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宇宙王子との婚姻 宇宙人でも王子は王子 まさかのゴールイン?
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レアな宇宙人に興奮しっぱなしの編集長。
早口で知識を披露するものだから困ってしまう。
「いや興奮するなあ」
今この辺りには編集長におだてられてポーズを決めるこのお調子者の宇宙人しかいない。
他の者はどこかへ。
話しかけてみるが……
「ねえ通じるの? 」
「さあ…… 」
編集長は身振り手振りで意思の疎通を図っている。
ただそれでは確実性に欠ける。ここはガムの交渉術に期待するしかない。
「あなた方は一体? えっと…… 」
まずは自己紹介。
「我々は旅の者」
「ワレ? 」
「そう我々は冒険者。理想の王子を求めて諸国を旅しています」
「ワレ? ワレ? 」
「そうその調子。その調子」
「ワレワレハ」
ようやく相手の正体と目的が掴めてきた。
彼の名はアダムス。
ここは秘密基地だとか。
さっきまで宇宙船内だとばかり思っていたがよく考えれば人が見当たらないのはおかしい。
そんな単純なことにも気づかなかったなんてきっと気が動転していたんだわ。
その宇宙船は今どこかに行ってるそうでアダムスの話では戻ってくるのは早くても二時間後だそうだ。
ここはアダムスが任されている。他の者は出払っているのだとか。
「ねえアダムス。囚われた子供たちは無事なの? 王子は? 」
「ワレワレが捕まえた生物は貴重な実験体だ。眠ってもらっている」
「どこ? どこなの? 」
「それは教えられない…… だがワレワレの頼みを聞いてくれれば…… 」
「交換条件って奴ね。意外とセコイわね」
「ワレワレハ…… 」
話をまとめると実験器具が壊れてしまい代わりを取りに行っているとのこと。
戻ってくるのは早くても一年はかかるらしく困っているそうだ。
要するに器具が揃えば実験は再開されてしまい子供たちの命が危ない。
「ワレワレハ…… 」
それから王子のお相手を探しているとのこと。
御指名を受ける。
とりあえず三人で話し合うことに。
「どうも間抜けな宇宙人だな」
「気をつけなさい。あなたなんかより何倍も知能が高いわよ」
編集長は苦笑い。
「それでどうするステーテル? 」
「ガム? 」
「悪くない条件よね」
「どこが? 」
「彼は一人っ子。争いはないそうよ」
「そうだけど…… 」
「私は良いと思いますが」
「ガムったら無責任! 」
「まあまあ。でもあなたはド・ラボーなのよ。王子と結ばれる運命。宇宙人だって王子は王子」
「でも…… 」
「まあ見た目は気持ち悪い。それも慣れれば問題ない。些細なことではないですか」
「確かに…… 」
納得させられそうになる。
どうもガムのやる気が感じられない。もう面倒臭くなっているのでは?
「さあもう契約してしまいましょう」
私には譲れない十か条がある。絶対に守ってもらわなくては困る。
「王子はあちらの世界ではかなりのルックスらしいわよ。もう結婚しない手はないんじゃない」
ガムにとって王子と結ばれることが大事。お付の役目はその手助けなのは分かるけど……
やっぱりガムはふざけてるのかしら。それとも疲れてるとか。
「冗談じゃないわ! 誰が宇宙人なんかと! 」
ついつい声を荒げてしまう。
「では良いんですね? 」
改めて問うようなもの? 分かってるくせに。いかれているのかしら?
「まあ当然だな」
編集長が笑い出す。
「ではお断りしますか」
ガムと一緒にその王子の元へ。
編集長には子供たちの捜索を任せる。
急がなければ仲間が戻ってくる。このチャンスを逃す訳にはいかない。
「ワレワレハ…… 」
王子のところに連れて行くそうだ。
秘密基地の隣に広がる大きな洞穴が三つ。
真ん中の穴へ進む。
洞穴は一見大きいが広くはなくすぐに目的の場所へ。
コンコン
コンコン
なぜか反応が無い。間違えた?
