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王子の悪い癖
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後はあのボンクラ王子を投げ飛ばせばいい。
「王子! 王子! 気を確かに! 」
復活の王子。
「うむ…… 良く寝たわ。どうした皆の者? 」
困ったことに何も覚えていないらしい。
「ちょっとあんたふざけんじゃないわよ! 」
「ステーテル様。お止めください。 」
執事の必死な訴え。
「ちょっと! 」
「どうしたステーテル? 相手せずに拗ねておるのか? 」
「あんたが…… 」
「ははは! 可愛いところがあるではないか」
「だからあんたのせいだって…… 」
「お止めください! 」
執事が止めに入る。
「だって…… 」
「いつものことでございます。どうかお静かに」
王子の我がままにはほとほと手を焼いているそうでどうにかならないかと。
仕方がないわね。
「ではステーテルよティ―タイムと行こうか」
普段の王子に戻った。
「さあ行こう」
こんな王子でもエスコートされるのは気分がいい。
「おい! サンテールはどこにおる? 」
「今は体調を崩して伏せてございます」
「それは残念だな」
ヒソヒソ
ヒソヒソ
メイドが王子の耳元で囁く。
「そうか来ておるか。すぐには無理だ。誰にも怪しまれないように部屋に連れて行け」
「ステーテル。急用が入ってしまいました。申し訳ない」
王子が姿を消した。
どうも怪しい。何をそんなに慌てる必要があるのか。
王子の秘密を暴いて見せましょう。
「ちょっと…… 」
お付の者を追い払い一人になる。
「王子! 王子! 」
呼びかけても反応が無い。
「どこに行ったのですか王子? 」
人の姿が見当たらない。
こっちだったかしら? あっちだったかしら?
もう右も左も分からない。
館の中で迷子になってしまった。
どうしましょう……
ああガム。助けてよ!
「おい何奴! 」
随分と偉そうなのが向かってくる。
「うん? 」
「あの…… 」
「黙っておらんで名を名乗れ! 無礼者! 」
「そちらこそ失礼ではないですか? 」
この人は一体何者? ずいぶんと上からだけど。
「うるさい! この次期国王に向かって何と無礼な! 」
「あなたは王子のお兄様? 」
「おお。何だ弟の婚約者か。そうか。ハハハ! 」
「いえまだ…… 」
「では侵入者か? 」
「ドロボー! 」
次期国王ともあろう者が騒ぎ立てる。何と情けないお方なのかしら。
「ドロボー! 」
「違います! ド・ラボーです」
「ド・ラボーだと? 証拠はあるのか? 」
「いえそれが…… お付の者がいなくなりまして困っております」
「そうかそうか。ド・ラボーとは興味深い。よい。一緒に来るがよい! 」
次期国王の後ろにつく。
ああ。これはこれでいいかもしれない。
でも爺だし。うるさそう。
好戦的に決まってる。
人影。
「おい! 第三王子を見なかったか? 」
「はいそれでしたら奥の部屋です…… うわあ! 勝手に開けては困ります! 」
制止を振り切り中へ。
「おお…… お待ちください! 」
「ごきげんよう」
一緒に中へ。
ぎゃああ!
ぎゃああ!
激しく泣きじゃくる赤ん坊。
何で?
「お兄様がなぜ? 」
王子の動揺が見え隠れする。
「馬鹿者! 婚約者を待たせる奴があるか! 」
「まさか…… ステーテル…… 」
「それでお前。この方は誰だ? 」
「それがですね…… 」
王子の慌てふためく姿を初めて見た。
「紹介致せ! 」
「その…… 」
観念した王子は赤ん坊と一緒にいる女性を紹介した。
彼女はどちらかと言えばこちらの部類で。町娘その者。いやそれよりも卑しい者に見える。
格好がふさわしくない。ドレスではなく染みだらけの服。
「ごめえなさいねー 」
ふざけてるわけではなくこれでも言葉遣いには気をつけてるのだとか。
もう完全な田舎者。
「おい! 分かるように説明しろ! 」
「それがそれが…… 」
言い訳しようにもこの状況では不可能。
おぎゃー!
おぎゃー!
「皆まで言わずともよい。この子はお前の子だな? 」
「はい。確かに。いえ違うんです…… 」
今さら繕ってももう遅い。
後の祭り。
「王子じゃまが好きじゃ言いおるけん…… 許してーね」
「ではお前はステーテルではなくこの娘を取ると言うんだな? 」
「いえ…… その…… 」
「はっきりしなさいよ! 」
「ステーテル…… 」
「はい」
ついに王子は観念する。
王子はド・ラボーの私でもなくサンテールでもなくただの村娘を選んだ。
これでお断りせずに済みそうだ。
「では後は家の問題だ。後日改めて話し合うとしよう。こちらも忙しい。その時までには決断するように」
それだけ言い残し去って行った次期国王。
「ごめね! もう行ぐわ」
女は赤ん坊を抱き部屋を出る。
取り残された王子。
王子に明日はあるのか?
