ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

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バッチの思惑

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翌日。

日課のゴミ拾いに付き合わされる。

「さあゴミを拾ってきれいにしましょう」

ぎまんよ!

ゴミがあるからこの国は潤っている。だからゴミは必要不可欠。

それなのに町をきれいにしようとはどういうこと?

理解に苦しむ。

ゴミを一つにまとめ次に移る。

王子も参加。

「ベイリー。君はゴミをどう思う? 」

「それは無くてはならない町のシンボルです」

ベイリーはもうこの国の人間。やはり慣れてしまっている。

私はと言うと。

「ステーテルはどう思う? 」

「私は嫌ですね。はやくゴミを片付けてきれいな町を取り戻してほしい」

「ほう」

傾きかける流れを引き戻す。

王子も本音ではこのゴミを疎ましく思っているのでしょう。

「あらガムの姿が見えないわね」

「それならもう一度あのゴミタワーに行くとさ。まったく何がいいんだか」

少年に激しく同意。

芸術とは一体? 訳が分からない。

日課のゴミ拾いを終える。



続いてお食事。

王子様のブランチ。

いい匂いがする。

久しぶりの豪華な食事につい興奮してしまう。

蒸しパンだってさ。

ああ。うまいんだよね。蒸しパンに紅茶。それからサラダにスープと次々に出てくる。

さすがは王家。物が違う。

食事を終える。


次は……

民との交流。

村々で作られた果物を手に取る。

「甘い! 」

「うん。美味しい」

「そうだな。この甘さが癖になる」

王子と少年の関係は改善されつつある。

こうして家々を回っていく。

まあ暇つぶしにもなるし楽しそうだけどこれでいいのかな?


「ああ王子様」

一人の男が現れた。

警戒すべき男。大臣のバッチだ。

奴が全ての元凶。

奴が大臣になり改革を進めたが為にゴミが増えた。

ゴミが大量に送り込まれ町を汚染していった。

確かにここ何年かは不作も続き資源も少ない上人口も減少している。

働き手も少なくなってきている。

それゆえに町を栄えるためには大胆な改革が必要。

そう説得された国王はまんまと大臣の口車に乗せられてしまい今に至る。

「バッチ大臣」

「お久しぶりです王子」

「今日も大量のゴミが送られてきたよ」

「そうでしょう。そうでしょう」

大臣は悪ぶれることもなくにやける。王子の皮肉も通用しない。

「これからはもっともっと全国各地から送られてきます。これで民は潤いますよ」

「ああそれと引き換えに町はどんどんダメになっているがな」

「まあ仕方がありませんよ。国の発展には犠牲は付き物です」

もっともらしい言い訳。もちろん奴はここの出身ではない。

帰る国もある。

金に目が眩んだに過ぎない。

いや己の名声のためだけにやったのだ。

この国がどうなろうと知ったことではない。

民が困ろうが町が汚れようが一向に構わない。

まあどこの国もゴミの処理には苦労している。

どこかが負担せざるを得ないとも言えるが。

「それではこれで」

大臣は国王の元へ。


「不愉快な男と出会い気分を悪くした。どこかで一休みと行こう」

「ああ王子様良くお越しくださいました」

畑を耕し少ないながら野菜を作って売っている。

カボチャが大きくなっている。ちょうど食べ頃。

さっそくカボチャを使った特製スイーツをご馳走になる。

「うん。甘い」

「王子様。これは何と? 」

「それはな…… 」

うーん。食べた。もうお腹一杯。

「それでこれからどうします? 」

「うーん。よし館に戻るか」

そろそろ飽きたところ。陽も暮れ始めている。

「美味しかったよ。また来年もよろしく」

「それはよかった。しかし来年は…… 無理そうですよ」

「ああそうだな。このまま行けばここもゴミに汚染され使い物にならなくなってしまう。うーん」

「王子このままでいいの? 」

「そうは言ってもステーテル。国王の決めたこと。どうにもならないさ」

「そうだね。あの男が失脚でもしない限り無理かな。後は王子様に任せるしかないね。ははは…… 」

あの男。即ちバッチを止める必要がある。


                   続く
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