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最終話 残された者
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やっぱりそうだ。朝だ。
ようやく朝目覚めることができた。
呪縛が解けた?
俺はようやく自分を取り戻すことができた。
リン? リン?
どこに行ったんだ? まったくこれだから。
あれ何か変だな……
確かリンは昨日……
リン! リン! どこだ?
居ない? そんな馬鹿な!
リン! リン!
コテージを離れる。
FLへ。
隈なく探す。
どこにもいない。
ここではないのか?
諦めずに次。
RA地点へ。
走る。
リン! リン! お願いだ顔を見せてくれ!
やはり誰も居ない。
くそ!
残すは……
WA地点に向かう。
ここに居なければ諦めるしかない。
途中で崖に寄る。
人影はないか……
念のために確認。まあここにはいないか。
はあはあ
はあはあ
もう疲れた。
泉の水を手で掬う。
うーん。うまい! 生き返る。
ふう…… やはりいないか。
昨日のあれはやはり現実だと言うことか。
俺はてっきり夢だとばかり思っていた。
もうこの島には誰も居ない。
誰一人いない。
翌日
島を一周する。
今度は山を登り山小屋までを見て回る。それから迷宮の隅々まで探し回る。
とにかくあらゆる箇所を確認。
一度見た場所も改めて行ってみる。
そうやってすべてを潰していく。
可能性がある限り何度でも。
だが決して誰も姿を現すことはなかった。
分かっている。だが毎日確かめずにはいられない。
リンがひょいと顔を見せないとも限らないのだから。
欲望も願望も希望も全て打ち砕かれた。
残っているのは孤独と言う現実。
うおおお!
自分を保つために叫び続ける。
ビーチに戻る。
やはりここにもいないか。
誰か顔を見せてくれるのではないか。
いくら有り得ないと分かっていても待ち続けるしかない。
リン! リン!
アイミ!
ムーちゃん!
リン!
亜砂!
空蝉!
誰でもいい。誰でもいいから返事をしてくれ!
この際博士だって構わない。
博士お願いします!
だが決して誰も姿を見せようとしない。
当たり前だ。もう存在しないのだから。
分かっているつもりだったが自分ではどうすることもできない。
どうして……
俺一人島に取り残された。
ゲンジ? 済まない。
済まない。みんな済まない。
もうどうすることもできない。
ただボーっとしている訳にもいかない。
切り替える。
またこいつで作り直すしかないか。
よし一からやり直しだ。
ペットボトルに水を満たし生命の泉を混ぜる。
さあ後は温めるだけだ。
放置。
三十分経過。
もうそろそろかな。
くそ! また失敗しやがった!
まったく配分が難しい。
ほんのちょっとの差なのだが上手く行かない。
止め! 止め!
今日は終了!
もう疲れた。寝るか。
アイミ?
ムーちゃん?
リン?
亜砂?
空蝉?
やはりお前たちがいないと寂しい。
戻って来てくれよ!
お願いだ! 戻ってきてくれ!
うおおお!
島中に絶叫が響き渡った。
さざ波の音がする。
「お兄ちゃん! 」
リンの元気な声が聞こえた気がした。
<完>
この物語はフィクションです。
登場人物紹介
ゲンジ 主人公
以上。
一人芝居。
残りは過去と幻。
夏への招待状 失われた記憶と消えゆく少女たち 無人島脱出お宝大作戦
次回予告
ようやく物語も終わり秘密が明かされる。
特別篇についての情報も解禁。
この物語に続きはない。(特別篇のみで)
しかし……
ようやく朝目覚めることができた。
呪縛が解けた?
俺はようやく自分を取り戻すことができた。
リン? リン?
どこに行ったんだ? まったくこれだから。
あれ何か変だな……
確かリンは昨日……
リン! リン! どこだ?
居ない? そんな馬鹿な!
リン! リン!
コテージを離れる。
FLへ。
隈なく探す。
どこにもいない。
ここではないのか?
諦めずに次。
RA地点へ。
走る。
リン! リン! お願いだ顔を見せてくれ!
やはり誰も居ない。
くそ!
残すは……
WA地点に向かう。
ここに居なければ諦めるしかない。
途中で崖に寄る。
人影はないか……
念のために確認。まあここにはいないか。
はあはあ
はあはあ
もう疲れた。
泉の水を手で掬う。
うーん。うまい! 生き返る。
ふう…… やはりいないか。
昨日のあれはやはり現実だと言うことか。
俺はてっきり夢だとばかり思っていた。
もうこの島には誰も居ない。
誰一人いない。
翌日
島を一周する。
今度は山を登り山小屋までを見て回る。それから迷宮の隅々まで探し回る。
とにかくあらゆる箇所を確認。
一度見た場所も改めて行ってみる。
そうやってすべてを潰していく。
可能性がある限り何度でも。
だが決して誰も姿を現すことはなかった。
分かっている。だが毎日確かめずにはいられない。
リンがひょいと顔を見せないとも限らないのだから。
欲望も願望も希望も全て打ち砕かれた。
残っているのは孤独と言う現実。
うおおお!
自分を保つために叫び続ける。
ビーチに戻る。
やはりここにもいないか。
誰か顔を見せてくれるのではないか。
いくら有り得ないと分かっていても待ち続けるしかない。
リン! リン!
アイミ!
ムーちゃん!
リン!
亜砂!
空蝉!
誰でもいい。誰でもいいから返事をしてくれ!
この際博士だって構わない。
博士お願いします!
だが決して誰も姿を見せようとしない。
当たり前だ。もう存在しないのだから。
分かっているつもりだったが自分ではどうすることもできない。
どうして……
俺一人島に取り残された。
ゲンジ? 済まない。
済まない。みんな済まない。
もうどうすることもできない。
ただボーっとしている訳にもいかない。
切り替える。
またこいつで作り直すしかないか。
よし一からやり直しだ。
ペットボトルに水を満たし生命の泉を混ぜる。
さあ後は温めるだけだ。
放置。
三十分経過。
もうそろそろかな。
くそ! また失敗しやがった!
まったく配分が難しい。
ほんのちょっとの差なのだが上手く行かない。
止め! 止め!
今日は終了!
もう疲れた。寝るか。
アイミ?
ムーちゃん?
リン?
亜砂?
空蝉?
やはりお前たちがいないと寂しい。
戻って来てくれよ!
お願いだ! 戻ってきてくれ!
うおおお!
島中に絶叫が響き渡った。
さざ波の音がする。
「お兄ちゃん! 」
リンの元気な声が聞こえた気がした。
<完>
この物語はフィクションです。
登場人物紹介
ゲンジ 主人公
以上。
一人芝居。
残りは過去と幻。
夏への招待状 失われた記憶と消えゆく少女たち 無人島脱出お宝大作戦
次回予告
ようやく物語も終わり秘密が明かされる。
特別篇についての情報も解禁。
この物語に続きはない。(特別篇のみで)
しかし……
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