続く
「王子! 王子! 気を確かに! 」
復活の王子。
「うむ…… 良く寝たわ。どうした皆の者? 」
困ったことに何も覚えていないらしい。
「ちょっとあんたふざけんじゃないわよ! 」
「ステーテル様。お止めください。 」
執事の必死な訴え。
「ちょっと! 」
「どうしたステーテル? 相手せずに拗ねておるのか? 」
「あんたが…… 」
「ははは! 可愛いところがあるではないか」
「だからあんたのせいだって…… 」
「お止めください! 」
執事が止めに入る。
「だって…… 」
「いつものことでございます。どうかお静かに」
王子の我がままにはほとほと手を焼いているそうでどうにかならないかと。
仕方がないわね。
「ではステーテルよティ―タイムと行こうか」
普段の王子に戻った。
「さあ行こう」
こんな王子でもエスコートされるのは気分がいい。
「おい! サンテールはどこにおる? 」
「今は体調を崩して伏せてございます」
「それは残念だな」
ヒソヒソ
ヒソヒソ
メイドが王子の耳元で囁く。
「そうか来ておるか。すぐには無理だ。誰にも怪しまれないように部屋に連れて行け」
「ステーテル。急用が入ってしまいました。申し訳ない」
王子が姿を消した。
どうも怪しい。何をそんなに慌てる必要があるのか。
王子の秘密を暴いて見せましょう。
「ちょっと…… 」
お付の者を追い払い一人になる。
「王子! 王子! 」
呼びかけても反応が無い。
「どこに行ったのですか王子? 」
人の姿が見当たらない。
こっちだったかしら? あっちだったかしら?
もう右も左も分からない。
館の中で迷子になってしまった。
どうしましょう……
ああガム。助けてよ!
「おい何奴! 」
随分と偉そうなのが向かってくる。
「うん? 」
「あの…… 」
「黙っておらんで名を名乗れ! 無礼者! 」
「そちらこそ失礼ではないですか? 」
この人は一体何者? ずいぶんと上からだけど。
「うるさい! この次期国王に向かって何と無礼な! 」
「あなたは王子のお兄様? 」
「おお。何だ弟の婚約者か。そうか。ハハハ! 」
「いえまだ…… 」
「では侵入者か? 」
「ドロボー! 」
次期国王ともあろう者が騒ぎ立てる。何と情けないお方なのかしら。
「ドロボー! 」
「違います! ド・ラボーです」
「ド・ラボーだと? 証拠はあるのか? 」
「いえそれが…… お付の者がいなくなりまして困っております」
「そうかそうか。ド・ラボーとは興味深い。よい。一緒に来るがよい! 」
次期国王の後ろにつく。
ああ。これはこれでいいかもしれない。
でも爺だし。うるさそう。
好戦的に決まってる。
人影。
「おい! 第三王子を見なかったか? 」
「はいそれでしたら奥の部屋です…… うわあ! 勝手に開けては困ります! 」
制止を振り切り中へ。
「おお…… お待ちください! 」
「ごきげんよう」
一緒に中へ。
ぎゃああ!
ぎゃああ!
激しく泣きじゃくる赤ん坊。
何で?
「お兄様がなぜ? 」
王子の動揺が見え隠れする。
「馬鹿者! 婚約者を待たせる奴があるか! 」
「まさか…… ステーテル…… 」
「それでお前。この方は誰だ? 」
「それがですね…… 」
王子の慌てふためく姿を初めて見た。
「紹介致せ! 」
「その…… 」
観念した王子は赤ん坊と一緒にいる女性を紹介した。
彼女はどちらかと言えばこちらの部類で。町娘その者。いやそれよりも卑しい者に見える。
格好がふさわしくない。ドレスではなく染みだらけの服。
「ごめえなさいねー 」
ふざけてるわけではなくこれでも言葉遣いには気をつけてるのだとか。
もう完全な田舎者。
「おい! 分かるように説明しろ! 」
「それがそれが…… 」
言い訳しようにもこの状況では不可能。
おぎゃー!
おぎゃー!
「皆まで言わずともよい。この子はお前の子だな? 」
「はい。確かに。いえ違うんです…… 」
今さら繕ってももう遅い。
後の祭り。
「王子じゃまが好きじゃ言いおるけん…… 許してーね」
「ではお前はステーテルではなくこの娘を取ると言うんだな? 」
「いえ…… その…… 」
「はっきりしなさいよ! 」
「ステーテル…… 」
「はい」
ついに王子は観念する。
王子はド・ラボーの私でもなくサンテールでもなくただの村娘を選んだ。
これでお断りせずに済みそうだ。
「では後は家の問題だ。後日改めて話し合うとしよう。こちらも忙しい。その時までには決断するように」
それだけ言い残し去って行った次期国王。
「ごめね! もう行ぐわ」
女は赤ん坊を抱き部屋を出る。
取り残された王子。
王子に明日はあるのか?
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