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東常冬町到着!
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お婆さんの出現により強固な絆で結ばれたはずの隊にひびが入る。
口の悪いお婆さんに我慢できず応戦するメンバーたち。
どっちもどっちなんだよな。
年上を敬えば自然と…… ダメだこいつら教師の俺も敬えてない。
特にタピオカ部は酷いもので俺も初めの方は手厳しい洗礼を受けたものだ。
これもすべてあの忌まわしいスケルトンが悪い。彼女らに罪は…… あるか。
もちろん良い思いだってしたにはしたがな。それでは全然足りない。
顧問としてこの辺のマナー教育を徹底すべきだったかな。
お婆さんだって大人げないよ。たかが高校生に本気にならなくても。
ただ口が悪いだけでこれもコミュニケーションだと思っているかもしれないが。
それでもやり過ぎなのは否めない。
本当にどっちもどっちなんだよな。もう少し仲良く出来ないかな?
ここはミホ先生が間に入ってもらえると助かるんだが動きなし。
問題はお婆さんの状態。本当に腰を痛めたのか? どうも動きが軽やかなんだよな。
疑惑のお婆さんと共に東常冬町を目指す。
「おいお前たちそれくらいに…… 」
ダメだ俺の声など届いてない。言葉の応酬が続く。
これ以上エキサイトされては危険だ。
山下りは慎重にも慎重に。
「オラの町をバカにするのか? 」
「だからそうじゃないでしょう! どうしてすり替えるの? 」
感情的になるアイ。さっきまでカズトだったのがいつの間にかタピオカ部の二人に。
このままでは本当に…… まあいいか。放って置いても何とかなるだろう。
暖かく見守るのも教師の役目。ミホ先生もいることだしな。
危なくなったら止めればいいさ。
いつの間に世代間闘争へ発展。
ジェネレーションギャップがあるせいでどうにも収拾がつかなくなる。
余計な荷物が増えたこともあり下山には二時間近く掛かった。
だがそれでも当初の予定より三十分近く早まった。
これもお婆さんが騒いだおかげで疲れや寒さが吹っ飛んだから。
物凄くポジティブに捉えた場合だが。
それだけでなく適切な指示で迷うことなく最短ルートで町に着けたのが大きい。
騒がしいお婆さんだったがそう言う面では感謝すべきだろう。
頼るべきは地元の力。こうして今後の捜索でも地元の協力を得られればなと。
東常冬町到着。
「ありがとうよ。久しぶりにワイワイ出来て楽しかったわ」
意外にも怒ってない? 懐の深い人だ。
「こちらこそ。腰が悪いんだから家まで送りましょうか? 」
「いやもうこの辺で結構。ほれこれはオラからのせめてもの感謝の気持ちだ」
そう言って懐からイント一枚。
「ねえお婆ちゃん。もう少しだけでも東常冬町のこと教えてよ」
アイが粘る。
「そうだよ。何か知ってるんでしょう? 」
イセタンが興味津々。
新しい町に入るので不安に思っているんだろうな。俺もそうだからな。
「ダメじゃ! 自分の足で調べれい! 近頃の若い者は軟弱の癖に態度が悪い。
観光客などに教えてロクなことがない。あんたらには悪いがそう言うことだから。
決してあんたらが悪いとは言わんが観光客はいくら注意しても好き勝手しやがる。
オラたちのことをちっとも考えずに土足で踏み荒らしていく。
本当に情けない。何と嘆かわしい」
大きなため息一つ吐いて空を見上げる。
随分寒くなって来た。そろそろ雪になってもおかしくない。
「まあまあケチケチせずにさ」
格好つけて歩き出そうとするもカズトが止めてしまう。
「まったく話も聞けんとは…… まあよい。一つだけ良いことを教えてやろう。
この町にはあんたらの考えるような旅館などない。
七人の団体さんを泊めてくれるところがあるかのう?
野宿はそれは大変じゃぞ。
大型の肉食獣がうじゃうじゃ歩き回ってるからのう。
それに慣れてなければ寒さも半端ないのじゃ。
ほれ心配になって来たじゃろ? ヒヒヒ……
じゃが心配せんでいい。オラの仲間にあんたらが来たことを伝えよう。
ボロ家で申し訳ないが泊まって行かれるとよい。ただ歓迎されるとは限らんがな」
不穏なことを言って脅すお婆さん。
「何ならオラのオンボロ屋に来るとよい。村の一番端の家。目印は貝殻」
イントだけでなく今晩の宿まで世話してくれるとは口は悪いがいい人に違いない。
思いがけない情報を得る。
「お婆さん…… 」
「これで用は済んだろ? 急ぐんでこれで失礼するな」
「ありがとうございました! 」
皆で感謝の気持ちを込める。
荷物を受け取ったお婆さんは振り返りもせず手を振るのみだった。
別れを惜しむ生徒たちを置いてあっさりしたものだ。
イント合計四枚。
続く
口の悪いお婆さんに我慢できず応戦するメンバーたち。
どっちもどっちなんだよな。
年上を敬えば自然と…… ダメだこいつら教師の俺も敬えてない。
特にタピオカ部は酷いもので俺も初めの方は手厳しい洗礼を受けたものだ。
これもすべてあの忌まわしいスケルトンが悪い。彼女らに罪は…… あるか。
もちろん良い思いだってしたにはしたがな。それでは全然足りない。
顧問としてこの辺のマナー教育を徹底すべきだったかな。
お婆さんだって大人げないよ。たかが高校生に本気にならなくても。
ただ口が悪いだけでこれもコミュニケーションだと思っているかもしれないが。
それでもやり過ぎなのは否めない。
本当にどっちもどっちなんだよな。もう少し仲良く出来ないかな?
