ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

文字の大きさ
上 下
61 / 124

後始末 新たな旅立ち

しおりを挟む
夕暮れ時。

一日彷徨い続けてようやく町に戻ることができた。

「帰って来たぞ! 」

「おーい! 」

人々が集まってきた。

行方不明の我が子を抱きかかる者や抱きしめる者。

感動の再会を果たす親子。


「あれ王子様? 」

「おお。皆の者よく聞くがよい。子供たちは無事だ。さあもう心配はいらない」

うおおお!

歓声が上がる。

王子が一番美味しいところを持って行く。見つけたのは私たちだと言うのに。

まあいいか。花を持たせるのも悪くない。

「さあ帰りなさい! 」

子供たちは親元に帰された。

こうして王子の活躍もありおかしな国ムーチャットに平和が戻った。


ミッションコンプリート。

ムーチャットに活気が戻った。


逃亡していた国王以下数名が元の宮殿に戻る。

民の怒りは収まった。民は再び王の為に働く。王は許されたのだ。

その後異星人討伐部隊を編成し宇宙人は姿を消すことに。

本当の意味で町に平和が戻った。


晩餐会。

この国を救った英雄として三人が招待された。

編集長は嬉しそうに宇宙人について語っている。

「ちょっと! 」

いくら救出されたからと言っても宇宙人に対する嫌悪感は消えない。

誘拐されたのだ。

編集長に向けられた視線が気になって仕方がない。

編集長はそんなことお構いなしに出会った時のことをぺらぺらと呑気に語っている。

殺気立つ聴衆。

そんな時でも笑顔を絶やさない強心臓の編集長。

本当に困った人。

晩餐会はあっと言う間に終焉を迎える。

自室へ。


コンコン
コンコン

王子が挨拶にやって来た。

「今晩はステーテル…… 」

「王子何の御用でしょうか? 」

「実はな…… この国に留まってはくれないか? 」

「はああ? 」

「あなた方が旅立つと聞きまして。ステーテルどうだろう? 」

これは誘っている? まさか王子が私に好意を抱いている?

ルックスも良く性格もすこぶる良い。民からも慕われていると来たらもう完璧だ。

十か条にも当てはまる。断る理由は無い。

さあどうしましょう……

「どうだステーテル? 頼みを聞いてはくれないか? 」

「私は…… 」

ガムを見る。しかし何の反応も示さない。

「私と共に歩もうではないか! 」

王子は本気だ。でも…… もう遅い。もう決めてしまった。

新たな旅へ。

「ガムお願い」

「申し訳ございません。お受けできません」

「何を言う? 」

「本心を隠しこのステーテルと契りを交わすおつもりですか? 」

「本心? 」

動揺しているご様子。

「王子! あなたには私なんかよりももっと相応しい方がいるではないですか? 」

「ド・ラボーの君よりもかい? 」

「あなたには王女様がいる。違いますか? 」

「何を言う! 妹ではないか。ふざけるでない! もうよいわ! 」

王子は怒りに任せて乱暴にドアを開け出て行った。

「お兄様…… 」

そこには王女の姿が。もう体は回復したようだ。


国王から詳しい話は聞いている。

王子が小さい頃に母は病気で他界。その後国王が新しい妻を迎え入れた。

王女はその女性の連れ子。だから正確には王女ではない。

二人に血の繋がりはない。だから……

「どうした? 」

「お兄様…… 」

「ガムお願い! 」

「王子。やはりお受けできません。どうぞお許しください」

「何を抜かす! 」

温厚な王子が怒りに震える。

「もうバカなんだから。さあお二人さんお幸せに」

「何を…… 」

王子はようやく自分の気持ちに気付いた。

王女の思いが伝わったようだ。


少しもったいなかったかなあ……

結局王女に押し付けてしまった。

まあこれも運命。

さあ次よ。

「ごきげんよう」

挨拶を済ませ屋敷を離れる。


編集長ともここでお別れ。

「俺はもう少しニッシーを追い駆けるつもりだ」

「お別れね。ちょっと寂しいかな」

「おうおう。言ってくれるね。最後にキスでも? 」

「調子に乗らないで! 」

キスの代わりに平手打ちをお見舞いする。

「へへへ。元気でな」

「あなたもね」


馬車で次の目的地ナナチャットへ。


ムーチャット編 <完>

次回からナナチャット編に突入。


                  続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

【完結】内緒で死ぬことにした  〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を〜

たろ
恋愛
手術をしなければ助からないと言われました。 でもわたしは利用価値のない人間。 手術代など出してもらえるわけもなく……死ぬまで努力し続ければ、いつかわたしのことを、わたしの存在を思い出してくれるでしょうか? 少しでいいから誰かに愛されてみたい、死ぬまでに一度でいいから必要とされてみたい。 生きることを諦めた女の子の話です ★異世界のゆるい設定です

あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」 結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は…… 短いお話です。 新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。 4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

処理中です...