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皆の力を合わせて暗号解読
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「分かったんだよ。暗号の意味が。あのスペルがさ」
「FLだっけ」
「そうこれはFLOWERのことなんだ」
「花ってこと? 」
「正解! だからここがFLだ」
「だったら他のは? 」
「大丈夫。一つが分かれば他もすぐに分かる。よしコテージに戻るぞ」
念のためにムーちゃんにコテージまでの距離を測ってもらう。
宝探しには必須の巨大メジャー。
博士が愛用していたメジャーを引っ掻きまわし探し当てた。
ちょっとした宝さがし。
他にも探検用ライトにスコップとシャベル。変な壺。
これらはすべてコテージの裏口の通路に見えないようにカモフラージュされて置かれていた。
役に立つアイテムが増え、やる気が出てきた。
しかしなぜこれらのものが隠されていたのか。
何のために隠したのか。
誰が隠したのか。
まったく分からない。
壺は水ではなさそうだ。
何かの液体らしい。
気持ちが悪いのでそのままにしている。
辺りにはペットボトルが散乱している。
何か関係があるのかもしれない。
疑問は残るが今は暗号解読に全力を注ぐ。
「よし到着。どうだった? 」
ムーちゃんは首を振る。
「分かりません。大体三キロぐらい。正確ではありません。適当です」
「三キロと。よしどうやら間違いない」
「ありがとうムーちゃん。皆も」
青空教室再開。
「あそこの果樹園までが大体三キロ。FLまでの距離は29だったな。
もし1が百メートルなら大体合致する。このFLは果樹園のことだ」
「なんだリンもそうじゃないかなあって思ったんだ」
百パーセント何も考えてなさそうなリン。
「いい加減なこと言うな! 」
「信じないのお兄ちゃん? 」
「ハイハイ」
「本当だよ」
「リン! 嘘をつかないで! 」
アイミが突っかかる。
「おいそこ騒ぐな! 続けるぞ」
FL=果樹園 ①
『RA』は難しそうなので『WA』を考えることに。
「分かる者は? 」
誰も手を挙げない。
首を振るか下を向くかだ。
まあ無理か……
「よし休憩にしよう。リン。水を持ってきてくれ」
「えっと…… 」
「リン? 」
「ごめんお兄ちゃん。もうないよ。今日はまだ汲みに行ってないんだ」
三十度超えで水が無くてはもう耐えられない。
「仕方ない海水でも…… 」
「ダメ! これ以上は危険です」
空蝉が注意する。
「仕方ないだろ。喉が渇いたんだから」
「ダメです。我慢してください! 」
「水! 水―! 」
無いと分かると余計に飲みたくなる。
「もう喉がカラカラだ。誰か俺に水を持ってきてくれ! 」
「水! 水! 水! 」
「ワーター! ウォーター! ドリンク! 」
「ドリンクプリーズ」
我慢の限界だ。
「ゲンジさん…… 」
呆れるばかりの空蝉。
リンも釣られて騒ぎ出した。
「仕方ありませんね。せっかくだから皆で飲みに行きましょうか」
「ええっ? 俺も行くの? 」
「はい」
「どうしても行くのか? 」
「はい」
空蝉は暑さに弱いはずでは?
もう慣れたのだろうか?
泉に向かう。
「ほら急いではダメですよ。崖もあるんですから」
空蝉の的確なアドバイス。
「大丈夫。大体分かる」
一番を目指し亜砂とリンと競う。
アイミが後ろから文句を垂れながら着いてくる。
最後尾にムーちゃん。
念のために測ってもらっている。
「水! 水! 」
「ゲンジ私が先よ! 」
「お兄ちゃん待って! 」
水争奪戦が勃発。
前を行く者を押しのけて一番を目指す。
水を独占するのだ。
緑の道をかき分ける。
「待て! こっちだ! 」
リンが遠回りで行こうとするので制止する。
「こっちの方が近いぞ」
鳥の鳴き声が聞こえてきた。
間違いない。もうすぐそこだ。
「お先に! 」
亜砂が隙を突く。
「こら! 俺の言うことを聞け! 」
「お兄ちゃん置いていくよ」
リンまで裏切った?
