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老人の説教にダウン続出
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神社へ。
神主の神代は一体どんな人物なのだろう。
またはぐらかされては敵わない。
もうすでに夕方。
この季節は急に暗くなっていくイメージ。
あっと言う間に陽が落ちる。
ぽつぽつ。
太陽が隠れ雲が不気味な存在感を示している。
ついに雨が降り出してきた。
旅館に着くころには止んでいるだろうが少し心配だ。
神代を尋ねる。
「済みませーん」
中から風格のある眼光鋭い爺さんが出てきた。
「何用? 」
「あのー。お聞きしたいことがあるんですが」
「ならん! 帰れ! 」
機嫌を損ねたのか中に戻ってしまった。
早く呼び戻さないと。
ドンドン!
バンバン!
「うるさいわ! ここは神聖な場所だぞ。少しは弁えよ! 」
現れたと思ったら再び姿を消す。
ドンドン!
ダンダン!
諦めずに叩き続ける。
「うるさい! 」
ダンダン!
トントン!
「勧誘か? 要らんわ! 」
エンドレスで叩き続ける。
効果はあったようで根負けした老人が息を切らして入るように促す。
「お前らただ者ではないな? どこの回し者だ! 」
「もうお爺ちゃんたら…… ふざけてばかり」
プラスティ―が猫なで声で迫る。
ニャア!
ボトルが反応する。
「ギャア! 猫は大の苦手だわ。近づかせるな! 」
注文の多い老人。
「神主がそれでは困ります!
民の為、生き物の為に尽くすのがあなたの役目ではないですか」
「分かった! 分かったからその子を近づけるな」
老人の頼みを聞いてやる。
「用があるのだろこっちで話そう」
和室に通される。
巻き物や絵画といった骨董品がそこらに飾られている。
奥にはこの集落の歴史や伝説等の書物がいくつもある。
その一つを取り出して長話をしだした。
「あの…… 」
「良いから良いから。面白いぞ」
「元々この辺りに人は住んでおらず寂しいものだった。
ある時追われた民が村を形成。徐々に広がっていき……
そして今では温泉郷と言われるまでに豊かな土地となった」
「そして…… 」
「爺さんまだ続けるのかよ? 」
「ダメよパック。大人しくしてなさい」
「何と情けない! 今の若者は…… まったく…… 」
「そろそろ私たちの頼みを聞いてくださらない? 」
「良かろう。話すがいい」
「カンお願い! 」
茶を啜って心を整える。
「あの…… 神主さん」
「ああ、神代と申す。爺さんでも何でも好きに呼ぶがいい」
「それではお爺さん…… 」
自己紹介を済ませ本題に入る。
「何! 薬草をご所望か? 」
「そうなんだ爺さん。早くくれよな。ケチケチすんな! 」
パックが割り込む。
「この無礼者は何じゃ! 許さん! 」
「落ち着いてお爺ちゃん。ほらパックも気をつけて」
「ちぇ! 分かったよ。俺はもう口を挟まねい」
ボトルのところに行ってしまった。
「改めてお聞きします。薬草はどこにあるのでしょう? 」
「うーん。教えてやらんでもないがなぜ必要なのじゃ? 」
「実は親方が体を痛めまして。まったく良くならないんです。
そこで噂を聞きつけた我々はこの温泉郷へ。ここの者に薬草の話を聞いた次第です」
「ほう。うまいうまい。筋は通っているな」
「お疑いですか? 」
「いやいや。事実ならそれ相応の対応をせねばならなかろう。事実ならな! 」
「もちろん…… 」
「本当か? 何かよからぬことを考えておらぬか? 」
「とんでもない! ああ早く親分に持って帰らないと」
老人はカンの目をじっと見る。
五感を研ぎ澄ます。
「良かろう! 教えてやる! 」
「本当ですか? 」
「ああ、お前らは怪しいがしかし決して邪な心を持っているとも思えん。
ギリギリセーフだ」
「ありがとうお爺ちゃん! 」
プラスティ―が抱き着く。
「フン。こんなことで心を乱しはせん」
「ありがとうございます」
「ただし! 」
「ええ! 条件付きなの? 」
「お嬢さん。大したことではない。ここに一晩泊まっていきなさい」
「お爺さんがそうおっしゃるならお言葉に甘えて」
「明日一番に出発するといい。もちろん案内をつける」
案内役? 監視役の間違いでは?
