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第四の少女 亜砂
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翌日。
うーん。気持ちいい。良く寝た!
外を見る。
やはりもう昼過ぎ。
ハイハイ。分かってますよ。
どういう訳か朝起きれなくなってしまった。
呪いか何かなのだろう。
この島に来るまではちゃんとしていたんだが……
まあ定かではないが…… 記憶など当てにならないものだ。
「リン! リン! 」
一緒に寝ていたリンが見当たらない。
コテージを見て回ったが誰も居なかった。
どこに行ったのだろう?
せっかくなら起こしてくれれば良かったんだが。気が利かないなあ。
諦めて飯にしよう。
缶詰を開ける。
リンで三人目だ。
これだけの人間がいるのだ食糧は何とでもなる。
気にせずに非常食に手を出す。
鳥肉を食す。
久しぶりの肉。いつ以来だろうか?
魚が中心だったので感動で涙が出そうになる。
一気に掻きこむ。
ああ旨い! もうこれ以上魚は食べたくない! 飽きたよ実際。
でも分かっているさ。明日には魚生活に戻る。缶詰ばかりに手を出すわけにはいかない。
食ったら運動。
もう日課になっている。
食事を終え海に繰り出す。
うん?
誰かいる?
ビーチに人影。
「おーい! アイミ? 」
似ているが違うようだ。ムーちゃん? いや違うな。まさかリン?
「誰? 」
あちらも違う名前を呼ばれ戸惑っている。
近づいて顔を確認。
「あれ君は…… 誰だったっけ? 」
「久しぶり。ゲンジ」
「君は俺のことを知っているのか? 」
「ええ。紹介されたから」
「誰から? 」
「博士に決まっているでしょう! 」
「博士? 」
「覚えてない? 」
「ああ。まったく」
ようやく手がかりが見つかった。
博士が何者か知らないが関係があるのは間違いない。
「なあ…… 」
「泳ごうよゲンジ」
これ以上の質問は受け付けないと話を逸らす。
付き合うしかない。
彼女は白のビキニを着用。
大胆にも何もサポーターをつけていない。
薄っすらと透けて見える薄いピンクのもの。見てはいけない。
これ以上見てはダメだ。危険すぎる。
それ以上に驚かされるのが後ろだ。
生地がほとんどなく肌が露わになっている。
あまりに大胆。
「君名前は? 」
「亜砂…… 本当に覚えてないの? 」
「俺には良く分からないんだ」
「都合が良すぎ」
「はっはは…… 」
笑ってごまかす。
「博士って誰? 」
「博士も? 忘れちゃったのね…… 」
「ああ。どうしたんだろうな」
「それはやっぱり…… いえ何でもない…… 」
歯切れが悪い。
聞けば答えてくれそうだが何かを恐れている。
まさか俺? そんな馬鹿な……
泳ぎはうまいと言う。せっかくだから教えてもらおうか。
俺のは自己流だから息継ぎや手足の使い方もなっていないと自覚している。
もしこの島から脱出するなら泳ぎを上達させるに越したことはない。
「なあ亜砂。泳ぎを教えてくれないか? 」
「うん。ゲンジがそう言うなら」
照れているのか? 恐れているのか? 下を向く。
「ついでに博士についても教えてくれないか? 」
警戒され無いようにさらっと付け加える。
「私たちの雇い主」
「ゲンジそれよりも…… 」
亜砂を遮り畳みかける。
「君はどうしてこの島に来た? 」
「理由? 暇だったから。博士の誘いに乗っただけ」
「博士はどこにいる? 」
「さあ…… 」
「その水着は博士から? 」
「ううん。このために新調したんだから」
「ここはどこだ? 」
「さあ島としか聞かされていないので」
「博士と連絡は取れないのか? 」
「ゲンジ。それ本気で言ってるの? 」
「ああ。当然だろ。何か不都合でもあるのか? 」
強く訴えかければ何か聞き出せるはず。
「ゲンジ。おかしいよ。とにかく泳ごう」
はぐらかされたか。もう慣れっこだ。
海へ。
彼女の気の済むまで付き合ってやる。
途中サメ騒動があったが問題ない。
この付近のサメは人を襲わないそうだ。
「本当かよ? 確かなのか? 」
「ええ。ここ百年で被害報告は一つも」
「嘘を吐け! 」
「疑うつもり? 博士がそう言ってたんだから」
しかし……
よく考えればここは無人島。
周りも似たり寄ったり。
人が襲われるほど島には人がいない。
だから統計など取りようもない。
それではサメが襲わないと言う保証はない。
なるべく浅瀬で泳ぐことにした。
このくらいで充分だろう。
亜砂と一緒に晩の魚を素潜りで捕まえ海を後にする。
得意ではないので亜砂に任せっきり。俺は見ているだけ。
結局泳ぎもうまかくなったとは言えない。
俺の中の何かが邪魔をしている。
変だな。どうしたのだろう?