渇きが本性をさらけ出す。
まったくもうすぐそこだと言うのに情けない。
「待て! 俺が一番だ! 」
鳥たちが泉を占拠していた。
図々しいことに退こうとしない。
人間様を舐めるな!
泉に駆ける。
驚いた鳥たちは翼を広げ空に羽ばたいていった。
よしこれで水が飲める。
手で掬うのも面倒。
水面にそのまま顔をつけがぶがぶと飲む。
倣うように隣でリンが顔をつける。
亜砂は泉の中へ。飛び込んでそのまま口を開ける。
後からやって来た者を驚かせる。
「ちょっと何してるの! 」
「ゲンジさん! 」
空蝉は手で掬う。
アイミとムーちゃんは釣られるように泉へダイブ。
「どうだった? 」
「合計で2.5キロ」
「そうかならば…… 」
「ここがWAでしょう。お兄ちゃん」
情けないことにリンに先を越される。
「こらリン! 」
「はっはは! 」
皆に笑われる始末。
まさかあのリンに指摘されるとは思ってもみなかった。
まさか本当は賢いのか?
それを隠しているとか?
そんなはず……
「どうしたのお兄ちゃん? 」
「行きますよ。もう陽が暮れます」
空蝉は時間を気にしている。
もう夕暮れ。
真っ暗になれば危険生物に遭遇する確率も跳ね上がる。
今のところ見かけたことはないが……
急いでコテージに戻る。
WA=WATER
要するに水のこと。
第三のローマ字の答えが判明した。
水とは泉のこと。
鳥たちの楽園である。
残すは第二のローマ字の意味。
『RA』
もう答えはすぐそこ。
最後の暗号解読に力が入る。
【続】
「FLだっけ」
「そうこれはFLOWERのことなんだ」
「花ってこと? 」
「正解! だからここがFLだ」
「だったら他のは? 」
「大丈夫。一つが分かれば他もすぐに分かる。よしコテージに戻るぞ」
念のためにムーちゃんにコテージまでの距離を測ってもらう。
宝探しには必須の巨大メジャー。
博士が愛用していたメジャーを引っ掻きまわし探し当てた。
ちょっとした宝さがし。
他にも探検用ライトにスコップとシャベル。変な壺。
これらはすべてコテージの裏口の通路に見えないようにカモフラージュされて置かれていた。
役に立つアイテムが増え、やる気が出てきた。
しかしなぜこれらのものが隠されていたのか。
何のために隠したのか。
誰が隠したのか。
まったく分からない。
壺は水ではなさそうだ。
何かの液体らしい。
気持ちが悪いのでそのままにしている。
辺りにはペットボトルが散乱している。
何か関係があるのかもしれない。
疑問は残るが今は暗号解読に全力を注ぐ。
「よし到着。どうだった? 」
ムーちゃんは首を振る。
「分かりません。大体三キロぐらい。正確ではありません。適当です」
「三キロと。よしどうやら間違いない」
「ありがとうムーちゃん。皆も」
青空教室再開。
「あそこの果樹園までが大体三キロ。FLまでの距離は29だったな。
もし1が百メートルなら大体合致する。このFLは果樹園のことだ」
「なんだリンもそうじゃないかなあって思ったんだ」
百パーセント何も考えてなさそうなリン。
「いい加減なこと言うな! 」
「信じないのお兄ちゃん? 」
「ハイハイ」
「本当だよ」
「リン! 嘘をつかないで! 」
アイミが突っかかる。
「おいそこ騒ぐな! 続けるぞ」
FL=果樹園 ①
『RA』は難しそうなので『WA』を考えることに。
「分かる者は? 」
誰も手を挙げない。
首を振るか下を向くかだ。
まあ無理か……
