ジミート チート神を探して神々の森へ 追放されし三人の勇者故郷を救え!

二廻歩

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大王鬼神の暴走

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持ち場を離れ我先にと城外へ。

「おいお前らどこに行く?
このジュニア様の役に立たぬか! 」

「立ち向かえ! 」

「もうダメです。この城も間もなく陥落。
捕まる前に逃げ出すしかないんです」

「何? 俺様を信じられないと言うのか?
情けない奴らだ。
逃げたい奴は勝手に逃げるがよい! 」

「だが覚えてろよ! 後悔することになるぞ!
この腰抜け共が! 」

ジュニアの説得はまったく功を奏しない。

城内に侵入を許す。

「よく来たなお前ら? 
退屈しのぎにちょうどいい相手してやる」

ファイヤードリルの音が逃走兵の騒音によって掻き消される。

「うわあ! 」
「逃げろ! 」
「お助け! 」

ファイヤードリルで相手の出方を見る。

「兄貴自分も! 」

パックも参戦。
数的優位に立つ。

「おいお前、震えているぞ。何だその構えは?
いくら武器が良くてもな扱えないようでは自滅するのがオチ。止めておけ!
はっはは! 」

ジュニアが前に出る。

「やってみろ! ここだ! ここを狙え! 」

「兄貴…… 」
「同時にかかるぞ! 」
「へい! 」

ドリルを動かす。

「行け! 」

ジュニアは待ってましたと言わんばかりに右に素早く動く。

「クソ! 」

標準を微調整。

「もう一度だ! 」

同時にドリルを前に。

「うわ! 」
ジュニアを貫く前にお互いのドリルがぶつかり落としてしまう。

「まずい! 」
「やっちまいやした…… 」

実戦慣れしていない二人は経験豊富なジュニアに良いように遊ばれる。

落としたドリルを急いで拾おうとするが一歩遅い。
パックのドリルが敵に奪われた。

「はっはは! これで形勢逆転だな」
「嵌めやがったな! 」

「いやいや、お前らがただ間抜けなだけだ。
ははは…… それは言い過ぎか。格の違いさ。気にするな。ふふふ…… 」

敵に慰められる始末。実に情けない。

「プラスティ―! 頼む! 」
「ダメ…… 怖くて一歩も動けない」

最後の望みも潰える。

「さあ、勝負だ! かかって来い! 」
「兄貴頼みました! 」

「カン…… ごめんね…… 」
「気にするな。ここは俺が何とかする! 」

ドリル対ドリル。

「ほらほらどうした? 」
遊びだしたジュニア。

「これはなお前らが扱っていいおもちゃではない。
まさか我らが火の加護にあると知ってのことか? いやまさかな…… 」

「うるさい! そっちこそふざけてばかりいないでかかってこい! 」

「そうか。覚悟を決めたか。では真剣勝負と行こう」

ドリルを向け合う。

ドリルの音に交じり何か悲鳴のようなものが聞こえた。

相手のドリルをかわし一撃。
しかしジュニアも読んでおり楽々逃げ切る。

「情けない奴め! 俺様を倒す唯一の機会を逃すとはな。
よし今度はお前から攻撃をしていいぞ」

「舐めやがって! 」

ドリルを構える。

きゃあ!
ぎゃあ!

明らかな異変。それも城内から漏れ聞こえてくる。

「どうした何に気を取られている! 先制攻撃をする気はないのか? 」
「やるさ! 後悔しても知らないぞ! 」

城内の異変に気を取られている時ではない。
奴を倒さなくては前に進めない。

ドリルを構える。

「ふふふ。いいぞ。いいぞ」

ドリルの音に交じっていた叫び声が徐々に大きくなる。
すぐそこに迫っている。

一体何が起きている? 

「兄貴! 」
「うおおお! 」

ドリルをジュニアに目がけて突進。

ジュニアはようやく城内の異変に気付いた。

「うん? 待て後ろから…… 」

集中力を切らした方が負け。
避ける努力を怠る。

ジュニアは油断していたのかカンの攻撃をもろに受け、その場で崩れ落ちる。

「何だこの血は? 俺様の…… ウグ…… 」

ジュニアを貫いた衝撃から手を放してしまう。

瀕死の状態のジュニア。

「兄貴! 止めを! 」
「カン! こいつは村の者を襲った張本人。情けは無用よ! 」

「分かったよ。二人とも。これはリーダーの仕事だ。
見守っていてくれ! 」

「良いから早く! 援軍が来たら厄介なことになるわ」

援軍? 来るのだろうか?
それよりもさっきから聞こえる叫びは何だ?