心の中で毒づく。
パックを呼んで食事にする。
ソバとおにぎり。
野草とサラダ。
煮物。
豆腐の味噌汁。
柿。
どれも集落の者が届けてくれたもの。
もちろん野草と柿は別に取ってきたのだが。
「旨い! ああ旨い! 」
パックはほぼそれしか言わない。語彙が少ないのだ。
「おお! いい喰いっぷりよ! 。
ソバが苦手なプラスティ―はお構いなくパックに押し付ける。
お腹が減っていた三人は難なく平らげ関心される。
「うんいい食べっぷりだ! 」
「ごちそうさま! 」
後は寝るだけ?
「良いか? 若者よ! 」
昔話が始まった。
早々に脱落のパックはその場でダウン。
「この集落もそう。お前らの住む村もそう。
元々いずこから移り住んだのだ。
いずこへ旅立つのが定め。いつかそう遠くない日にな」
プラスティ―限界?
長話はまだまだ続く。
「あんたらはこの世界を知らなさすぎる。
戦乱の世などと言う図式では表せない。
宿命。そうそれが宿命……
追うもの追われるもの。
奴等と我らは対等ではない!
奴等を怒らせるな! 」
「従え! 所詮は我らは奴らにとって所有物なのだからな。
まあ捨てられてしまえばそれまでよ」
「疑え! あらゆる事に疑問を持つのだ。
心地よい言葉に惑わされるな」
「他所からのものを安易に受け入れてはいかん!
時代や流行に乗せられぬな! 」
「浅い! 浅い考えなど求めておらん。
深くじっくり考えよ」
老人の説教も終盤。
「それでは森に住まわす神々について…… 」
「おお、もう寝てしまったか。
これまでとしよう」
薬草の話もまだだがな。
瞬く間に朝となった。
続く
神主の神代は一体どんな人物なのだろう。
またはぐらかされては敵わない。
もうすでに夕方。
この季節は急に暗くなっていくイメージ。
あっと言う間に陽が落ちる。
ぽつぽつ。
太陽が隠れ雲が不気味な存在感を示している。
ついに雨が降り出してきた。
旅館に着くころには止んでいるだろうが少し心配だ。
神代を尋ねる。
「済みませーん」
中から風格のある眼光鋭い爺さんが出てきた。
「何用? 」
「あのー。お聞きしたいことがあるんですが」
「ならん! 帰れ! 」
機嫌を損ねたのか中に戻ってしまった。
早く呼び戻さないと。
ドンドン!
バンバン!
「うるさいわ! ここは神聖な場所だぞ。少しは弁えよ! 」
現れたと思ったら再び姿を消す。
ドンドン!
ダンダン!
諦めずに叩き続ける。
「うるさい! 」
ダンダン!
トントン!
「勧誘か? 要らんわ! 」
エンドレスで叩き続ける。
効果はあったようで根負けした老人が息を切らして入るように促す。
「お前らただ者ではないな? どこの回し者だ! 」
「もうお爺ちゃんたら…… ふざけてばかり」
プラスティ―が猫なで声で迫る。
ニャア!
ボトルが反応する。
「ギャア! 猫は大の苦手だわ。近づかせるな! 」
注文の多い老人。
「神主がそれでは困ります!
