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プライスレス とっておきのお宝
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三日目。
朝からの大荒れ。さすがに今日は無理だろう。大人しく待機しているのが利口だ。
「博士? 」
「仕方がない今日はゆっくりしよう」
「やった! 」
「馬鹿者! 残念がらないでどうする。目の前には宝の山があるんだぞ」
確かにそうなんだが実感がわかない。
博士のほら話か出任せか又は騙されたかのどれかだと思っているからだ。
「バカンスはどうしたんですか? 」
「ははは…… まだ覚えていたのか」
「当たり前ですよ」
「宝さがしのついでにバカンスすればいいではないか」
「しかし…… 」
「宝さえ見つかれば好きなだけ遊べるぞ。だからまずは宝さがしに精を出してもらいたい」
もっともな意見。うまく丸込められた気がする。
仮に財宝が存在したとして発見するのは至難の業ではないのか? そもそもちゃんと分けてくれくかも怪しい。
この際はっきりと主張する物は主張して約束を取り付けるのも一つの手。
だがうーん。迷いどころだ。
どうするかな。
「博士…… 」
ベットの上に資料を広げ忙しなく見返している。
「これを見ろ! 」
「何ですか? 」
「金だ。それに銀だ。この輝きを見てみろ! 」
光り輝く物体がわんさか埋まっているらしい。
この島のどこかに眠っている。
「どうだ少しはやる気が出たか? 」
首を縦に振る。
「この辺りは海賊が頻発する海域で何世紀にもわたって危険地帯とされていた。
外国船が何隻もこの辺りで沈められたり取り囲まれて積み荷を奪われたりと被害にあっている。
まあその頃は割と普通だったのかもしれないな。」
ふあ―あ。
眠気が襲ってきた。
昨晩はよく寝たはずだが。寝心地はともかく睡眠不足のはずがない。
「博士眠いっす」
「寝るな! 助手だろうが! 」
「だって…… 眠すぎる」
「いいから話を聞け! 」
「ふあーい」
「ある時一隻の船が気が付かずに危険地帯に侵入してしまった。
案の定海賊に見つかってしまう。そうなってはお手上げだ。
金銀財宝の半分が奪われたが隙を突き逃げ出した。
しかし海賊たちも馬鹿じゃない。
一時間もしないで再び拿捕される」
「ぐうう…… 」
「おいそこ! 真面目に聞いているのか? 」
「俺ですか? 」
「他に誰がいる? 」
「要点だけをお願いします」
「まったくこれだから最近の若い者は…… 」
博士が言うには我慢ができないそうだ。
「ロマンだよ君! 」
「ロマンですか? 」
「ああ。海賊に捕まる前に残りの宝を一時的に埋めたと言われている」
「一時的に埋める? すぐにばれますよ」
「確かに。だが海に捨てたと言い張れば気づくことはあるまい」
「そうですかね? 」
「乗客乗員全員が海の藻屑に消えたと記録されている。
歯向かった罰だそうだ。
後になって分かったんだが残りの金銀がどこかに埋められたらしい」
「本当ですか? どうやってその事を知り得たんですか? 」
「乗客の一人が日記をつけていたのさ。残された沈没船から公になった。
しかしその島はどこかと言うことが最近まで分からなかった。
だが一人の学者が突き止めた。
その事を発表する前に我々が頂いてしまおうという訳だ」
「まずくないっすか? 人の手柄を横取りするようで忍びないっす」
「馬鹿者! 一番最初に見つけた者にその権利がる。常識だよ君。もちろん土地所有者にも権利はあるが何と言ってもここは無人島。その辺のことは心配する必要はない」
「でも…… 」
「ふん。誰も来ないさ。昔のおとぎ話に付き合っているほど暇ではない。
宝など存在しないと言い張る者までおる。
本当に信じている奴などいない。眉唾ものさ。沈没船の話だってでたらめかもしれない。」
「だがな。私はあると思っている。この島のどこかに絶対隠されている」
「我々は隠された宝を探しに来たのさ」
「俺を騙して? 」
「そうだ! 」
「無理矢理連れてきて? 」
「何がいけない? 助手だろ? 」
謝るつもりはないらしい。
話を戻す。
「博士の目的も金銀財宝だと」
「確かにそれもそうだ」
押し黙ってしまった。溜めるだけ溜める博士。面倒くさいなあ。
仕方なく先を促す。
「他にもあるんですか? 」
「ああ。とっておきの宝があるのさ」
「とっておき? 」
「日記にはこうも書いてあった」
『金銀財宝などくれてやれ。それで済むなら安いものだ。
私の買い付けた品物だけは守って欲しい。
何と言っても価値をつけられないのだから』
「どういうことでしょう? 」
「さあな。だが金銀はいくらあっても相場と言うものがある。
しかし彼が大切にしていた物は遥か上をいくとんでもない代物に違いない。
今の価値に直せば数千億。いや兆はいくだろう。国家予算並みの価値があるに違いない。
興奮しないか? 私は震えている」
隠された財宝にとっておきのブツ。
俄然やる気が出てきた。
「どう言ったものかは分からないんですか? 」
「おおよその見当はついているが今のところはまだ何とも。見てのお楽しみだ」
夜。
雨は収まるどころか夜になって激しさを増した。
大丈夫だろうか?
ボロ小屋では耐久性に問題がある。
流されでもしたら…… お終いだ。
ああどうしよう?
