ジミート チート神を探して神々の森へ 追放されし三人の勇者故郷を救え!

二廻歩

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再会そして脱出

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最終章。

ドコダ山の攻防。

ドコダ山入口。

怒り狂った鬼の紋章を鎧に施した集団。
彼らは堂々と鬼の紋章の入った旗を掲げる。

密かに集結した大王鬼神の軍勢。
第二部隊は戦闘態勢を整えた。

「ご命令を! 」

「待て! 慌てるでない。陽が暮れてから行動開始。
奴らが寝静まってからが勝負だ」

先行部隊の一人が戻ってきた。

「まずいです! 我らの動きが! あああ…… 」
弓矢が降ってきた。

「仕方がない。力の差を見せつけてやれ! 」

攻撃開始。

「あああ! 」
「行け! 」

弓矢が飛び交う。

「シュ! 」
「うぐ! 」
「ヒット! 」

「後退! 」

「行け! 」
「うわわわ! 」

思うように前に進まない。

このままでは我が部隊は恥さらしになる。

「突っ込め! 」
「うわわわ! 」

いくら防具で固めていたとしても捨て身で突っ込む度胸は恐れ入る。
ただそれを指示する者は人でなしだ。

なんとか接近戦に持っていこうとするがその前にやられてしまう。

「戻れ! 退却! 」

容赦なく飛び交う矢。

もう戦える者が半分以下となってしまった。

本当であれば寝静まった頃に急襲し、混乱に乗じて火を放ち、戦意を喪失したところで要求を突きつける流れ。だがどうやら敵も馬鹿ではないようで事前に察知し、応戦されてしまった。

何とも間抜けな話だが受け止める以外なさそうだ。

次の手を打つ。

ひとまず使者を送るとしよう。
陽が暮れた。ちょうど頃合いだ。


リサイクル卿部隊陣営

「おい! 警戒を怠るな! 
相手は未明には攻撃を始めるはずだ。
絶対に突破させるな! 」

「はは! 何とか持ちこたえさせてみせます」

奴らの狙いが何なのかいまいち掴めていない。
不気味で仕方がない。

「あの、リサイクル卿。報告が入りました。
どうやら同時に村を襲っている模様」

「うぐぐぐ…… そうか。まったくどうしようもない連中だ! 」
「持ちこたえられるでしょうか? 」
「持ちこたえてもらわんと困る! こちらも踏ん張っている」

追い払ったら駆けつけるにしても明日以降になる。
嫌な予感しかしない。

がやがや
ざわざわ

騒ぎ始めた。

「報告します。使者が到着しました」
「何? よし、連れてこい! 」

相手方の使者は震えた声で要求を読み上げる。

「我らは大王鬼神の命によってこの土地を訪れた。
土地を分け渡せば村に危害を与えぬ。どうする?
大王鬼神に歯向かえばどうなるかご存知であろう。
早急に譲り渡せ! 」

「おい、お前それ本気で言ってないよな? 」
血の気の多い部下は怒り狂う。

「おいおい。使者には手を出すな! 」
「しかしこいつがふざけたことを抜かすから」

「私はリサイクル卿。お前らの企みに気付き先手を打った。
これ以上無駄な戦いをするな! そう伝えろ! 」

「ふふふ。分かりました。あくまで歯向かうのですね。
一つ良いことを教えてあげましょう。
大王鬼神は土地が欲しいのではありません。こんな山奥。何の価値もない。
ただ、民が、ものが欲しいのです」

「大王鬼神の要望にお応えしなくてはなりません」

「鬼神は大食期を迎えました。
前回の記憶をお忘れですか? 」

「例え先手を打とうがどのように守ろうが大王鬼神の前には無力なのです。
ええ。勝手に追い払って結構。しかし次には全国に散らばった何万と言う兵隊がこの地方を包囲するでしょう」

「今、求めに応じて差し出せば最低限の被害で収まります。
村を焼かれることもなく無駄死することもありません。
これは悪くない取引だ。素直に我々に従ってください」

「おのれ! 」

「老いましたねあなたも。リサイクル卿ともあろう方がまさか判断を誤るとは思いませんがね。くれぐれもお気お付けください」

「待ってくれ! 」

「待てませんね。いや、私どもはそう言われれば待ちます。しかし大王鬼神は止められないのです。
今がちょうど一年に一度の大食期なのです。
今か今かと帰りを待っておられるのです」

「では、要件は伝えました」

震えていた使者はどこへやら。
不気味な笑みさえ浮かべて勝ち誇ったように堂々と歩く。
部下たちの脅しにも平然とした態度。

まあ確かに我々は無闇に人に危害を加えることを禁じている。

「おい! 警戒を怠るな! 」

使者が立ち去ってすぐに三人の若者がやってきた。

「申し上げます。
リサイクル卿。ご子息がやってまいりました」

「何? 」

「面会を求めております」
「よし分かった。通せ! 」

「カン? カンなのか? 」
「父上。 お久しぶりです」

「おお。よく来たと言いたいところだがなぜこのような場所に?
今は交戦中だ。立ち去るがよい! 」

「分かっております。しかし我らも戦いに参加しに来たのです」
「何! 正気か? 」
「ええ、少しは役に立ちたいのです」

「分かった。それでこの二人は? 」
「仲間です」
「おお! そうかそうか。友とな」

「プラスティ―です」
「自分はパックっす」

「まったく。身の程を知らん連中だ。
どうなっても知らんぞ! 」

「心得ております」
「よしではさっそく働いてもらうか」

「おい! モッタはいるか? 」
「モッタですか。さっきまでここにあれ? 」
「いいから探して連れてこい! 」

モッタはこの部隊の中で一番の若者。
見た目は爺くさいが二十そこそこ。
主に雑用係。

「モッタ! どこだ! 」
「お呼びですか? 」
「隊長がお前に用だと」
「おおそれは大変だ」

「ヒック」
赤ら顔にふらつく足元。

「へい、隊長! 」
「また酒を飲んでいたな! このような時に! 」
「へい。景気づけですわ。ははは…… 」

下手な言い訳でごまかす。

「まったくお前と言う奴は! まあいい」

大丈夫かこいつ?
誰もがそう思うのだった。

「おいモッタ! お前に重要任務を命じる。
この者たちと共にここを脱出し、仲間の応援に回れ! 」

「へへい! へえっ? 」

「父上何を考えているのですか? 」

「本来なら私が行かなくてはいけないが生憎と動くことができない。
お前たちに代わりに行ってきてもらいたい。
もちろんここが片付いたらすぐに駆けつける。頼んだぞ! 」

「分かりました父上。その大役お引き受けします」

「あの…… 隊長どうやってここを抜けるんで? 」
モッタの疑問は当然。カンたちもそのことが気になっていた。

「父上。策がおありで? 」

「まあなあ。これを使え! 」

リサイクル卿はスティアケースを渡す。

                続く
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