「なあ…… 他の者は? なぜ誰も姿を見せない? 」
「ああそれならお見舞いに行っているよ」
意外な答えが返ってきた。
「誰か体の具合でも悪いのか? 」
「うん。暑さが堪えたみたい。体が弱くて寝込んでいるの」
「明日私もお見舞いに行くつもり。ゲンジはどうする? 」
チャンスは逃さない。
「ならついて行こうかな。どうせやることもないし暇だから」
即答する。
「山。きついけど大丈夫? 」
「平気平気」
まさか山とは…… これは覚悟を決めなければ。
約束をして別れる。
この島にまだ人が居たとは……
翌日の登山に備えて早く寝ることにした。
しかしどんなに早く寝ようと朝起きることは無く太陽が眩しい。
相変わらずコテージには人がいない。
彼女たちはどこにいるのだろうか?
まあ気にしていても仕方がない。
とにかく山へ。
【続】
うーん。気持ちいい。良く寝た!
外を見る。
やはりもう昼過ぎ。
ハイハイ。分かってますよ。
どういう訳か朝起きれなくなってしまった。
呪いか何かなのだろう。
この島に来るまではちゃんとしていたんだが……
まあ定かではないが…… 記憶など当てにならないものだ。
「リン! リン! 」
一緒に寝ていたリンが見当たらない。
コテージを見て回ったが誰も居なかった。
どこに行ったのだろう?
せっかくなら起こしてくれれば良かったんだが。気が利かないなあ。
諦めて飯にしよう。
缶詰を開ける。
リンで三人目だ。
これだけの人間がいるのだ食糧は何とでもなる。
気にせずに非常食に手を出す。
鳥肉を食す。
久しぶりの肉。いつ以来だろうか?
魚が中心だったので感動で涙が出そうになる。
一気に掻きこむ。
ああ旨い! もうこれ以上魚は食べたくない! 飽きたよ実際。
でも分かっているさ。明日には魚生活に戻る。缶詰ばかりに手を出すわけにはいかない。
食ったら運動。
もう日課になっている。
食事を終え海に繰り出す。
うん?
誰かいる?
ビーチに人影。
「おーい! アイミ? 」
似ているが違うようだ。ムーちゃん? いや違うな。まさかリン?
