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消えた王子
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ムーチャット編。
いつの間にか到着していた。どうやって来たのかまるで記憶が無い。
ガムに聞いても首を振るだけ。おかしなこともある。
船に乗ってそれから…… 覚えていない。
記憶が曖昧だ。こんなことは初めて。まるで何者かに連れて来られたかのよう。
ムーチャットは科学技術の発達した国で見たこともない乗り物や機械が動いている。
特に一番変わっているのが動物だ。
見たこともない大きな馬。ペガサスだとか。あちらにはドラゴンもいる。
「ガム知ってる? 」
「いえ私も見るのは初めてです」
今度は何か変わった形の馬に乗った男が向かってきた。
「うん。お前たちはよそ者。ここムーチャットに何か用か? 」
男は動じない。
「あなたは? 」
「これは申し遅れました。自分はこの国の王子」
「王子? 」
ラッキー!もう見つかった。
「王子。私たちは遠い国ニ―チャットから参りました。こちらは何とあのド・ラボーなのです」
「ステーテルです。よろしく」
「ド・ラボー? 何だそれは? 」
この国ではまだド・ラボーがいないと見える。これはチャンス。
ルックスは申し分ない。あったばかりとは言え性格も悪くなさそうだ。十か条にも反してもいない。
これはまさしく探し求めていた王子様像。ガムも見とれている。
ガムのお墨付きもあるとくればお近づきにならない手はない。後は無事に王子に気に入ってもらえればいい。
王子の馬に目がいく。
「お前たちこれが気になるのか? 」
王子がお乗りになっているものそれは……
「これはUMAと言ってな早いんだ。これならどこにでも一っ跳びさ」
「UMAでございますか」
「ガム知ってるの? 」
「知っていると言うのはおかしいんですよ。まだ誰にも見つかってない動物? 人間? とでもいいますか…… 」
ガムの説明では良く分からない。
「ねえガム! もう少し詳しく分かりやすくお願い」
「ははは! ステーテルと言ったな。まあそれこそ馬みたいなものだ。難しく考える必要はないさ」
「新種の馬? 」
「はいそのような感じです」
「ははは! 珍しいだろ。乗ってみるか? 」
とても優しく紳士的な王子。人柄もよさそうだ。今回の王子は当たりかも知れない。
馬にしては大きい。黒っぽい見た目。醜い顔に鋭い牙。
馬と言うよりは犬や狼に近い。
こちらを睨んだと思ったら吠え掛かる。
「きゃああ! 」
退散。
さすがに気持ちが悪い。
「ガム乗ってみたら」
「いえステーテルを差し置いて私など…… 」
「いいからいいから」
「ダメです。それだけはいけません」
ガムも怖いのだ。なんだかんだ言って嫌がっている。まあ無理にとは言わない。
「では自分はこれで。また会いましょう」
王子が去る。
もったいなかったかしら。せっかく王子のお誘いだったのに。
「ガムはどう思う? 」
「はい。今までのどの王子よりも立派で素敵です」
ガムも王子の魅力に虜になったようだ。
王子! あれ?
上を見上げると謎の黒っぽい影。
こちらに向かってくる。
「危ない! 」
ガムの機転で回避。
「一体何事? 」
影はゆっくりと王子の方へ。
重なったかと思ったら強い光を発し消えてしまった。
「あれ王子は? 」
影が王子を連れ去った?
まさかそんなことある訳がない。見間違いだろう。だがしかし……
「ガム? 」
ガムは余りの出来事に呆然自失。いくら呼びかけても反応が無い。
「ガム! ガム! 」
肩を揺する。
「ああ…… ステーテル? 」
「これは一体どういうことでしょう? 」
「私に聞かれましても消えたとしか思えません」
王子が空中に消えた。
UMAだけが走り続けている。
主人は乗っていないと言うのに気づかずに走っている。
これは一大事だ。
とんでもないところに出くわしてしまった。
王子は無事だろうか?
