ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

文字の大きさ
上 下
64 / 124

夜の町にガム発見! 王子制止せず

しおりを挟む
カジノは連日大賑わい。

勝利の女神に祝福を受けた強者。

運に見放され全てを失い去って行く敗者。

ただ見守るだけの強者に群がる傍観者。

私はと言うとルールも分からずにサンスリン様に唆されてビギナーズラックに賭ける愚者。


今ルーレットは混んでおりとても近づけそうにない。

カードに落ち着く。

配られた五枚のカード。

ルールも分かっていない私に適当にやれと言うサンスリン様。

でもそんないい加減では勝てるものも勝てない。

ブタ。ブタ。またブタだ。ブタって何よ?

あーあ。また負けてしまった。

サンスリン様はその姿を横で腹を抱えて笑っている。

王家の財産が減っていくと言うのにずいぶんと余裕だこと。


「ははは! どうだ? 」

「勝てません」

「ははは! 勝とうとすればやられてしまう。ここでは楽しむことを覚えろ」

負けてもいいのかしら。楽しめだなんてもういい加減なんだから。

笑ってばかりのサンスリン様。


そんなこと言っていたサンスリン様も負けが込むと人が変わる。

お酒が入り気が大きくなったのか掛け金が尋常ではない。

「ま…… 負けた…… 」

悔しそうにテーブルを蹴る。王子には相応しくない行動。

もう少し余裕があればいいんですけど。

次よ。次。切り替える。

「さあサンスリン様。私の分も取り返してくださいね」

サンスリン様に期待するが……

お酒で強気のサンスリン様。しかし結果が伴わない。

賭けては負けるを繰り返す。

そうなると何も見えなくなってしまうサンスリン様。


「サンスリン様! サンスリン様! 」

「うるさい! 大丈夫だ! 」

もう随分お負けになっている。ここが引き際。

「サンスリン様! お止めください! 」

「大丈夫。次はきっと勝てるさ」

ただの願望。何の根拠もない。実際運だけなのだから。

私を放ってのめり込む。もう困ってしまう。

お相手してくださらないのだもの。

いいですわ。私は私で楽しみますから。

カジノは結構。

夜の町を歩き回る。


ざわざわ
ざわざわ

夜になると人が増えていく。男も女も皆目指すところは同じ。カジノに吸い込まれていく。

なけなしのお金でギャンブルに興じる。一見華やかに見えるが決して幸せにはなれない。

地獄の入り口。勝てば勝つだけ欲が上回る。

破産するほどつぎ込んだ者もいたとか。

まあそれならまだ救いようがある。

借金してまでやる強者まで。もうただの愚か者でしかない。

それが分かっていながら止められない者も多くいる。

ああ嫌だ嫌だ。この国はどうなってしまうのかしら?

カジノだって元々はなかった。外国からお金が流入しているのだとか。

勝てる訳ないじゃない!

まあ私には関係ない話だけど。

ため息が出る。


「どうしたの? 」
 
またつまらない男が話しかけてきた。しつこいんだから。

「元気ないね。どうだい一緒に? 」

ああもううるさい!

「ごきげんよう」

本当にしつこいんだから。気分が悪い。

付きまとう男から逃れる。

この手合いはどうしていつもこうなのかしら。

ワンパターン過ぎる。

ちょっとは私の希望に適う人いないの。

見た目は大したことないし態度はでかいし。

「王子様よ。王子様を寄越しなさいよ! 」

ふふふ…… 心にもないことを口にしてしまう。

ド・ラボーにあるまじき暴言。これはいけない。反省しなくちゃ。


「君! 」

また? あーあ。やっぱりサンスリン様と一緒に居ればよかった。もう戻ろうかな。

ガムがいてくれたらなあ……

あれ…… ガム?

カジノに引き返そうとしたときガムを発見。

ここで何をやってるの?

まさか迎えに来てくれた?

ガム……

もう心配性なんだから。

まあド・ラボーですものね。お付の者が居なくては始まらない。

「ガム! 」

だがガムは気にする様子もなく歩いて行ってしまう。

ガム…… 私はここよ。どこに行こうと言うの?

「ガム! 」

背中に訴えるが振り向くことはなかった。

どうしましょう? ガムの様子がおかしい。

もう追いかけるしかない。

追跡開始。


ガムの秘密に迫るドキドキの追跡劇が始まる。

                   続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。

112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。 愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。 実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。 アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。 「私に娼館を紹介してください」 娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」 結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は…… 短いお話です。 新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。 4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

処理中です...