ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

文字の大きさ
上 下
27 / 124

爺の目的

しおりを挟む
遺体の処理の作業。

また再びやれなど冗談じゃない。逃げなくては。

だが腕は掴まれている。大人しく捕まるしかないの?

「ステーテル! 」

王子が走ってきた。

「何をやっておる! 」

「これは王子。ごきげんよう」

女性は跪いた。

チャンス。

王子の元へ駆け寄る。

「逃亡中の者でして…… ご理解ください」

「ならぬ! ステーテルは私の婚約者だ。私が引き取る」

「しかし王子…… 」

「良いな? 」

こうなっては女性が折れるしかない。

「分かりました。王子のお好きなように」

ワガママな王子がここに来てようやく役に立った。

「どういうことだステーテル? 一体君は? 」

「私にも…… たぶん人違いでは…… 」

言い訳になっていない。

「まあ過去などどうでも良い。だが勝手にどこかに行ってしまっては困る! 」

「申し訳ありません。つい…… 」

「もう良い。さあ戻るぞ! 」

ブランチは冷え切ってしまっている。

仕方なく無理矢理口に運ぶ。

ガムと男に止められるがそう言うわけにもいかない。もったいないじゃない。

冷え切った鶏肉にナイフを入れる。

「うん…… 美味しくない。もう限界」

すぐに音を上げる。

男に後始末を任せて館へ。

「ステーテルよ。済まぬが式までは外出を控えて欲しい」

「待ってください王子! 王子! 」

「いいな? 」

「は…… はい」

押し切られてしまった。せっかくもう少しと言うところで邪魔が入っただけでなく行動を制限されてしまう。しかしここまで警戒すると言うことは何かあるとしか思えない。

「大人しくしていてくれ」

王子はそれだけ言うと二階へ。


外出禁止令が下った。これでは身動きが取れない。

ガムと共に館に閉じ込められてしまった。どうしましょう?

爺との約束もあり館の捜索は続けているが……

うん…… 二階には自由には行かせてもらえない。

やはり二階に何か手掛かりがあるのでは? 問題はどうやって突破するか。昼は流石にメイドや執事がいる。
その中を探すとなると骨が折れる。だから結局人がいない夜となる。

自分の部屋に戻る。


ガムの協力を得て寝静まった頃に捜査開始。

「ねえガム…… 」

「お静かに気づかれてしまいますよ」

「でも…… 」

見回りと見張りをやり過ごし階段までやって来た。

とりあえず下へ。

再び地下の牢屋を訪問。


「おーい! 」

こちらに気付いたのか手を振る元国王。

昨日に続き今日も話を聞く。

「儂はこの国の王。今は乗っ取られてしまったがかつてはこの国を平和に導いた男よ」

信頼の置ける爺だ。

「あの…… 」

「早く出してくれぬか? 肩が凝って敵わん」

「こっちが先です! 」

ガムは引かない。口論になる前に代わる。

「何? 教えた通りにやれば簡単にできたはず」

「だって…… 」

「王子や村人の目を盗んでやるのだからそう簡単には行かない。あの河童の銅像が目印なのは分かった。でもそれ以上はちょっと」

「そうか詳しく教えるべきだった」

爺がブツブツと独り言。後悔しているとか?


「いいかよく聞け! 河童の向きを東に動かし…… その方角に歩いていけ。十分もしないで新たな像がある。
その像を今度は北に向けるのだ。また同じように歩いて行くと最後の像がある。その像が向いている方が橋。
お前らが通ってきた橋に繋がっている。たぶん川に向かって歩き出すはずだが怖がらなくてもよい。入っていけ! どうせここにいても氷漬けになるだけだ」


「分かりました。アドバイスありがとうございます。ですがもっと早くに詳しく教えてくれれば一気に帰れたのに」

「ははは! まあ焦るな。それでは儂の目的が果たせん」

「目的? 」

「ここから脱出する」

「でもどうやって? 」

「たぶん二階に鍵があるはずだ。お礼にとは言わんが探してきてくれないか」

「ここを出てどうする気? 」

「もちろんこの国を取り戻す」

「無理ですよ。あなた一人では不可能です」

「何。本当の国王の前では奴らもひれ伏すしかない。まずは民衆を味方につけることだ。それからゆっくりと片付ければいい。まあ最悪この国を脱出すればいいのだ。心配するな」

爺の目が輝いている。これは期待できるかもしれない。

「さあ行ってくれ! 自分たちのためにも儂のためにも。この国の平和のためにも」

「国王…… 」

「これは王命だ! 」


本格的に始動した脱出作戦。

元国王は牢屋から脱出できるのか?

ステーテルとガムはこの国から脱出できるのか?

               続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

【完結】婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

処理中です...