民の為、生き物の為に尽くすのがあなたの役目ではないですか」
「分かった! 分かったからその子を近づけるな」
老人の頼みを聞いてやる。
「用があるのだろこっちで話そう」
和室に通される。
巻き物や絵画といった骨董品がそこらに飾られている。
奥にはこの集落の歴史や伝説等の書物がいくつもある。
その一つを取り出して長話をしだした。
「あの…… 」
「良いから良いから。面白いぞ」
「元々この辺りに人は住んでおらず寂しいものだった。
ある時追われた民が村を形成。徐々に広がっていき……
そして今では温泉郷と言われるまでに豊かな土地となった」
「そして…… 」
「爺さんまだ続けるのかよ? 」
「ダメよパック。大人しくしてなさい」
「何と情けない! 今の若者は…… まったく…… 」
「そろそろ私たちの頼みを聞いてくださらない? 」
「良かろう。話すがいい」
「カンお願い! 」
茶を啜って心を整える。
「あの…… 神主さん」
「ああ、神代と申す。爺さんでも何でも好きに呼ぶがいい」
「それではお爺さん…… 」
自己紹介を済ませ本題に入る。
「何! 薬草をご所望か? 」
「そうなんだ爺さん。早くくれよな。ケチケチすんな! 」
パックが割り込む。
「この無礼者は何じゃ! 許さん! 」
「落ち着いてお爺ちゃん。ほらパックも気をつけて」
「ちぇ! 分かったよ。俺はもう口を挟まねい」
ボトルのところに行ってしまった。
「改めてお聞きします。薬草はどこにあるのでしょう? 」
「うーん。教えてやらんでもないがなぜ必要なのじゃ? 」
「実は親方が体を痛めまして。まったく良くならないんです。
そこで噂を聞きつけた我々はこの温泉郷へ。ここの者に薬草の話を聞いた次第です」
「ほう。うまいうまい。筋は通っているな」
「お疑いですか? 」
「いやいや。事実ならそれ相応の対応をせねばならなかろう。事実ならな! 」
「もちろん…… 」
「本当か? 何かよからぬことを考えておらぬか? 」
「とんでもない! ああ早く親分に持って帰らないと」
老人はカンの目をじっと見る。
五感を研ぎ澄ます。
「良かろう! 教えてやる! 」
「本当ですか? 」
「ああ、お前らは怪しいがしかし決して邪な心を持っているとも思えん。
ギリギリセーフだ」
「ありがとうお爺ちゃん! 」
プラスティ―が抱き着く。
「フン。こんなことで心を乱しはせん」
「ありがとうございます」
「ただし! 」
「ええ! 条件付きなの? 」
「お嬢さん。大したことではない。ここに一晩泊まっていきなさい」
「お爺さんがそうおっしゃるならお言葉に甘えて」
「明日一番に出発するといい。もちろん案内をつける」
案内役? 監視役の間違いでは?
心の中で毒づく。
パックを呼んで食事にする。
ソバとおにぎり。
野草とサラダ。
煮物。
豆腐の味噌汁。
柿。
どれも集落の者が届けてくれたもの。
もちろん野草と柿は別に取ってきたのだが。
「旨い! ああ旨い! 」
パックはほぼそれしか言わない。語彙が少ないのだ。
「おお! いい喰いっぷりよ! 。
ソバが苦手なプラスティ―はお構いなくパックに押し付ける。
お腹が減っていた三人は難なく平らげ関心される。
「うんいい食べっぷりだ! 」
「ごちそうさま! 」
後は寝るだけ?
「良いか? 若者よ! 」
昔話が始まった。
早々に脱落のパックはその場でダウン。
「この集落もそう。お前らの住む村もそう。
元々いずこから移り住んだのだ。
いずこへ旅立つのが定め。いつかそう遠くない日にな」
プラスティ―限界?
長話はまだまだ続く。
「あんたらはこの世界を知らなさすぎる。
戦乱の世などと言う図式では表せない。
宿命。そうそれが宿命……
追うもの追われるもの。
奴等と我らは対等ではない!
奴等を怒らせるな! 」
「従え! 所詮は我らは奴らにとって所有物なのだからな。
まあ捨てられてしまえばそれまでよ」
「疑え! あらゆる事に疑問を持つのだ。
心地よい言葉に惑わされるな」
「他所からのものを安易に受け入れてはいかん!
時代や流行に乗せられぬな! 」
「浅い! 浅い考えなど求めておらん。
深くじっくり考えよ」
老人の説教も終盤。
「それでは森に住まわす神々について…… 」
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これまでとしよう」
薬草の話もまだだがな。
瞬く間に朝となった。
続く
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