ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

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ムーチャットで出会った男・編集長

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奇跡が起きた。

ニッシーは夜行性。諸説あるので断定はできないが陽が登り動きが鈍くなったニッシ―が急いで元の川へ。

ジャスラも投石攻撃によって邪魔が入り逃げ帰った。

こうして絶体絶命のピンチを逃れたのだが……

それにしても一体誰が?

まさか王子様?


ガサガサ
ガサガサ

「おい大丈夫か? 」

現れたのは王子には似ても似つかないメガネをかけた汗だくの不潔なおじさん。

幻滅…… ダメ…… 勝手に王子だと思っただけなので悪い気もする。

おじさんなんてこんなものよ。

「あなたは! 」

ガムが言うにはニッシーの釣り方を教えてくれた親切なおじさん。

ガムの見方はそうだがただの怪しいおじさんにしか見えない。

「やあまた会ったね。無事で何より」

変質者にしか見えないがガムの見立てに間違いはない。

「ありがとうございます」

助けてもらった礼を言う。

まあジャスラだけなら何とかなった。でもまあ救世主に違いはないか。

「自己紹介はまだだったね。俺は編集長」

「はああ? 名前は? 」

「ははは…… 旅をして回っているんだ。名前なんてどうでも良いじゃないか」

どうも良く分からない。名前を聞いただけなのに隠すなんてかなり怪しい。

うーん。格好も見た目もちょと……

まあ本人が言いたくないなら別に構わないし無理して聞く必要もないけど。

「いやいや。ニッシーの伝説を追ってここまでやって来たんだ」

「はあ暇なんですね」

「ステーテル! 」

意識を回復したと言うか現実逃避から復帰したばかりのガムが間に入る。

「たぶんニッシ―はもう姿を現しませんよ。警戒しているはずだから」

「うーん。確かにそうだね。残念。まあいいや。ニッシ―は次の機会に回すよ」

「ええっ? 」

「ムーチャットにはまだいくらでも変わったところがあるからね。僕は何もニッシ―を捕獲しに来たわけではない。
ただ絵に収めたかっただけなんだ」

「画家なの? 」

「いや個人的趣味さ」

 
助けてもらったお礼に協力することになった。どうやら編集長は謎の失踪事件を追っているようだ。

「子供たちが急に消えたんだってね」

「さあ私たちもここに来て日が浅いもので。見たのはここの王子様が消えたところだけです」

「何だって? 消失したところを見たのかい? 」

「そうですよねステーテル」

「ええ。王子は目の前で姿を消した。本当に今でも信じられない」

「詳しく話してくれないか」

編集長に当日の話をしてやる。

「ありがとう」

目を輝かせるちょっと変わった編集長。

「よし一緒に探そう! 」

目的は同じ。行動を共にする。


編集長が仲間に加わった。

レベルアップ。

ステーテルの勘が上がった。嘘を見抜く力が身に付いた。防御力も上がった。変態から身を守る術を会得。

ガムの弁論術も上昇。変わり身の術を覚えた。

三人の浮遊力が上がった。

変な薬を飲み気持ちがハイになった。


翌日

まずは目撃者探し。

「ねえ。ニッシ―ってことはないの? 」

伝説上の生き物ではなく実際に見た。人を襲うことを身をもって体験した。あり得ないことではない。

「それはどうかな。人を喰うなんてこと考えられないがな」

「お腹が空けばどう? 」

「いや、だったらもっと前に惨劇が起こっていたんじゃないかな」

「ではニッシー説は否定ですね」

「いやまだ確実ではない。一応残しておこう」

「あら慎重ですね」

「それで他は? 」

「あの化け物はどうかな? 」

「ジャスラですか? 可能性は低いかと」

ガムはなおも続ける。

「歌に反応するから歌っていればあり得るかもしれませんが王子が消失した時は誰も歌っていませんでしたしジャスラも見ませんでした。あれだけの大きさですから見落とすはずありません。影も形もありませんでした」

ガムは強く否定する。まあ私も同意見。

ジャスラはここに限らずどの世界にもいる。魔王の偵察部隊などと言う噂もあるぐらいだ。

ジャスラ説も否定。

「おおここだここだ」

一軒目を訪ねる。

                   続く
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