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謎の少女アイミ
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翌日。
ムニャムニャ
もう疲れたよ……
誰か水汲みを代わってくれないか?
誰でも良い。毎日でなくても構わない。
一日おきに交代するのは……?
お願いだ! 頼むよ!
うーん。
誰かいる?
ねえ起きて…… フフフ……
はいはい。
今すぐ……
眠いよ。
起きてってば!
うん? 気のせいか。声が聞こえたような……
そんはずないよな。ここは無人島。人なんて存在すわけがない。
夢?
耳元に残っている少女の声。
あれ?
誰も居ない。やはり夢か。
あーあ。良く寝た。
起き上がる。
日差しが堪える。
今は…… もう昼過ぎ。
案の定寝坊。
まあ毎日のこと。もう習慣になってしまっている。
生活習慣を改善しなくてはと思うがどうしても体が言うことを聞かない。
あーあ。やっぱり目覚ましが必要かな。強力な奴なら起きれるだろう。
買いに行ってくるか…… 何てね。
ここは無人島。店など無い。
朝起きれないのは体がたるんでいる証拠。小さい頃に良く言われた覚えがある。
誰に? あれ思い出せないや……
まあしかし、ここはのんびりとした島。
別に大した目的があるわけでもないしまあいいか。
それよりも問題なのは人の声が聞こえたこと。
女の子だったよな。
あれは幻聴? いやそんなはずはない。
欲していた話し相手。
間違えなく俺を起こそうとしていた。
探してみるか。
おーい! 誰か?
隠れてないで出てきてくれ!
お願いだ!
島中を探し回る。
まず初めに泉に向かう。
昨日発見した泉には鳥以外誰も居ない。
ぎゃあ!
ぎゃあ!
順番を待っていると陽が暮れそうなので強引に割り込む。とりあえず今日の分の水を汲む。
水筒を満タンにする。
これで足りるだろうか?
少し不安な気持ちになる。
ぎゃあ!
ぎゃあ!
別のグループがやって来た。
まさか鳥の鳴き声を聞き違えたか?
有り得なくもない。寝ぼけていたからなあ……
次! 次!
続いて海沿いを走る。
水着姿でやってくる少女を期待するがやはり砂浜には誰も見当たらない。
もはや幻覚?
いや幻聴だろうか?
最後に西へ向かう。
どこだ?
誰なんだ?
しかしどこを探しても誰も居ない。
当然と言えば当然。
叫んでも返ってくるのは自分の声だけ。
ただの勘違い?
幻聴?
まさか本当に鳥の鳴き声?
くそ! どこにもいない!
はあはあ
はあはあ
夕方までかかった捜索では何の手がかりも見つけられなかった。
これ以上は無理だ。
残念だが諦めよう。
コテージへ。
ふう疲れた。
一体何だったんだろう? 疲れてるのかな?
はっはは! やはり夢だ。そうに違いない。
誰も居る訳が……
「お帰りなさい。どこに行ってたの? 」
うん? 誰?
目の前に見知らぬ少女が立っていた。
耳に残る音から俺を起こした少女だと分かる。
島中を探し回った俺の苦労も知らずに笑っている。
もちろん彼女に心当たりなど無い。
初対面だ。初対面のはず……
俺は夢でも見ているのか?
「いやその…… 君は? 」
身長は俺よりも少し高いってところか。
170cm越えのすらっとした茶髪。
目も胸もずいぶん大きい。
白のTシャツに太陽のようなオレンジのショートパンツ。
アンバランスな見た目が逆に引き込まれる。
簡単に言うと綺麗な女の子が目の前に立っていたと言うことだ。
「君名前は? 年はいくつ? 」
夜遅くに出歩いている少女を尋問するように畳みかける。
「もう忘れちゃったの? 」
「ああ。済まない…… 」
さも知っていて当然と言う態度。
しかし俺は見たことも会ったこともないはずだ。
「当ててみて? 」
「いやその…… 」
彼女は俺を試しているのか?
押し黙る。
沈黙に耐えかねて少女が笑う。
「しょうがないなあ。私はアイミ」
「アイミかあ。ちなみに俺の名前は? 」
「ふざけてるの? まあいいか。あなたはゲンジ」
「ゲンジ? 」
「そうゲンジ」
「俺の名前はそんな名前なのか? 」
「まさか記憶喪失? 」
「ああそうみたいなんだ」
「かわいそうに。私が何とかしてあげる」
彼女は引き寄せてよしよしと慰めてくれる。
初めての感覚。
ふいに優しさに触れされるがまま。
このまま最後まで……
おっと危ない危ない。
まだ完全には信用できない。
何か企んでいる恐れもあるしな。
記憶さえ取り戻せれば全て解決するのだが。
彼女は俺を知っている。俺は彼女を知らない。
これでは不公平だ。
とにかく詳しい話を聞くしかない。真実を語るとは限らないが。
「それで…… 」
「詳しいことは明日話すね。今日はもう寝よう」
引き延ばす。これも作戦の内?
「いや。ちょっと待ってくれ。君はどこで寝るつもりだ? 」
「そこの部屋」
荷物がぎっしり置いてある倉庫を指す。
「おいおい本気か? 」
「気にしないで。私どこでも寝れるから」
「おやすみなさい」
そう言うと出て行ってしまった。
まあいいか。
詳しいことは明日になれば分かる。
一歩どころか十歩も二十歩も前進。
さあ寝るぞ!
しかし興奮して寝ることなどできない。
アイミか…… 悪くない…… 俺の……
妄想が膨らむ。
謎の少女・アイミ。
誰も居ないと思われた無人島に突如現れた少女。
これで明日からの生活に希望が持てる。
【続】
また明日。
ムニャムニャ
もう疲れたよ……
誰か水汲みを代わってくれないか?
