ジミート チート神を探して神々の森へ 追放されし三人の勇者故郷を救え!

二廻歩

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やっぱりまずかったかな?

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捜索開始。

陸路は残った村人に任せ水路を辿る。

ボロ馬車に乗りドコダシティー近くの港に降りる。

敵がまだいる可能性もある。細心の注意を払う。

港は静かなものだ。
波の音が幽かに聞こえるのみ。
この分だと船には影響はないだろう。

港内を常夜灯がわずかに照らす。

充分に警戒し港を探る。
今のところ人の気配はない。
もう奴らは出港したのだろう。

とにかく手がかりを探すが……
港には特に変わった様子は見られない。

捜索範囲を広げる。

「親方? 」
「こっちだ! 」

親方の知り合いの漁師の家を訪ねる。

さすがに奴らもここまでは襲わないだろう。
ある程度はここの者に協力してもらう必要があるからだ。
それだけでなくここで襲えば噂にもなる。

村襲撃の前に余計なことをすれば計画がばれてしまう。
その辺を計算すれば家主も無事なはず。ただもう漁に出た可能性もあるが。

ドンドン
ドンドン

「なんだこんな夜中に? 
ああ旦那? 何か不具合でも…… 」

朝に強いとは言え漁師でも眠いのは眠いのだろう。
目を擦りながら戸を開ける。

察するにこき使われさっき寝たばかりと思われる。

「おい! 俺だ! 」
「ああ親方ですか。おはようさんで」
「船を出して欲しい」
「親方? うん…… なぜ親方がいるの? 」

「お前が手引きしたのか? 」

「ヒイィ! 滅相もない。ただ脅されて従うしかなく……
連中は上の者で逆らえませんでした」

「ふふふ。飢えの者ねえ」
モッタが不気味に笑う。

「勘弁してください」
「いいから船を貸せ! 」

「船? この港の船は全て持っていかれちまったよ。
残ってんのはこの古いのしか…… 」

「よしそれでいい! 」
「でもおいらも漁をしなくちゃいけねいし」

「我慢しろ! 数日の辛抱だ。奪還したら返してやる」
「奪還? 恐ろしや恐ろしや」

「ついでに聞くが奴らはどこに向かった? 」

「知りませんよ! 」

「答えろ! 村人の命が懸かっているんだぞ! 」
「へいへい。分かりましたよ。協力しますって」

地図を寄越した。

「丸が着いているのが目的地の港です。
それから先はちょっと…… 」

「ありがとう。借りていくぞ! 」
「ちょっと待ってください! それはオンボロだから本当に気をつけて」

「定員は三名まで。
多くても四人しか乗れない。
荷物もあるならそれ以上は無理。沈みますよ」

「何とか? 」
「なりません! 危険ですからね」

「分かった」
「頑張ってください。ふあーあ。おやすみ」

男は大あくびで中へ。

もう夢の中? いい気なものだ。

「仕方がない俺は陸路で行く。仲間にも知らせなくてはならないしな」
「親方! 」
「頼んだぞ! 」
「へい! 」

親方を残し船は海へ。

四人は果てない航海の旅に出発する。

早朝。

あと一時間もすれば陽が上る。

パックとモッタが懸命に手を動かしている。

「疲れた! 交代だ! 」
モッタは息を切らし横になる。

「おえ、気持ちわる。
酔っちまったみたいだ」

長旅の疲れだけでなく普段からの不摂生。
酒の飲み過ぎ。
睡眠不足等が原因。

酔っぱらいここに眠る。

「カンお願い」
「分かった。プラスティ―はゆっくりしていて」

モッタに代わって漕ぎ出す。

パックはまったく疲れた様子を見せない。

「兄貴頑張ってくだせい! 」

二人で息を合わせて漕ぐ。

このままいけば予定通り昼までには着くだろう。
何もなければだが……

「ふう。さすがに疲れてきましたね兄貴」
言葉からはさほど辛さを感じられない。
化け物?

「ああもう限界。俺にはもう動かす力がない。後は任せた」
「兄貴しっかり! 」

へばったモッタでは使い物にならない。

どうする?
プラスティ―に交代?

「手が痛いよう。本当にダメかも」
「十分も経ってないじゃないっすか」

「うるさい! 疲れたものは疲れたんだ」

「兄貴…… そうだ歌でも…… 」
「それいい! カンを励ます応援ソングを歌ってあげて」

「それでは一つ」

「兄貴にはこれしかない」

♪どんなに粉に……
くじげそでも良い……

プラスティ―も歌いだす。

♪私とカンの愛に喝!
愛に喝!

カン応援ソングを熱唱。

「よーし行くぞ! 復活! 」

船はペースを上げた。

大声で熱唱する二人。
気持ちよくなったのか何度も繰り返す。

「うるせえ! 静かにしろ! 」

モッタが注意するも止める気配が無い。

「馬鹿! 静かにしないか!
何を考えてやがる! 」

「もう、何よ皆で盛り上がってたのに! 」

「いいか。よく聞け! 」

モッタは起き上がりにらみつける。

「歌を歌ってはダメだ! 」 
「大丈夫。この辺に敵はいないわ。少しぐらい…… 」
「甘い! まだ日が昇っていないうちに歌うとまずいことになるんだ! 」

えらく真剣なモッタ。

「ハイハイ。うるさかったんでしょう。静かに歌うから良いでしょう? 」

「違う! この海には怪鳥ジャスラがいる。
もし目をつけられればただでは済まない」

「詩を歌えば襲われる」

「今はまだ気づかれていないが敏感に聞き分けて襲ってくる。
そうなったらこんな船などひとたまりもない! 」

えらく怯えるモッタの真剣な表情に嘘はなさそうだ。

「大丈夫なんすか? 」
「分からねい! じっとしてろお前ら! とにかく静かにしてろ! 」

皆黙ってしまった。
船内は静まり返る。

一時間が経ち日の出を迎えた。

怪鳥ジャスラは姿を現さない。
何とか切り抜けたようだ。

ぎゃあ! ぎゃあ!

しかしどこからか鳥の声が聞こえる。

まさか?
怪鳥は俺達を見張っている?
そんなはずはない!

恐怖に戦きながら船を漕ぐ。

交代で船を漕ぎ順調に目的地へ。

思っていたよりも早く到着するだろう。

                   続く
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