「誰? 」
あちらも違う名前を呼ばれ戸惑っている。
近づいて顔を確認。
「あれ君は…… 誰だったっけ? 」
「久しぶり。ゲンジ」
「君は俺のことを知っているのか? 」
「ええ。紹介されたから」
「誰から? 」
「博士に決まっているでしょう! 」
「博士? 」
「覚えてない? 」
「ああ。まったく」
ようやく手がかりが見つかった。
博士が何者か知らないが関係があるのは間違いない。
「なあ…… 」
「泳ごうよゲンジ」
これ以上の質問は受け付けないと話を逸らす。
付き合うしかない。
彼女は白のビキニを着用。
大胆にも何もサポーターをつけていない。
薄っすらと透けて見える薄いピンクのもの。見てはいけない。
これ以上見てはダメだ。危険すぎる。
それ以上に驚かされるのが後ろだ。
生地がほとんどなく肌が露わになっている。
あまりに大胆。
「君名前は? 」
「亜砂…… 本当に覚えてないの? 」
「俺には良く分からないんだ」
「都合が良すぎ」
「はっはは…… 」
笑ってごまかす。
「博士って誰? 」
「博士も? 忘れちゃったのね…… 」
「ああ。どうしたんだろうな」
「それはやっぱり…… いえ何でもない…… 」
歯切れが悪い。
聞けば答えてくれそうだが何かを恐れている。
まさか俺? そんな馬鹿な……
泳ぎはうまいと言う。せっかくだから教えてもらおうか。
俺のは自己流だから息継ぎや手足の使い方もなっていないと自覚している。
もしこの島から脱出するなら泳ぎを上達させるに越したことはない。
「なあ亜砂。泳ぎを教えてくれないか? 」
「うん。ゲンジがそう言うなら」
照れているのか? 恐れているのか? 下を向く。
「ついでに博士についても教えてくれないか? 」
警戒され無いようにさらっと付け加える。
「私たちの雇い主」
「ゲンジそれよりも…… 」
亜砂を遮り畳みかける。
「君はどうしてこの島に来た? 」
「理由? 暇だったから。博士の誘いに乗っただけ」
「博士はどこにいる? 」
「さあ…… 」
「その水着は博士から? 」
「ううん。このために新調したんだから」
「ここはどこだ? 」
「さあ島としか聞かされていないので」
「博士と連絡は取れないのか? 」
「ゲンジ。それ本気で言ってるの? 」
「ああ。当然だろ。何か不都合でもあるのか? 」
強く訴えかければ何か聞き出せるはず。
「ゲンジ。おかしいよ。とにかく泳ごう」
はぐらかされたか。もう慣れっこだ。
海へ。
彼女の気の済むまで付き合ってやる。
途中サメ騒動があったが問題ない。
この付近のサメは人を襲わないそうだ。
「本当かよ? 確かなのか? 」
「ええ。ここ百年で被害報告は一つも」
「嘘を吐け! 」
「疑うつもり? 博士がそう言ってたんだから」
しかし……
よく考えればここは無人島。
周りも似たり寄ったり。
人が襲われるほど島には人がいない。
だから統計など取りようもない。
それではサメが襲わないと言う保証はない。
なるべく浅瀬で泳ぐことにした。
このくらいで充分だろう。
亜砂と一緒に晩の魚を素潜りで捕まえ海を後にする。
得意ではないので亜砂に任せっきり。俺は見ているだけ。
結局泳ぎもうまかくなったとは言えない。
俺の中の何かが邪魔をしている。
変だな。どうしたのだろう?
「なあ…… 他の者は? なぜ誰も姿を見せない? 」
「ああそれならお見舞いに行っているよ」
意外な答えが返ってきた。
「誰か体の具合でも悪いのか? 」
「うん。暑さが堪えたみたい。体が弱くて寝込んでいるの」
「明日私もお見舞いに行くつもり。ゲンジはどうする? 」
チャンスは逃さない。
「ならついて行こうかな。どうせやることもないし暇だから」
即答する。
「山。きついけど大丈夫? 」
「平気平気」
まさか山とは…… これは覚悟を決めなければ。
約束をして別れる。
この島にまだ人が居たとは……
翌日の登山に備えて早く寝ることにした。
しかしどんなに早く寝ようと朝起きることは無く太陽が眩しい。
相変わらずコテージには人がいない。
彼女たちはどこにいるのだろうか?
まあ気にしていても仕方がない。
とにかく山へ。
【続】
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