不安が押し寄せてくる。
心配だな……
不安も心配もなんのそのすぐに夢の世界に誘われていく。
【続】
朝からの大荒れ。さすがに今日は無理だろう。大人しく待機しているのが利口だ。
「博士? 」
「仕方がない今日はゆっくりしよう」
「やった! 」
「馬鹿者! 残念がらないでどうする。目の前には宝の山があるんだぞ」
確かにそうなんだが実感がわかない。
博士のほら話か出任せか又は騙されたかのどれかだと思っているからだ。
「バカンスはどうしたんですか? 」
「ははは…… まだ覚えていたのか」
「当たり前ですよ」
「宝さがしのついでにバカンスすればいいではないか」
「しかし…… 」
「宝さえ見つかれば好きなだけ遊べるぞ。だからまずは宝さがしに精を出してもらいたい」
もっともな意見。うまく丸込められた気がする。
仮に財宝が存在したとして発見するのは至難の業ではないのか? そもそもちゃんと分けてくれくかも怪しい。
この際はっきりと主張する物は主張して約束を取り付けるのも一つの手。
だがうーん。迷いどころだ。
どうするかな。
「博士…… 」
ベットの上に資料を広げ忙しなく見返している。
「これを見ろ! 」
「何ですか? 」
「金だ。それに銀だ。この輝きを見てみろ! 」
光り輝く物体がわんさか埋まっているらしい。
この島のどこかに眠っている。
「どうだ少しはやる気が出たか? 」
首を縦に振る。
「この辺りは海賊が頻発する海域で何世紀にもわたって危険地帯とされていた。
外国船が何隻もこの辺りで沈められたり取り囲まれて積み荷を奪われたりと被害にあっている。
まあその頃は割と普通だったのかもしれないな。」
ふあ―あ。
眠気が襲ってきた。
昨晩はよく寝たはずだが。寝心地はともかく睡眠不足のはずがない。
「博士眠いっす」
「寝るな! 助手だろうが! 」
「だって…… 眠すぎる」
「いいから話を聞け! 」
「ふあーい」
「ある時一隻の船が気が付かずに危険地帯に侵入してしまった。
案の定海賊に見つかってしまう。そうなってはお手上げだ。
金銀財宝の半分が奪われたが隙を突き逃げ出した。
しかし海賊たちも馬鹿じゃない。
一時間もしないで再び拿捕される」
「ぐうう…… 」
「おいそこ! 真面目に聞いているのか? 」
「俺ですか? 」
「他に誰がいる? 」
「要点だけをお願いします」
「まったくこれだから最近の若い者は…… 」
博士が言うには我慢ができないそうだ。
「ロマンだよ君! 」
「ロマンですか? 」
「ああ。海賊に捕まる前に残りの宝を一時的に埋めたと言われている」
「一時的に埋める? すぐにばれますよ」
「確かに。だが海に捨てたと言い張れば気づくことはあるまい」
「そうですかね? 」
「乗客乗員全員が海の藻屑に消えたと記録されている。
歯向かった罰だそうだ。
後になって分かったんだが残りの金銀がどこかに埋められたらしい」
「本当ですか? どうやってその事を知り得たんですか? 」
「乗客の一人が日記をつけていたのさ。残された沈没船から公になった。
しかしその島はどこかと言うことが最近まで分からなかった。
だが一人の学者が突き止めた。
その事を発表する前に我々が頂いてしまおうという訳だ」
「まずくないっすか? 人の手柄を横取りするようで忍びないっす」
「馬鹿者! 一番最初に見つけた者にその権利がる。常識だよ君。もちろん土地所有者にも権利はあるが何と言ってもここは無人島。その辺のことは心配する必要はない」
「でも…… 」
「ふん。誰も来ないさ。昔のおとぎ話に付き合っているほど暇ではない。
宝など存在しないと言い張る者までおる。
本当に信じている奴などいない。眉唾ものさ。沈没船の話だってでたらめかもしれない。」
「だがな。私はあると思っている。この島のどこかに絶対隠されている」
「我々は隠された宝を探しに来たのさ」
「俺を騙して? 」
「そうだ! 」
「無理矢理連れてきて? 」
「何がいけない? 助手だろ? 」
謝るつもりはないらしい。
話を戻す。
「博士の目的も金銀財宝だと」
「確かにそれもそうだ」
押し黙ってしまった。溜めるだけ溜める博士。面倒くさいなあ。
仕方なく先を促す。
「他にもあるんですか? 」
「ああ。とっておきの宝があるのさ」
「とっておき? 」
「日記にはこうも書いてあった」
『金銀財宝などくれてやれ。それで済むなら安いものだ。
私の買い付けた品物だけは守って欲しい。
何と言っても価値をつけられないのだから』
「どういうことでしょう? 」
「さあな。だが金銀はいくらあっても相場と言うものがある。
しかし彼が大切にしていた物は遥か上をいくとんでもない代物に違いない。
今の価値に直せば数千億。いや兆はいくだろう。国家予算並みの価値があるに違いない。
興奮しないか? 私は震えている」
隠された財宝にとっておきのブツ。
俄然やる気が出てきた。
「どう言ったものかは分からないんですか? 」
「おおよその見当はついているが今のところはまだ何とも。見てのお楽しみだ」
夜。
雨は収まるどころか夜になって激しさを増した。
大丈夫だろうか?
ボロ小屋では耐久性に問題がある。
流されでもしたら…… お終いだ。
ああどうしよう?
不安が押し寄せてくる。
心配だな……
不安も心配もなんのそのすぐに夢の世界に誘われていく。
【続】
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