夏への招待状 失われた記憶と消えゆく少女たち 無人島脱出お宝大作戦

二廻歩

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暗号と地図

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四日目。
朝方まで降り注いだ雨も止み太陽が差し込んできた。
再び地図作りに励む。
前回は東の方を探索したので今回は逆の西に向かう。
ふう。今日も暑い。
宝! 宝!
暑さによる疲れも計算しながら歩き出す。
海岸線沿いに進む。
特に何もない。
あるとすれば良型の魚が釣れるごつごつとした岩場ぐらいなもので。
海岸線沿いの道はすぐに途絶えてしまった。
残るは道なき道を足元に気をつけながら歩く。
背丈の倍以上に伸びた緑が邪魔をする。
ナイフを使って切り拓いていく。
まだ西端には着かない。
どうやら迷ったようだ。
コンパスを見る。
あれおかしいな? さっきまで西を向いていた針が逆の東に向いている。
しょうがない。そのまま進んでみるか。
緑の道は深く飲み込まれそうだ。
それにしても暑い。
喉も渇いてきた。
この辺りで休憩。

パンをかじり水筒の水で流し込む。
パンは慣れたとはいえ味気ないし水はぬるい。
改善は難しいが島での楽しみと言ったら食うことぐらいなんだから博士も理解してくれるだろう。
それにしてもパンだけでなく缶詰ぐらい持たせて欲しいものだ。
気が利かない博士には困ったものだ。
愚痴はこれくらいで出発するか。
念のためコンパスを見る。
西?
そんな馬鹿な! さっき東を指していたのに。あり得ない!
まずいな。とにかくまっすぐ進む。

景色に変化が見られる。
甘い匂いに反応する。
ココナッツの木。
うまそうだ。
木登りは得意ではないが両足をロープで縛り上へ。
落ちても気にしない。
下は柔らかい土。
痛くはないだろう。
ココナッツを落として作戦終了。

しまった。俺高い所ダメだったんだ。どうしよう?
後になって気づいたがもう遅い。
急いで下る。
うわああ!
慌てて降りたため滑ってしまい危機一髪。
だが何とか立て直し今度はゆっくり慎重に下りる。
ココナッツゲット!
ナイフで穴を開け中の汁を飲み干す。
うーん。
ぬる! 思ってたのと違う! 甘味が薄い。
さあ満足したことだし先を急ぐか。
コンパスを確認。 
やっぱりおかしい。今度は南を指している。
どうやら狂っちまったようだ。
ここはいったん戻るべきだろう。
来た道を戻る。

迷ってはいけないのでなるべく真っ直ぐ進む。
それでも感覚だけでは迷ってしまう。
結局海岸線沿いの道に戻るまでに一時間以上要した。
岩場で魚とカニをゲット。
これで夕飯はばっちり。
早めに博士の元へ。

「どうだった? 」
「それが迷ってしまいまして…… 」
「何をやってるんだ! 」
「いやあ…… 危うく遭難するところでしたよ」
「君は相当な方向音痴だな」
呆れる。
「いえ。コンパスが壊れてしまって…… 」
言い訳をするもまったく聞き入れてはもらえない。
捕まえたカニを独り占めして俺には魚を寄越す。
「いいか。明日までに完成させろ! ただ行って帰ってくるだけだろうが! 」
博士は分かっていない。どれだけ大変なのかを理解しようともしない。
ただ文句を言うだけ。自分でやってもらいたいものだ。
「明日だぞ。明日までにやれ! 」
そう言うとカニ味噌を啜る。
続けてもう一杯。
今度は甲羅を割り足を引きちぎる。そして口の中へ。
バリバリ
ガリガリ
不快な音を立て食い尽くす。
もちろん俺には一口もない。
魚でも食ってろと言うことだろうか?
あまりにもひどい仕打ち。
我慢の限界は近い。

五日目。
昨日の記憶を頼りに昼前にココナッツゾーンまでたどり着いた。
さあこの後はどうする?
ぼうぼうの雑草ではなく整理された一画が目の前に広がる。
これは一体?
管理されている。
最近まで誰かがこの島にいたのか?
明らかに管理された一画にはリンゴやナシにブドウのような果実にココナッツやバナナ等の南の島特有のものがある。他にも探せばもっと出てくるかもしれないが今のところこれだけだ。
これだけあれば食糧には困らないだろう。
果物も飲み物もある。
ひとまずリンゴとバナナで腹を満たす。
相変わらず博士はパンしかくれない。どうしようもないケチ野郎。
一画を超え南に針路をとる。
再び緑の道。
背丈を軽く上回る草木が行く手を阻む。
格闘すること一時間弱。
山の入り口までやって来た。

さあここからは登山だ。
だが待てよ……
もうこれ以上は行く必要はないのでは?
山だと言うことが分かった時点で任務完了。
山は山でしかない。
もう地図は完成。
後は細かいところを適当に誤魔化せば形になるはず。
頂上まで登る馬鹿はいない。
さあ帰ろう。

帰りは西端を進み地図を足す作業に入る。
よしいいぞ。
ついでに釣りスポットも入れよう。
海岸線に出る。
時間が余ったので一泳ぎ。
夕暮れまで満喫。
帰りに魚を捕まえて博士の元へ。

「帰りました」
「ゲンシ君。お帰りなさい」
いつもにも増して機嫌がいい。何か良いことでもあったのだろうか?
「いやあ。ご苦労さま。とりあえずこれを見てくれ」
「何ですか博士? 」
「これはな。暗号になっている」
「暗号? 」
「そうだ。これを解読できればもうお宝は目の前だ」
「博士! 」
「それで地図の方はできたかな? 」
「はい。大体の地図は出来上がりました。
後は距離とか広さとか細かいところを埋めれば完璧です」
「よろしい! 休むといい」
これは良いぞ! 前祝いと行こう。
酒を含む。
博士が隠し持っていた酒をふるまう。
「いや。うまいっすね」
「そうだろ。そうだろ。格別さ」
勝利の美酒。
うまくない訳がない。
夜遅くまで酌み交わした。

                    【続】
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