ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

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お城発見

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ガムがいる。それだけで心が落ち着く。

「こんなに辛い思いをして。私がついていながら申し訳ありません」

「お姉さま。もっと私を強く叱ってください」

「待って! 」

ガムが遮る。

「ここはまだ危険よ。早く逃げましょう」

さすがはガム。冷静だ。


はあはあ
はあはあ

「もうここまで来れば安全でしょう」

「ねえガム。何がどうなっているの? もう訳が分からない」

「それは私も同感です」

目の前は真っ暗。ここがどこなのかも良く分からない。

「ねえガムの方はどうだったの? 」

「他愛もないことです。石を近くの採石場から運び出して一個ずつ洗い磨いたら一個ずつ重ねていく。
そんな地味な作業を延々と繰り返しました。ステーテルは? 」

「私は死体の破壊と再生」

「随分と文学的なんですね」

「大変だったんだから」

明日も明後日もその翌日も繰り返す。

その繰り返しに慣れてしまえばもうここを離れられなくなる。

そんな気がしてならない。

「行きましょうステーテル。こっちです」

ガムの後について行く。

「本当にこっちでいいの? 体が冷えるんだけど」

「夜ですからね。冷えるのでしょう。これ以上余計な会話は謹んで先を急ぎましょう」

ガムに任せておけば安心だ。

いつもピンチには私を助けてくれる。頼りになるお姉さんだ。

さあ帰りましょう。

こんな国はこりごり。

早く出口を見つけなくては。

光が見えた。

「あれは何でしょう? まさかお城? 」

ガムの言っているのはあの目の前にそびえ立つ建物のことだろう。

これをお城と形容してもいいのだろうか? 灰色のくすんだボロボロの建物。

大きな建造物に違いはないがお城とは思えない。

と言うよりも人が住んでいるようには見えない。

こんなところにいるのは魔王ぐらいなものだ。

「ねえ止めない。何か嫌な予感がする」

それにさっきからゾクゾクする。

「ステーテルの勘は当たった試しがないですからね今回も気のせいでしょう」

「そうかな…… 」

とにかく入ってみることに。

「先に行ってガム」

「何を言ってるんですか? はぐれてしまいますよ」

「さあ手をつなぎましょう」

「ガム…… 」

結局ガムも怖いのだ。だが私の手前立派な付き人像を演じなければならない。

やせ我慢しちゃって。フフフ…… かわいい。

「行きますよ」


不気味なお城に足を踏み入れた。

「ああ嫌だ嫌だ! 」

心の声が漏れる。

「ステーテル。安心してください。何かあればお守りいたします」

「ありがとうガム」

確かに付き人は主人が危なくなったら駆けつけて戦う役目。自分を犠牲にする精神は見習わなくてはいけない。

扉を開く。

ギギギ!

嫌な音がする。

この展開は化け物が出るお決まりのパターン。

まあここは死の国シーンジャット。何でもありなだけに一層警戒を強める必要がある。まあ脅かす為に隠れている暇人はいないだろうが。

「うん? あの光は何? 」

「もう早く帰りましょうよ」

ガムは口だけで震えて動いてくれない。

光が音を立て近づいてくる。

一匹二匹三匹?

コウモリの大群が襲ってきた。

「きゃあ! 」

「お願い! 」

コウモリは外へ出て行った。

不法に占拠した住人を追い払う結果となった。さあもう後は大丈夫。

「行きますよ」

「おう! 」

気合いを入れ直す。

一階には人の気配が無い。何も感じられない。

やはり二階に何かがいる。何だろう?

化け物の類は遠慮したい。これ以上の面倒はごめんだ。

階段をゆっくり登る。

ギイイ

古いせいか軋む。

ああここには手掛かりなし?

二階に上がると奥の部屋から光が漏れているのに気が付いた。

「どうしようかガム」

「突き進みましょう。元からその予定ではないですか」

光の漏れる部屋から話し声がする。

「さあ突撃だ! 」

「もう知らない! 」

ガムの後に続く。

               続く
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