とにかく確認するしかない。
UMAの進む方へ。
町が見えた。
よし行ってみよう。
続く
いつの間にか到着していた。どうやって来たのかまるで記憶が無い。
ガムに聞いても首を振るだけ。おかしなこともある。
船に乗ってそれから…… 覚えていない。
記憶が曖昧だ。こんなことは初めて。まるで何者かに連れて来られたかのよう。
ムーチャットは科学技術の発達した国で見たこともない乗り物や機械が動いている。
特に一番変わっているのが動物だ。
見たこともない大きな馬。ペガサスだとか。あちらにはドラゴンもいる。
「ガム知ってる? 」
「いえ私も見るのは初めてです」
今度は何か変わった形の馬に乗った男が向かってきた。
「うん。お前たちはよそ者。ここムーチャットに何か用か? 」
男は動じない。
「あなたは? 」
「これは申し遅れました。自分はこの国の王子」
「王子? 」
ラッキー!もう見つかった。
「王子。私たちは遠い国ニ―チャットから参りました。こちらは何とあのド・ラボーなのです」
「ステーテルです。よろしく」
「ド・ラボー? 何だそれは? 」
この国ではまだド・ラボーがいないと見える。これはチャンス。
ルックスは申し分ない。あったばかりとは言え性格も悪くなさそうだ。十か条にも反してもいない。
これはまさしく探し求めていた王子様像。ガムも見とれている。
ガムのお墨付きもあるとくればお近づきにならない手はない。後は無事に王子に気に入ってもらえればいい。
王子の馬に目がいく。
「お前たちこれが気になるのか? 」
王子がお乗りになっているものそれは……
「これはUMAと言ってな早いんだ。これならどこにでも一っ跳びさ」
「UMAでございますか」
「ガム知ってるの? 」
「知っていると言うのはおかしいんですよ。まだ誰にも見つかってない動物? 人間? とでもいいますか…… 」
ガムの説明では良く分からない。
「ねえガム! もう少し詳しく分かりやすくお願い」
「ははは! ステーテルと言ったな。まあそれこそ馬みたいなものだ。難しく考える必要はないさ」
「新種の馬? 」
「はいそのような感じです」
「ははは! 珍しいだろ。乗ってみるか? 」
とても優しく紳士的な王子。人柄もよさそうだ。今回の王子は当たりかも知れない。
馬にしては大きい。黒っぽい見た目。醜い顔に鋭い牙。
馬と言うよりは犬や狼に近い。
こちらを睨んだと思ったら吠え掛かる。
「きゃああ! 」
退散。
さすがに気持ちが悪い。
「ガム乗ってみたら」
「いえステーテルを差し置いて私など…… 」
「いいからいいから」
「ダメです。それだけはいけません」
ガムも怖いのだ。なんだかんだ言って嫌がっている。まあ無理にとは言わない。
「では自分はこれで。また会いましょう」
王子が去る。
もったいなかったかしら。せっかく王子のお誘いだったのに。
「ガムはどう思う? 」
「はい。今までのどの王子よりも立派で素敵です」
ガムも王子の魅力に虜になったようだ。
王子! あれ?
上を見上げると謎の黒っぽい影。
こちらに向かってくる。
「危ない! 」
ガムの機転で回避。
「一体何事? 」
影はゆっくりと王子の方へ。
重なったかと思ったら強い光を発し消えてしまった。
「あれ王子は? 」
影が王子を連れ去った?
まさかそんなことある訳がない。見間違いだろう。だがしかし……
「ガム? 」
ガムは余りの出来事に呆然自失。いくら呼びかけても反応が無い。
「ガム! ガム! 」
肩を揺する。
「ああ…… ステーテル? 」
「これは一体どういうことでしょう? 」
「私に聞かれましても消えたとしか思えません」
王子が空中に消えた。
UMAだけが走り続けている。
主人は乗っていないと言うのに気づかずに走っている。
これは一大事だ。
とんでもないところに出くわしてしまった。
王子は無事だろうか?
とにかく確認するしかない。
UMAの進む方へ。
町が見えた。
よし行ってみよう。
続く
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