ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

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ナナチャット 三人の王子

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ナナチャット編突入。

ナナチャット。


苦い……

二度目のおかわり。

そろそろ気づいて欲しい。私が紅茶を無理して飲んでいることに気付いて欲しい。

お腹の中はガボガボ。苦味が口全体に広がって大変。

苦味を緩和させようとバタークッキーを手に取る。

でももうこれ以上食べてしまえば太ってしまう。

ぶくぶくのド・ラボーを一体誰が気に入ると言うの?

「失礼します」

メイドがまたやってきてすぐに注ぎたす。

『もう結構よ』

その一言が言えずに繰り返してしまう。

あーあ。困った困った。どうしましょう?


国王がおいでになられた。

「どうですかな? 」

「国王様」

「もう慣れましたかな? 」

温厚そうな白髪交じりの老紳士。

てっぺんは薄くなっているせいか王冠で隠している。

どこかお茶目な国王。

そんな国王には三人のお子さんがいる。


第一王子のワンド王子は我がままで横暴。目が鋭く睨んでいるのかとさえ思うこともある。

第二王子のエルス王子はとにかく明るく優しい。もちろんしっかりと穿いており着こなしがお上手。

国王に似てとても穏やかな性格。

続いて第三王子のサンスリン王子は背が高くスタイル抜群。キュートな見た目と子供っぽい性格。
少しワガママなところが玉に瑕。


ナナチャットに来て三日が経っていた。

ムーチャットでの非現実的な出来事を経験したせいかここナナチャットの生活が温くてしょうがない。

眠気を催すほどの緩い日々。これが本来のド・ラボーの日常。

優雅な生活に理想的な王子様。心にも余裕が出ると言うもの。

うーん。気持ちいい。

国王は物腰も柔らかくド・ラボーの私を気にかけてくれる。

「ありがとうございます」

もちろん見返りがある。選べと言う圧力と言い換えてもいいかもしれない。

無意識なのだろうがこれが意外と疲れる。

「どうしますステーテル? 」

ガムも先刻承知。どう動けば国王が納得するのか分かっている。


ガムの言う通りにすれば上手く行く。でも私は操り人形じゃない。

国王の気持ちを汲んでまさかワンド王子に。

それだけは嫌! だって顔がよろしくない。

いくら第一王子でも。いや第一王子だからこそ選ぶわけにはいかない。

争いが絶えない。いつでも心配していなければならない。そんなの耐えられない。

十か条にも反する。

顔は多少我慢できてもそこは譲れない。

でもなるべくなら素敵で可愛らしい王子様がいい。


ああ…… サンスリン様! 

もう私にはサンスリン様しかいない。

ルックスも良く爽やかで博学。

ただ少々ワガママ。それさえ直していただけたら完璧。

理想の白馬の王子様像。

もちろん馬も乗りこなせている。

ああどうしましょう。

悩む……

優しくしてくださるエルス王子も捨てがたい。

これはガムと相談しなくちゃ。


自室へ。

「ガム…… 」

「それでは私はこれで」

夜の支度を済ますと出て行った。

特別にガム専用の部屋も用意してもらった。お付の者までに部屋を用意するなどと気前がいい。

それだけ丁重に扱われている証拠。

国王の気持ちが現れている。ああどうしましょう。

やっぱり一人では眠れない。ガムのところに行こうっと。


トントン

いくらノックをしても反応が無い。

せっかくゆっくり相談しようと思ったのに……

どこへ行ってしまったの? やっぱり……

ガム……

最近ガムの様子がおかしい。

こそこそしてどこかに出かけているようだし。昨日だっていなかった。

もちろん私の為に情報収集しているのだろうが今までの旅ではこんなことはなかった。夜はいつも一緒。

ガムはもう私との関係を終わらせるつもり? ああ! お姉さま……

良好だったガムとの関係にひびが入る。


ううん。気のせい。気のせいに決まってる。ガムはいつでも私の味方。

私の理解者でありちょっと年上のお姉さん。疑ってはいけない。信じてあげなくちゃ。

でも……

ガムだって人間。秘密の一つや二つある。

夜までお付の仕事をする必要はない。

ガムにもガムの時間があって良い。

でもやっぱり……

ガムのことで頭が一杯で眠れない。

ああ! 何て罪深いのお姉さま。

                 続く
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