ジミート チート神を探して神々の森へ 追放されし三人の勇者故郷を救え!

二廻歩

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闇夜に架ける橋

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陽が落ち、辺り一帯は闇に包まれた。
 
ドコダ山からの脱出を試みるが果たして成功するか?

リサイクル卿はスティアケースを渡す。

神社にて爺から借り受けたお助けアイテム。
まあ一度使えばそれっきりの品。
上手く行く保証もないのだ。

「父上これは? 」
「まあチートみたいなものだ。広げてみろ」

言われるまま動かす。

「気をつけろ。私の示した方に向けるんだ! 」

「大丈夫なんで隊長? 」
疑いの目で見るモッタ。

少し広げると自動的に巨大な階段が凄い速さで出来上がっていく。
ステアケースの完成。

「本来は危なくないように明かりがつくのだがさすがに敵に見つかっては元も子もないので今回はこのままで行ってもらう」

「ほえー 」

モッタが腰を抜かした。

「急げ時間が無い! この階段は三十分後には綺麗さっぱり消えてなくなる」
「分かりました」

「頼んだぞ! 気をつけて行け! 」
「父上もどうかお達者で! 」

「行こう皆! 」

足手まといにしか見えないモッタを連れて旅立つ。

「いや待て! これを持っていけ! 」

リサイクル卿は爺から借り受けたファイヤードリルと耐火コスチュームを託す。

三人は武器と防具を装備した。

「隊長? 」
「すまん。三つずつしかない。有効に使うように」
「そんなあ隊長。可愛い部下を見殺しにする気で? 」
「うるさい! 早く行け! 」

ごねるモッタを引くずっていく。
「もっと優しく」
「ほら行くっすよ」

夜空に架かるスティアケースを登り始めた。

カンカン
ダンダン

ドコダ山に響き渡る足音。

何か異変を感じたとしてもまさか頭上で起こっているとは夢にも思わない。

そう辺りは闇に支配されている。
少しの明かりでは察知することなど不可能。

最上段に達した。
即ちドコダ山山頂を超えたことになる。
残すは下りのみ。

「うわ! 目が回る」
モッタが騒ぎ始めた。

高さによるものか。酒のせいか。

「兄貴ちょっと怖いっす」
「俺も高い所は苦手」

「私もダメ! 」
プラスティ―が抱き着いてきた。

「危ないよプラスティ―! 」

「兄貴! 怖い! 」
パックが暑苦しく引っ付いてきた。

「何やってる! 」
「でも兄貴…… 」
「いいから離れろ! 」
「へい」

「きゃあ! 」
プラスティ―が叫び声を上げた。

酔っぱらいが抱き着いてきたのだ。

「静かに! 気づかれる」
「だってこの人…… 」

「おい! 何をやってる! 」
「はっはは。済まね。怖くてよお」

災難のプラスティ―。
わざと?

「よしみんな後は下るだけだ。急ごう! 」

一人ずつ離れてゆっくり下る。

「ああ疲れたっす。
上りより下りの方が足に来ますぜ」

「そうよね。私の足もまだ完全じゃないから心配」

「おーい。忘れてませんか? 」
モッタが酒を飲みながらゆらゆら最後尾を歩く。

いつの間に酒を?

「わあああ! 」
バランスを崩したモッタはもう少しで落下するところだった。

代わりに大量の酒を大地に振りかける。
「おお。もったいね! 」

「おっさん。早くしろ! 」 
パックは仕方なく手を引く。

下りも間もなく終わり。

ドコダ山を脱出。

見えてきた。
階段の先には見慣れた景色が。

最後の一段を下り生い茂った緑に到着。

「きゃあ! 」 
プラスティ―がわざと派手に下りて抱き着いてくる。

「もう! プラスティ―! 」

楽しそうな二人。それに反してもう二人はと言うと……

「ぎゃあ! 」
パックとモッタのコンビが転げ落ちる。

時間切れ。

さっきまで架かっていた階段が消え失せた。
猶予の三十分が経過したことになる。
あと少しのところでえらい目に遭う二人。

「大丈夫か? 」
「ええ、大丈夫っす兄貴」
「その人は? 」
「ああ、酒はこぼれてないさ」

どうやら心配なさそうだ。
とりあえず第一関門を突破した。

「さあ、急ごう! 」

闇夜を駆ける。

光の乏しい山道を下る。

「急げ! 」

「兄貴! こう暗くちゃ危険ですぜ」
パックはこの辺りのことに詳しい為、余計に警戒しているようだ。

「分かってるって。誰かライトを持ってないか?
俺のはもう役に立たない」

「仕方ない。ヒック。これを使え! 」
モッタが初めて役に立った。

ただそれでも全体に広がる闇を切り裂くには至らず。幽かな光が漏れるのみ。

とにかく前方を照らす。
足元に注意しながら急ぎ足で歩く。

「暗いわねえ本当に」

「危ない気をつけろ! 」

辺りは水たまりになっておりぬかるんでいる。

パックの話では雨が降った後数日はその状態が続くのだそうで非常に危険とのこと。なるべく乾いたところを選んで歩くようにアドバイス。

「うわあ! 」 
泥沼に嵌った。

触感が気持ち悪い。

「いやあ! 」
プラスティ―が騒ぎ出した。

「ヒック。何を言ってんだか。この感じが良いんじゃないか。ウイイ」

深みにはまることは無いが滑りやすくもなっているので気をつけなくてはいけない。

「うわあ! 」 
案の定モッタが足を滑らせた。
転げ落ちるまではいかなかったが盛大に酒をばら撒く。

「ああもったいねえ! 」 

「大丈夫ですか? 」

「ヒック。ひひひ。問題ねい」
片手をピースサインで応える。

「うわ! 」
危うくバランスを崩し背中から転げ落ちそうになった。

これだから酔っぱらいは困る。
愚痴を言っても始まらないが気をつけてもらいたいものだ。

何事もなかったように陽気に振る舞う。
パックとお似合いでいいコンビになりそう。

「おい! ゆっくり自分の後について来い! 」
パックに引かれて下山するモッタ。

ようやく平坦な道。

もう間もなくドコダシティー。

               続く
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