ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

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爺の目的

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遺体の処理の作業。

また再びやれなど冗談じゃない。逃げなくては。

だが腕は掴まれている。大人しく捕まるしかないの?

「ステーテル! 」

王子が走ってきた。

「何をやっておる! 」

「これは王子。ごきげんよう」

女性は跪いた。

チャンス。

王子の元へ駆け寄る。

「逃亡中の者でして…… ご理解ください」

「ならぬ! ステーテルは私の婚約者だ。私が引き取る」

「しかし王子…… 」

「良いな? 」

こうなっては女性が折れるしかない。

「分かりました。王子のお好きなように」

ワガママな王子がここに来てようやく役に立った。

「どういうことだステーテル? 一体君は? 」

「私にも…… たぶん人違いでは…… 」

言い訳になっていない。

「まあ過去などどうでも良い。だが勝手にどこかに行ってしまっては困る! 」

「申し訳ありません。つい…… 」

「もう良い。さあ戻るぞ! 」

ブランチは冷え切ってしまっている。

仕方なく無理矢理口に運ぶ。

ガムと男に止められるがそう言うわけにもいかない。もったいないじゃない。

冷え切った鶏肉にナイフを入れる。

「うん…… 美味しくない。もう限界」

すぐに音を上げる。

男に後始末を任せて館へ。

「ステーテルよ。済まぬが式までは外出を控えて欲しい」

「待ってください王子! 王子! 」

「いいな? 」

「は…… はい」

押し切られてしまった。せっかくもう少しと言うところで邪魔が入っただけでなく行動を制限されてしまう。しかしここまで警戒すると言うことは何かあるとしか思えない。

「大人しくしていてくれ」

王子はそれだけ言うと二階へ。


外出禁止令が下った。これでは身動きが取れない。

ガムと共に館に閉じ込められてしまった。どうしましょう?

爺との約束もあり館の捜索は続けているが……

うん…… 二階には自由には行かせてもらえない。

やはり二階に何か手掛かりがあるのでは? 問題はどうやって突破するか。昼は流石にメイドや執事がいる。
その中を探すとなると骨が折れる。だから結局人がいない夜となる。

自分の部屋に戻る。


ガムの協力を得て寝静まった頃に捜査開始。

「ねえガム…… 」

「お静かに気づかれてしまいますよ」

「でも…… 」

見回りと見張りをやり過ごし階段までやって来た。

とりあえず下へ。

再び地下の牢屋を訪問。


「おーい! 」

こちらに気付いたのか手を振る元国王。

昨日に続き今日も話を聞く。

「儂はこの国の王。今は乗っ取られてしまったがかつてはこの国を平和に導いた男よ」

信頼の置ける爺だ。

「あの…… 」

「早く出してくれぬか? 肩が凝って敵わん」

「こっちが先です! 」

ガムは引かない。口論になる前に代わる。

「何? 教えた通りにやれば簡単にできたはず」

「だって…… 」

「王子や村人の目を盗んでやるのだからそう簡単には行かない。あの河童の銅像が目印なのは分かった。でもそれ以上はちょっと」

「そうか詳しく教えるべきだった」

爺がブツブツと独り言。後悔しているとか?


「いいかよく聞け! 河童の向きを東に動かし…… その方角に歩いていけ。十分もしないで新たな像がある。
その像を今度は北に向けるのだ。また同じように歩いて行くと最後の像がある。その像が向いている方が橋。
お前らが通ってきた橋に繋がっている。たぶん川に向かって歩き出すはずだが怖がらなくてもよい。入っていけ! どうせここにいても氷漬けになるだけだ」


「分かりました。アドバイスありがとうございます。ですがもっと早くに詳しく教えてくれれば一気に帰れたのに」

「ははは! まあ焦るな。それでは儂の目的が果たせん」

「目的? 」

「ここから脱出する」

「でもどうやって? 」

「たぶん二階に鍵があるはずだ。お礼にとは言わんが探してきてくれないか」

「ここを出てどうする気? 」

「もちろんこの国を取り戻す」

「無理ですよ。あなた一人では不可能です」

「何。本当の国王の前では奴らもひれ伏すしかない。まずは民衆を味方につけることだ。それからゆっくりと片付ければいい。まあ最悪この国を脱出すればいいのだ。心配するな」

爺の目が輝いている。これは期待できるかもしれない。

「さあ行ってくれ! 自分たちのためにも儂のためにも。この国の平和のためにも」

「国王…… 」

「これは王命だ! 」


本格的に始動した脱出作戦。

元国王は牢屋から脱出できるのか?

ステーテルとガムはこの国から脱出できるのか?

               続く
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