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ゴミの町・ゴーチャット

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ゴーチャット入口。

「お前らどこからやって来た? 」

ここの責任者だとか言う生意気な若い男がじっとこちらを見つめる。

「ガムお願い」

「私たちは遠い遠いニーチャットからやって参りました」

挨拶をして目的を伝える。

「こちらはステーテル。ド・ラボー。私は彼女のお付のガム。どうぞよろしく」

「おうおう。ド・ラボーとは珍しいな。どおりで美しい訳だ。どうだ俺の女にならないか? 」

身分を弁えない無礼な田舎者。

いくら私が魅力的でも言い寄ろうなんて失礼しちゃう。

ここはひとつお灸を添えてやらなくてはならないかしら。

「お前だよ。お前! 」

男の視線はガムに注がれる。

意表を突かれたガムは下を向く。

「へへへ…… 」

性格は悪そうだし生意気で頭も悪そうだけどガムにはいいかもしれない。

ガムには年下だけどどうでしょう。

「あらガム。良かったですね」

「からかわないでください。もう恥ずかしい」

赤くなっちゃった。

「おいどうなんだ? 」

「興味がありません。私はステーテル一筋です」

ガムの困惑が伝わる。

もうステーテルったら自分は関係ないからって面白がるなんてそれでもド・ラボーとしての自覚はあるの?

勢いで断ってしまった…… ちょっとだけ後悔。いきなりなので困ってしまう。

手順を踏んで告白していただかなくてはもう……

「さあガム。行きましょう」

身分を証明できたので文句はない。

さあ次の王子様を求めてレッツゴー。


悪臭漂う街ゴーチャット。

うう……  

くさっ! 何この臭い? 我慢できない。

どうやら大変な町に来てしまったみたい。

空気が汚れていて天気は曇り空。

ゴホホホ……

咳が止まらない。

「もう嫌…… 早くこの町を脱出しましょう! 」

「来てすぐに何を言ってるんですか。ステーテル。目的を忘れたのですか」

ガムに説得される。

「だって…… 」

「文句を言わずに王子を探すんです! 」

暗い…… 夜でもなく夕方でもなく明け方でもない。

今は昼前。

この天気は異常だ。

「どうにかなりませんこと」

「私に言われても」

「そうだ。馬車に乗って行きましょう」

馬車に乗ってしまえばこの臭いもマシになるだろう。

と言っても人が見当たらない。


「ここはどこ? 」

「ここはゴーチャットだよ。ゴミ溜めの町ゴーチャットさ」

後ろから男が話しかけてきた。

「ゴミ? 」

「ああ。ここはね世界各国からゴミが集まってくる。通称ゴミアイランド。ホラまたやって来た」

「どうしましょう? 」

「まあ慣れるんだな。住民はもう誰も気にしていない」

「この臭いを? 冗談でしょう? 」

「ああ。もう感じなくなっている。嗅覚がいかれちまったのさ」

「あなたも? 」

「ああ。最初の頃は辛かったがな。そうだ。俺はカリってんだ。よろしくな」

自己紹介を済ます。

カリはここでゴミの研究を行っている変わり者博士。

通称ゴミ博士。

町のゴミを集めてゴミのオブジェを制作中。

「今度見に行くといいよ」

「あらどうしましょう」

誰がゴミなんか見に行くもんですか。絶対に嫌!

「いつでもどうぞお嬢さん」

「まあうれしい! 」

ふざけるないで!

「どうしようかな…… ねえガム? 」

いい加減にして! 

「そうですね。もうそれくらいで。心の声も漏れかけていますし勝手に話されては…… 」

ガムは困惑気味。

あのガムがここまで動揺するなんてよっぽどのこと。かわいそうに。

「それでは自分はここで」

博士はゴミを求めて彷徨う。

ああ…… 聞きそびれた……

せっかくのチャンス。

王子の居場所を聞くつもりが不快な話を聞いただけ。


「一体何なのよこの町は? 」

「ゴーチャットでございます」

またして変なのがやって来た。

ゴミの町ゴーチャット。

ある意味大変なところに来てしまった。できればすぐにでも通り過ぎたい。

私はどうしたらいいの?

ゴミ王子を求めてゴーチャットを彷徨う。



                続く

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