誰でも良い。毎日でなくても構わない。
一日おきに交代するのは……?
お願いだ! 頼むよ!
うーん。
誰かいる?
ねえ起きて…… フフフ……
はいはい。
今すぐ……
眠いよ。
起きてってば!
うん? 気のせいか。声が聞こえたような……
そんはずないよな。ここは無人島。人なんて存在すわけがない。
夢?
耳元に残っている少女の声。
あれ?
誰も居ない。やはり夢か。
あーあ。良く寝た。
起き上がる。
日差しが堪える。
今は…… もう昼過ぎ。
案の定寝坊。
まあ毎日のこと。もう習慣になってしまっている。
生活習慣を改善しなくてはと思うがどうしても体が言うことを聞かない。
あーあ。やっぱり目覚ましが必要かな。強力な奴なら起きれるだろう。
買いに行ってくるか…… 何てね。
ここは無人島。店など無い。
朝起きれないのは体がたるんでいる証拠。小さい頃に良く言われた覚えがある。
誰に? あれ思い出せないや……
まあしかし、ここはのんびりとした島。
別に大した目的があるわけでもないしまあいいか。
それよりも問題なのは人の声が聞こえたこと。
女の子だったよな。
あれは幻聴? いやそんなはずはない。
欲していた話し相手。
間違えなく俺を起こそうとしていた。
探してみるか。
おーい! 誰か?
隠れてないで出てきてくれ!
お願いだ!
島中を探し回る。
まず初めに泉に向かう。
昨日発見した泉には鳥以外誰も居ない。
ぎゃあ!
ぎゃあ!
順番を待っていると陽が暮れそうなので強引に割り込む。とりあえず今日の分の水を汲む。
水筒を満タンにする。
これで足りるだろうか?
少し不安な気持ちになる。
ぎゃあ!
ぎゃあ!
別のグループがやって来た。
まさか鳥の鳴き声を聞き違えたか?
有り得なくもない。寝ぼけていたからなあ……
次! 次!
続いて海沿いを走る。
水着姿でやってくる少女を期待するがやはり砂浜には誰も見当たらない。
もはや幻覚?
いや幻聴だろうか?
最後に西へ向かう。
どこだ?
誰なんだ?
しかしどこを探しても誰も居ない。
当然と言えば当然。
叫んでも返ってくるのは自分の声だけ。
ただの勘違い?
幻聴?
まさか本当に鳥の鳴き声?
くそ! どこにもいない!
はあはあ
はあはあ
夕方までかかった捜索では何の手がかりも見つけられなかった。
これ以上は無理だ。
残念だが諦めよう。
コテージへ。
ふう疲れた。
一体何だったんだろう? 疲れてるのかな?
はっはは! やはり夢だ。そうに違いない。
誰も居る訳が……
「お帰りなさい。どこに行ってたの? 」
うん? 誰?
目の前に見知らぬ少女が立っていた。
耳に残る音から俺を起こした少女だと分かる。
島中を探し回った俺の苦労も知らずに笑っている。
もちろん彼女に心当たりなど無い。
初対面だ。初対面のはず……
俺は夢でも見ているのか?
「いやその…… 君は? 」
身長は俺よりも少し高いってところか。
170cm越えのすらっとした茶髪。
目も胸もずいぶん大きい。
白のTシャツに太陽のようなオレンジのショートパンツ。
アンバランスな見た目が逆に引き込まれる。
簡単に言うと綺麗な女の子が目の前に立っていたと言うことだ。
「君名前は? 年はいくつ? 」
夜遅くに出歩いている少女を尋問するように畳みかける。
「もう忘れちゃったの? 」
「ああ。済まない…… 」
さも知っていて当然と言う態度。
しかし俺は見たことも会ったこともないはずだ。
「当ててみて? 」
「いやその…… 」
彼女は俺を試しているのか?
押し黙る。
沈黙に耐えかねて少女が笑う。
「しょうがないなあ。私はアイミ」
「アイミかあ。ちなみに俺の名前は? 」
「ふざけてるの? まあいいか。あなたはゲンジ」
「ゲンジ? 」
「そうゲンジ」
「俺の名前はそんな名前なのか? 」
「まさか記憶喪失? 」
「ああそうみたいなんだ」
「かわいそうに。私が何とかしてあげる」
彼女は引き寄せてよしよしと慰めてくれる。
初めての感覚。
ふいに優しさに触れされるがまま。
このまま最後まで……
おっと危ない危ない。
まだ完全には信用できない。
何か企んでいる恐れもあるしな。
記憶さえ取り戻せれば全て解決するのだが。
彼女は俺を知っている。俺は彼女を知らない。
これでは不公平だ。
とにかく詳しい話を聞くしかない。真実を語るとは限らないが。
「それで…… 」
「詳しいことは明日話すね。今日はもう寝よう」
引き延ばす。これも作戦の内?
「いや。ちょっと待ってくれ。君はどこで寝るつもりだ? 」
「そこの部屋」
荷物がぎっしり置いてある倉庫を指す。
「おいおい本気か? 」
「気にしないで。私どこでも寝れるから」
「おやすみなさい」
そう言うと出て行ってしまった。
まあいいか。
詳しいことは明日になれば分かる。
一歩どころか十歩も二十歩も前進。
さあ寝るぞ!
しかし興奮して寝ることなどできない。
アイミか…… 悪くない…… 俺の……
妄想が膨らむ。
謎の少女・アイミ。
誰も居ないと思われた無人島に突如現れた少女。
これで明日からの生活に希望が持てる。
【続】
また明日。
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