ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

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夜の町にガム発見! 王子制止せず

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カジノは連日大賑わい。

勝利の女神に祝福を受けた強者。

運に見放され全てを失い去って行く敗者。

ただ見守るだけの強者に群がる傍観者。

私はと言うとルールも分からずにサンスリン様に唆されてビギナーズラックに賭ける愚者。


今ルーレットは混んでおりとても近づけそうにない。

カードに落ち着く。

配られた五枚のカード。

ルールも分かっていない私に適当にやれと言うサンスリン様。

でもそんないい加減では勝てるものも勝てない。

ブタ。ブタ。またブタだ。ブタって何よ?

あーあ。また負けてしまった。

サンスリン様はその姿を横で腹を抱えて笑っている。

王家の財産が減っていくと言うのにずいぶんと余裕だこと。


「ははは! どうだ? 」

「勝てません」

「ははは! 勝とうとすればやられてしまう。ここでは楽しむことを覚えろ」

負けてもいいのかしら。楽しめだなんてもういい加減なんだから。

笑ってばかりのサンスリン様。


そんなこと言っていたサンスリン様も負けが込むと人が変わる。

お酒が入り気が大きくなったのか掛け金が尋常ではない。

「ま…… 負けた…… 」

悔しそうにテーブルを蹴る。王子には相応しくない行動。

もう少し余裕があればいいんですけど。

次よ。次。切り替える。

「さあサンスリン様。私の分も取り返してくださいね」

サンスリン様に期待するが……

お酒で強気のサンスリン様。しかし結果が伴わない。

賭けては負けるを繰り返す。

そうなると何も見えなくなってしまうサンスリン様。


「サンスリン様! サンスリン様! 」

「うるさい! 大丈夫だ! 」

もう随分お負けになっている。ここが引き際。

「サンスリン様! お止めください! 」

「大丈夫。次はきっと勝てるさ」

ただの願望。何の根拠もない。実際運だけなのだから。

私を放ってのめり込む。もう困ってしまう。

お相手してくださらないのだもの。

いいですわ。私は私で楽しみますから。

カジノは結構。

夜の町を歩き回る。


ざわざわ
ざわざわ

夜になると人が増えていく。男も女も皆目指すところは同じ。カジノに吸い込まれていく。

なけなしのお金でギャンブルに興じる。一見華やかに見えるが決して幸せにはなれない。

地獄の入り口。勝てば勝つだけ欲が上回る。

破産するほどつぎ込んだ者もいたとか。

まあそれならまだ救いようがある。

借金してまでやる強者まで。もうただの愚か者でしかない。

それが分かっていながら止められない者も多くいる。

ああ嫌だ嫌だ。この国はどうなってしまうのかしら?

カジノだって元々はなかった。外国からお金が流入しているのだとか。

勝てる訳ないじゃない!

まあ私には関係ない話だけど。

ため息が出る。


「どうしたの? 」
 
またつまらない男が話しかけてきた。しつこいんだから。

「元気ないね。どうだい一緒に? 」

ああもううるさい!

「ごきげんよう」

本当にしつこいんだから。気分が悪い。

付きまとう男から逃れる。

この手合いはどうしていつもこうなのかしら。

ワンパターン過ぎる。

ちょっとは私の希望に適う人いないの。

見た目は大したことないし態度はでかいし。

「王子様よ。王子様を寄越しなさいよ! 」

ふふふ…… 心にもないことを口にしてしまう。

ド・ラボーにあるまじき暴言。これはいけない。反省しなくちゃ。


「君! 」

また? あーあ。やっぱりサンスリン様と一緒に居ればよかった。もう戻ろうかな。

ガムがいてくれたらなあ……

あれ…… ガム?

カジノに引き返そうとしたときガムを発見。

ここで何をやってるの?

まさか迎えに来てくれた?

ガム……

もう心配性なんだから。

まあド・ラボーですものね。お付の者が居なくては始まらない。

「ガム! 」

だがガムは気にする様子もなく歩いて行ってしまう。

ガム…… 私はここよ。どこに行こうと言うの?

「ガム! 」

背中に訴えるが振り向くことはなかった。

どうしましょう? ガムの様子がおかしい。

もう追いかけるしかない。

追跡開始。


ガムの秘密に迫るドキドキの追跡劇が始まる。

                   続く
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