ここはミホ先生が間に入ってもらえると助かるんだが動きなし。
問題はお婆さんの状態。本当に腰を痛めたのか? どうも動きが軽やかなんだよな。
疑惑のお婆さんと共に東常冬町を目指す。
「おいお前たちそれくらいに…… 」
ダメだ俺の声など届いてない。言葉の応酬が続く。
これ以上エキサイトされては危険だ。
山下りは慎重にも慎重に。
「オラの町をバカにするのか? 」
「だからそうじゃないでしょう! どうしてすり替えるの? 」
感情的になるアイ。さっきまでカズトだったのがいつの間にかタピオカ部の二人に。
このままでは本当に…… まあいいか。放って置いても何とかなるだろう。
暖かく見守るのも教師の役目。ミホ先生もいることだしな。
危なくなったら止めればいいさ。
いつの間に世代間闘争へ発展。
ジェネレーションギャップがあるせいでどうにも収拾がつかなくなる。
余計な荷物が増えたこともあり下山には二時間近く掛かった。
だがそれでも当初の予定より三十分近く早まった。
これもお婆さんが騒いだおかげで疲れや寒さが吹っ飛んだから。
物凄くポジティブに捉えた場合だが。
それだけでなく適切な指示で迷うことなく最短ルートで町に着けたのが大きい。
騒がしいお婆さんだったがそう言う面では感謝すべきだろう。
頼るべきは地元の力。こうして今後の捜索でも地元の協力を得られればなと。
東常冬町到着。
「ありがとうよ。久しぶりにワイワイ出来て楽しかったわ」
意外にも怒ってない? 懐の深い人だ。
「こちらこそ。腰が悪いんだから家まで送りましょうか? 」
「いやもうこの辺で結構。ほれこれはオラからのせめてもの感謝の気持ちだ」
そう言って懐からイント一枚。
「ねえお婆ちゃん。もう少しだけでも東常冬町のこと教えてよ」
アイが粘る。
「そうだよ。何か知ってるんでしょう? 」
イセタンが興味津々。
新しい町に入るので不安に思っているんだろうな。俺もそうだからな。
「ダメじゃ! 自分の足で調べれい! 近頃の若い者は軟弱の癖に態度が悪い。
観光客などに教えてロクなことがない。あんたらには悪いがそう言うことだから。
決してあんたらが悪いとは言わんが観光客はいくら注意しても好き勝手しやがる。
オラたちのことをちっとも考えずに土足で踏み荒らしていく。
本当に情けない。何と嘆かわしい」
大きなため息一つ吐いて空を見上げる。
随分寒くなって来た。そろそろ雪になってもおかしくない。
「まあまあケチケチせずにさ」
格好つけて歩き出そうとするもカズトが止めてしまう。
「まったく話も聞けんとは…… まあよい。一つだけ良いことを教えてやろう。
この町にはあんたらの考えるような旅館などない。
七人の団体さんを泊めてくれるところがあるかのう?
野宿はそれは大変じゃぞ。
大型の肉食獣がうじゃうじゃ歩き回ってるからのう。
それに慣れてなければ寒さも半端ないのじゃ。
ほれ心配になって来たじゃろ? ヒヒヒ……
じゃが心配せんでいい。オラの仲間にあんたらが来たことを伝えよう。
ボロ家で申し訳ないが泊まって行かれるとよい。ただ歓迎されるとは限らんがな」
不穏なことを言って脅すお婆さん。
「何ならオラのオンボロ屋に来るとよい。村の一番端の家。目印は貝殻」
イントだけでなく今晩の宿まで世話してくれるとは口は悪いがいい人に違いない。
思いがけない情報を得る。
「お婆さん…… 」
「これで用は済んだろ? 急ぐんでこれで失礼するな」
「ありがとうございました! 」
皆で感謝の気持ちを込める。
荷物を受け取ったお婆さんは振り返りもせず手を振るのみだった。
別れを惜しむ生徒たちを置いてあっさりしたものだ。
イント合計四枚。
続く
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