「ワレワレハ…… 」
「扉の真ん中に手をかざせと言っています」
言われた通りに手を当てると扉が開いた。
あらお洒落……
構造が複雑で良く分からない。まあ中に部屋があるのは分かった。
男が迎える。
「ワレワレハ…… 」
男は王子の世話係。入れと言うことらしい。
中には見たこともない格好の異星人の王子の姿が。
見た目は不気味で近づくのも勇気がいる。
これが王子様? 私の理想には程遠い。
いくらあちらではルックスが良かったとしてもご遠慮願いたいわ。
ガムお願い……
「ワレワレハ…… 」
「よく来たな! 何と美しい」
王子に大変気に入られた。花嫁探しは本当のことらしい。
「ワレワレハ…… 」
「心配するな。式はすぐに執り行う。終わり次第故郷に戻るとしよう」
勝手に話を進められる。せっかちな王子。
こんなのも相手にしなければならないなんてね。
自分の運命を呪う。
続く
早口で知識を披露するものだから困ってしまう。
「いや興奮するなあ」
今この辺りには編集長におだてられてポーズを決めるこのお調子者の宇宙人しかいない。
他の者はどこかへ。
話しかけてみるが……
「ねえ通じるの? 」
「さあ…… 」
編集長は身振り手振りで意思の疎通を図っている。
ただそれでは確実性に欠ける。ここはガムの交渉術に期待するしかない。
「あなた方は一体? えっと…… 」
まずは自己紹介。
「我々は旅の者」
「ワレ? 」
「そう我々は冒険者。理想の王子を求めて諸国を旅しています」
「ワレ? ワレ? 」
「そうその調子。その調子」
「ワレワレハ」
ようやく相手の正体と目的が掴めてきた。
彼の名はアダムス。
ここは秘密基地だとか。
さっきまで宇宙船内だとばかり思っていたがよく考えれば人が見当たらないのはおかしい。
そんな単純なことにも気づかなかったなんてきっと気が動転していたんだわ。
その宇宙船は今どこかに行ってるそうでアダムスの話では戻ってくるのは早くても二時間後だそうだ。
ここはアダムスが任されている。他の者は出払っているのだとか。
「ねえアダムス。囚われた子供たちは無事なの? 王子は? 」
「ワレワレが捕まえた生物は貴重な実験体だ。眠ってもらっている」
「どこ? どこなの? 」
「それは教えられない…… だがワレワレの頼みを聞いてくれれば…… 」
「交換条件って奴ね。意外とセコイわね」
「ワレワレハ…… 」
話をまとめると実験器具が壊れてしまい代わりを取りに行っているとのこと。
戻ってくるのは早くても一年はかかるらしく困っているそうだ。
要するに器具が揃えば実験は再開されてしまい子供たちの命が危ない。
「ワレワレハ…… 」
それから王子のお相手を探しているとのこと。
御指名を受ける。
とりあえず三人で話し合うことに。
「どうも間抜けな宇宙人だな」
「気をつけなさい。あなたなんかより何倍も知能が高いわよ」
編集長は苦笑い。
「それでどうするステーテル? 」
「ガム? 」
「悪くない条件よね」
「どこが? 」
「彼は一人っ子。争いはないそうよ」
「そうだけど…… 」
「私は良いと思いますが」
「ガムったら無責任! 」
「まあまあ。でもあなたはド・ラボーなのよ。王子と結ばれる運命。宇宙人だって王子は王子」
「でも…… 」
「まあ見た目は気持ち悪い。それも慣れれば問題ない。些細なことではないですか」
「確かに…… 」
納得させられそうになる。
どうもガムのやる気が感じられない。もう面倒臭くなっているのでは?
「さあもう契約してしまいましょう」
私には譲れない十か条がある。絶対に守ってもらわなくては困る。
「王子はあちらの世界ではかなりのルックスらしいわよ。もう結婚しない手はないんじゃない」
ガムにとって王子と結ばれることが大事。お付の役目はその手助けなのは分かるけど……
やっぱりガムはふざけてるのかしら。それとも疲れてるとか。
「冗談じゃないわ! 誰が宇宙人なんかと! 」
ついつい声を荒げてしまう。
「では良いんですね? 」
改めて問うようなもの? 分かってるくせに。いかれているのかしら?
「まあ当然だな」
編集長が笑い出す。
「ではお断りしますか」
ガムと一緒にその王子の元へ。
編集長には子供たちの捜索を任せる。
急がなければ仲間が戻ってくる。このチャンスを逃す訳にはいかない。
「ワレワレハ…… 」
王子のところに連れて行くそうだ。
秘密基地の隣に広がる大きな洞穴が三つ。
真ん中の穴へ進む。
洞穴は一見大きいが広くはなくすぐに目的の場所へ。
コンコン
コンコン
なぜか反応が無い。間違えた?
「ワレワレハ…… 」
「扉の真ん中に手をかざせと言っています」
言われた通りに手を当てると扉が開いた。
あらお洒落……
構造が複雑で良く分からない。まあ中に部屋があるのは分かった。
男が迎える。
「ワレワレハ…… 」
男は王子の世話係。入れと言うことらしい。
中には見たこともない格好の異星人の王子の姿が。
見た目は不気味で近づくのも勇気がいる。
これが王子様? 私の理想には程遠い。
いくらあちらではルックスが良かったとしてもご遠慮願いたいわ。
ガムお願い……
「ワレワレハ…… 」
「よく来たな! 何と美しい」
王子に大変気に入られた。花嫁探しは本当のことらしい。
「ワレワレハ…… 」
「心配するな。式はすぐに執り行う。終わり次第故郷に戻るとしよう」
勝手に話を進められる。せっかちな王子。
こんなのも相手にしなければならないなんてね。
自分の運命を呪う。
続く
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