ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

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怪鳥ジャスラ再び

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巨大な鳥。怪鳥の姿が。

この国の天然記念物?

いや違う…… そんな生易しいものではない。  

ガムに聞いても首を振るだけ。

旋回する怪鳥。

まさか私たちを獲物だと勘違いしている?

「あれは…… 」

ガムが化け物の正体に気付いた。

もちろんニッシ―ではない。

それでは一体何なのか。

あれは伝説の不死鳥。

『ジャスラ』

『怪鳥ジャスラ』

「ジャスラ…… まさか本当に存在するとは…… 」

絶句するガム。

私も小さい頃に聞いた覚えがある。

ジャスラは音楽が好きなのか人が歌いだすとやってくる厄介な化け物。

歌ってる者に襲いかかってくる。

では歌を止めてみてはどうか?

だが一度目をつけられてはもう逃れることはできない。

もう、ただ身を委ねる以外方法はない。


「どうしようガム? 」

「落ち着いて。冷静になってください」

ぎゃああ!
ぎゃああっ!

今にも襲い掛かろうと構えている。

「どうしよう! どうしよう! 」

「ええっと…… 弱点は何だったけ…… 」

忘れたと言い張るガム。

しかしこの怪鳥に弱点など存在するだろうか?

ペガサスでも放てば少しは役に立つかもしれないが生憎もうどこかに行ってしまった。

ここはもう自力で何とかするしかない。

ラララ……

「そうだ歌だ! 歌わなければ襲っては来ない。だってそれがこの化け物の役目。少しでも歌えば襲ってくる。さあステーテル。口を噤むのよ! いい? 」

それくらい分かっている。でもロックオンされててはもう遅い。

「ステーテル? 」

「はい! 」

「だから騒がない! 」

怪鳥は音に反応した。音には敏感。しかし他はどうか?

目はそこまで良くないらしい。

姿勢をできるだけ低くして木の陰に隠れると見失ったのか辺りを旋回。

大人しくしていれば……

ジャスラの目から逃れた。

鼻も利かないらしい。

無敵の怪鳥。弱点は無いが逃げてしまえば追っては来ない。

音を出さずに地面に腹ばい。

数分が経った。

ジャスラはどうやら諦めたらしい。

旋回を繰り返した後、遠くの空に姿を消した。

助かった?

「ステーテル! 」

「もう大丈夫みたい」

ジャスラの脅威から逃れた。


ニッシ―探し再開。

歌声に釣られてやってくると思っていたが姿を見せなかった。ニッシーにはやはりこの手は通用しないのか。

パンパン
バンバン

手を叩く。

「ちょっとステーテル何をしてるんですか? 」

「歌わなければ大丈夫だって」

もう朝だ。急がなければニッシ―はいなくなってしまう。

村人の話ではどうやら夜行性らしい。

いや太陽が苦手だとか。

暑さに弱いとも。

色々な説があるが実際に見た者は少ない。

ニッシ―はどこ?

パンパン
パンパン

ガムも続く。

「さあ姿を見せなさい! 」

あれ? 波? まさか? 何かが近づいてくる。

まさかニッシー?

今まで穏やかだった川が荒れる。

次の瞬間モーゼの十戒のように川が割れる。

そこから首を出した恐竜のような生物。

ニッシ―の姿を捉える。

これは…… 大きい! まさかこれほどまでとは思ってもみなかった。

でっかい!

その言葉がふさわしい。

ニッシ―の登場。


何か喚いている。何だろう?

うぎゃああ!

どうも変だ。ニッシ―の機嫌が悪い。

寝起き?

夜行性なのだから起きていたはずよね。

今から寝ようとしていたとか?

ただ機嫌が悪いだけ?

うるさかった?

ニッシ―!

「お静まりください! どうか! どうか! 」

二人でその場にひれ伏す。

だがニッシ―は見えていないのか歩みを止めない。

ニッシ―は川から陸へ。

えっ? どう言うこと? 海の生物じゃないの?

ガムも驚いている。

ニッシ―が陸に上がるなんて信じられない。そんなのあり?

興奮してこちらに向かってくる。

もはや止めるには歌を歌うぐらいしか残されていない。だが……

ラララ……

ガムに合わせる。

大人しくなったニッシ―。歩みを止め川に戻っていく。

「そうそれでいいの。ニッシー! 海にお帰り! 」

だがその時空高くからジャスラが急降下。

一難去ってまた一難。

ジャスラ再び。


                続く
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