うわああ!

城内から人が逃げ出してきた。

俺達を恐れて逃げた?
それにしては目の前を通るのはおかしい。

駆け出していった者はお構いなくジュニアを踏みつける。

「助けてくれ! 」
「早く! 」
「逃げるんだ! 」
「わあああ! 」
「ぎゃああ! 」

城内で何が起きている?

「カン! 逃げて! 」
「いや、止めを…… 」
「良いから早く! 」

「兄貴! 前を見てください! 」
「うん。何だっていうんだ」

パックの驚異的な視力を持たずともその物体を捉える事は容易である。

「バケモノ? 」
「そいつは大王鬼神ですぜ! 」
「暴れ回ってるみたい。カン。早く逃げましょう! 」

大王鬼神登場。

大食期の大王。餌を求めて暴れ回り、制御不能に。

うごごお!

目の前の者を手当たり次第腹の中へ。

「お助け! 」

逃げ回る人々。
敵も味方もなくただの餌と変わる。

「カン今よ! 逃げましょう! 」
「ああ…… もちろん…… 」

急いで城外へ。

リサイクル卿の元へ戻る。

「父上! 」
「どうした? 何があった? 」

食われまいと逃げ出す者多数。
コップ部隊も逃げ帰る。

「リサイクル卿! 申し訳ありません。残ったのは我々のみです。
他の者は食われてしまいました」

「何? あの化け物にか? 」

大王鬼神は餌を求めて外へ。

狩りはなおも続く。

ジュニアの姿がない。
大王に踏まれ圧死したのか?
食われたのか?

まさか自分の息子を食うなど信じられないが完全に我を失っている大王にはその常識は通用しない。

コップ部隊は隊長と数名を残し半数以下となった。
まだリサイクル卿本隊は温泉郷にとどまっている。
もう残すところSDGs卿部隊のみとなってしまった。

「頼むぞSDGs卿! 」
「あなたに言われないでもやって見せますよ」

「部隊を動かす?
ふん。あんな化け物は俺一人で充分だ」

「何を言っている? 」

「いいから。大人しくしててもらいましょう」

「俺にはこの剣がある」
伝説のソード。ゴッド。
妖しい光を放っている。

「馬鹿な! そんなもので大王鬼神を倒せると本気で思っているのか? 」
「見ていてください」

「待て! 例え倒せてもこのままでは全員お陀仏だ。それが分からないのか? 」

大王は次々に獲物を口の中へ。
それと同時にどんどん膨らんでいく。

「デカイっす。兄貴。百メートルを超えてますぜ」
「ああさっきよりも大きくなったみたいだ」

「カン…… 怖い…… 」
「プラスティ―? 大丈夫だよ。俺にいい考えがある」

「カン? 」
「兄貴? 」

「プラスティ―。例の奴を頼む」
「パック。後はお前に任せた」
「ええ? 」

動きがあった。

SDGs卿が大王鬼神に向かっていく。

「父上? 」
「説得は無駄のようだ。いいかカン! 」

呼び寄せる。

「万が一大王鬼神が破れたら大変なことが起こるぞ」
「大変なこと? 」

「ああ、そうだ。大王鬼神の口から洩れる煙は有害だ。
ダイオキシンと言ってなすべての生物を殺す。
草花は枯れ、水は腐り、生き物は死に絶える」

「奴らが城を一年ごとに変えるのは大食期の大王鬼神が出す有害物質のせいでその土地が汚染されるからだ。そうして今までやってきたのだ」

「父上。それではどうすることも…… 」

「よく聞け! 奴を元に戻せばいい。そうすれば被害は最小限に留まる。
それには薬草が有効だ」

「薬草? 分かりました」
「あるのか? 」
「ええ、親方からもらった薬草団子があります」

「よし何とかなるかもしれない」

「頼むぞ我が息子よ! 」
「はい。父上。お任せください! 」

薬草団子を取り出す。

「パック頼む! これを大王鬼神を目がけて投げてくれ」
「自分っすか? 」

「パック。今こそ強運を生かす時だ」
「へい兄貴! やってみます」

「頑張ってパック。慎重にお願い」
「緊張するっす」

パックは大王鬼神と対峙する。

                続く
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