ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

文字の大きさ
上 下
8 / 124

王子乱心 執事背信

しおりを挟む
銃声が響いた。

一体何が?

王子がお供を連れてハンティング。

獲物を捕らえたのか騒がしい。

王家の広々とした庭で趣味のハンティング。優雅でございますこと。

メイドの話では王子は腕はよくないが人一倍征服欲があるとかでまあ俗に言う弱い者いじめで小動物を狩るそうだ。

まあ大体がウサギとかリスだそうで少し可哀想な気がする。

あんなにキュートな動物を仕留めるなんて。

まあ殿方のお遊びは理解しているつもりなんだけど。やっぱり残酷よね。

ドン! ドン!

再び銃声。

どうしたのかしら何か変だわ? 

王子様に危機が迫っている。

でも私の力ではどうすることもできない。行っても足手まといになるだけ。

こんな時ガムがいてくれたら。

本当にガムはどこに行ってしまったのだろう?

私を置いていくなんてどう言うつもり?


「お止めください王子! 」

お供の一人が喚く。

しかし王子には響かない。

なぜならもう完全にイッテしまっているからだ。

「若様ご乱心! 」

きゃあ!
きゃあ!

メイドに混じってサンテールが走ってきた。

あの上品で高貴なオーラはなく町娘その者。

必死に走る顔は女を捨てたと見える。

プププ……

あらあらどうしたのかしら。笑いが止まらない。

「どうなさいまして? 」

「王子が! 王子が…… 」

息を切らして声にならない。

これは大変。何かあったに違いない。逃げなくては。

「待て! 動くでない! 」

あれ王子?

執事が慌てて走ってきた。

「何? 王子に弾の入った銃を渡しただと。あれほど気をつけよと言ったのに」

混乱状態。

何が起きているのか分からない。

「申し訳ありません。お許しください」

そう言うと執事は散弾銃を構えた。

ズドン!

躊躇なく放った弾丸は王子の胸付近に命中。

あらら…… 急展開過ぎるわね。

究極のうつ展開。

ああもう着いていけない。

「王子! 王子! 」

「王子様! いやああ! 」

サンテールが絶叫。

何か呑気なのよね。

「これっておかしくない? 」

メイドに確認。

「あの…… あれは王子を大人しくさせるために作られた特注品で麻酔銃なんです」

「あらあら。紛らわしい」

サンテールが涙を流して今にも倒れる寸前。

「大丈夫ですよ。サンテール様」

「黙って! ここは放っておきましょう。ねえ」

「しかしステーテル様。それはあんまりでございます」

「いいのよ。これは彼女の為でもあるんだから」

「ですが…… 」
 
それよりもガムを探さなきゃ。

「知らせなくては」

メイドがサンテールの元へ駆けつける。

落ち着かせてから部屋に連れて行く。

あーあ。面白いところだったんだから余計なことしないで欲しいわね。

皆が落ち着いたところで館に戻る。

「これは大変申し訳ございません。このことはどうぞご内密に」

王子の恥。王家の恥。

執事にはそれだけは何として隠し通せねばならない。

「あー疲れた」

ステーテル様どこへ。

「サンテールの所へお見舞いに」

「王子はもうしばらくかかります。それまではごゆっくり。お目覚めになったらお知らせいたしますので」

大変なことが起きた。

ライバルを励ますなんてなんて優しいのかしら。


ノックもせずに中へ。

「あらステーテル」

落ち込んでいるのか元気が無い。

まあ無理もないか。

「大丈夫ですか? 」

「ええ。何とか」

「心配になりお見舞いに来たのですがご迷惑だったでしょうか? 」

「いえ」

サンテールは受け入れる。

「大丈夫? 怖くなかった? 」

「嫌! もう思い出したくない! 」

やはりまだダメなようだ。

まったくせっかくあのボンクラ王子をこの女に押し付けようと思ったのに……

「心配しないで。私がついていたあげるから」

何とか復活してもらわなくては困る。

「さあおやすみになって。明日になればすっきりするでしょう」

「ステーテル! 」

「ふふふ…… 負けないでねサンテール」

「お友達! 」

「うん。お友達! 」

王子を押し付けるためとは言え勘違いさせてしまったかしら。

まあいいか。

                   続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」 結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は…… 短いお話です。 新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。 4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

処理中です...