃあ!
ぎゃあ!
下品な叫び声。集団で騒いでいるのかとても不気味。
まるで怪鳥ジャスラのようだ。
声の主は男に入れあげている年配女性。
ここは一体?
お洒落なレストラン? でも何か変なのよね。
女性一人に対して男性が囲むように四人。隣も女性二人に対して男性が三人。その隣も女性三人にして男性五人。
こんな風におかしな状況が続く。なぜかしら……
男の方はずいぶんと若そう。
女性は若い人もいれば年配の方もいる。バラバラだ。
「いらっしゃい。今はちょっと…… 」
混んでいるらしくもう少しかかるそうだ。
「ああ。奥の席空いてる? 」
「すみません。今は…… 」
「ああ気にするな」
タレイは強引に歩き始めた。
「ああ…… お待ちください! 」
制止を振り切って店内の奥に消えていくタレイ。私も仕方なくついて行く。
ガヤガヤ
ガヤガヤ
「シャンパン一つ」
「こっちも! 」
「追加でこっちもお願い! 」
あらあら随分盛況だこと。
奥に進むと部屋が二つ。
あれ? どっち?
部屋は二つあり中に入ったのかタレイの姿が見えない。
まずい…… もう!
仕方がなく近い方へ。
コンコン
コンコン
「どうぞ! 」
ああ。良かった。
タレイ? は見当たらない。間違えた?
えっ? でも……
部屋には女性一人と男四人が座って談笑している。
「うふふふ! もっともっと! 」
甘えた声ではしゃぐ女性。
女性は両隣の男に順に抱き着く。
「ああ王子様! 」
「抑えて抑えて。ははは! 」
お酒のせいなのか女性はずいぶんとご機嫌。
「もう何? お酒? まーだ? 」
目が合う。
えっええ?
「ガム…… ガム? 」
ガム発見。
「あなたガムよね? 」
「人違いでです」
「ガム! ガムでしょう? 顔を良く見せて! 」
「ちょっと! 」
「おいお前! 迷惑だろうが! 何なんだお前は?
髭面の渋い王子様風がすごむ。
「追い出すぞ手伝え! 」
酒とたばこのせいで怖いもの知らずの小っちゃな王子様もどきに腕を掴まれる。
「ほら出て行け! へへへ…… 」
「ちょっと止めろ! 何をやっているお前ら! 」
焦った残りの偽王子風の二人組が必死に止める。
「暴力は良くないぞ! 」
これはまずい。どうしましょう? トラブル発生。
「ウルセ―! 」
「だから止めろって! 」
喚き散らす男たち。混乱状態。
ああまずいわ。ガムお願い!
「ガム! 助けて! 」
「何をやってるんですか! 」
いつも守ってくれたガム。お付の者としてド・ラボーに何かがあれば反射的に助けてしまう。
たとえ自分が不利なるとしても。それがガムの役割。使命に忠実なガム。
ガムは仕方なく王子風の二人から引き離してくれた。
「さあ行きますよ! 」
私の腕を掴んで外へ。
男たちは店の外まで追い駆けることはなかった。何とか危機から脱することができた。
「もうつけてたんですね? 」
「へえ? 」
「だから私の後をつけたんでしょう? 」
「ううん。偶然。いや見かけたのは確かだけど…… 」
「ほらやっぱり! 」
「でもそれも偶然で…… 」
「嘘ばっかり! 」
「ガム…… 」
「ステーテル! もういいです! 」
二人の関係にひびが入る。
固い絆で結ばれてきた二人なのに……
あーあ。
ガムは本気で怒っているようだ。話しかけても何も答えてくれない。
嫌な空気になる。
「おーい! 」
タレイの声。
そうだった。タレイの後を追ってきたんだった。
「どうした? 帰るのか? 」
タレイはお構いなし。
「そうだ。紹介してなかったな。こちらサーチャットの第三王子。会ったことあるだろ? 」
どうしてここに王子が? まさかあの店は本当に王子が?
「いやあ。ステーテル久しぶり。元気そうだね」
本物の王子の出現で余計に混乱。
話を整理する前に戻るのが先決だ。
ああ! サンスリン様を置いてきてしまった。
とりあえず王宮に戻るとしましょう。
馬車を手配してもらい夜遅くに戻る。
これ以上混乱するのは避けたい。話は明日にして今日は寝るとしましょう。
あー疲れた。おやすみなさい。
続く
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