「よし休憩にしよう。リン。水を持ってきてくれ」
「えっと…… 」
「リン? 」
「ごめんお兄ちゃん。もうないよ。今日はまだ汲みに行ってないんだ」
三十度超えで水が無くてはもう耐えられない。
「仕方ない海水でも…… 」
「ダメ! これ以上は危険です」
空蝉が注意する。
「仕方ないだろ。喉が渇いたんだから」
「ダメです。我慢してください! 」
「水! 水―! 」
無いと分かると余計に飲みたくなる。
「もう喉がカラカラだ。誰か俺に水を持ってきてくれ! 」
「水! 水! 水! 」
「ワーター! ウォーター! ドリンク! 」
「ドリンクプリーズ」
我慢の限界だ。
「ゲンジさん…… 」
呆れるばかりの空蝉。
リンも釣られて騒ぎ出した。
「仕方ありませんね。せっかくだから皆で飲みに行きましょうか」
「ええっ? 俺も行くの? 」
「はい」
「どうしても行くのか? 」
「はい」
空蝉は暑さに弱いはずでは?
もう慣れたのだろうか?
泉に向かう。
「ほら急いではダメですよ。崖もあるんですから」
空蝉の的確なアドバイス。
「大丈夫。大体分かる」
一番を目指し亜砂とリンと競う。
アイミが後ろから文句を垂れながら着いてくる。
最後尾にムーちゃん。
念のために測ってもらっている。
「水! 水! 」
「ゲンジ私が先よ! 」
「お兄ちゃん待って! 」
水争奪戦が勃発。
前を行く者を押しのけて一番を目指す。
水を独占するのだ。
緑の道をかき分ける。
「待て! こっちだ! 」
リンが遠回りで行こうとするので制止する。
「こっちの方が近いぞ」
鳥の鳴き声が聞こえてきた。
間違いない。もうすぐそこだ。
「お先に! 」
亜砂が隙を突く。
「こら! 俺の言うことを聞け! 」
「お兄ちゃん置いていくよ」
リンまで裏切った?
渇きが本性をさらけ出す。
まったくもうすぐそこだと言うのに情けない。
「待て! 俺が一番だ! 」
鳥たちが泉を占拠していた。
図々しいことに退こうとしない。
人間様を舐めるな!
泉に駆ける。
驚いた鳥たちは翼を広げ空に羽ばたいていった。
よしこれで水が飲める。
手で掬うのも面倒。
水面にそのまま顔をつけがぶがぶと飲む。
倣うように隣でリンが顔をつける。
亜砂は泉の中へ。飛び込んでそのまま口を開ける。
後からやって来た者を驚かせる。
「ちょっと何してるの! 」
「ゲンジさん! 」
空蝉は手で掬う。
アイミとムーちゃんは釣られるように泉へダイブ。
「どうだった? 」
「合計で2.5キロ」
「そうかならば…… 」
「ここがWAでしょう。お兄ちゃん」
情けないことにリンに先を越される。
「こらリン! 」
「はっはは! 」
皆に笑われる始末。
まさかあのリンに指摘されるとは思ってもみなかった。
まさか本当は賢いのか?
それを隠しているとか?
そんなはず……
「どうしたのお兄ちゃん? 」
「行きますよ。もう陽が暮れます」
空蝉は時間を気にしている。
もう夕暮れ。
真っ暗になれば危険生物に遭遇する確率も跳ね上がる。
今のところ見かけたことはないが……
急いでコテージに戻る。
WA=WATER
要するに水のこと。
第三のローマ字の答えが判明した。
水とは泉のこと。
鳥たちの楽園である。
残すは第二のローマ字の意味。
『RA』
もう答えはすぐそこ。
最後の暗号解読に力が入る。
【続】
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