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行ってはいけない! 若女将の必死の説得
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この旅館で一番詳しいであろう若女将から引き続き話を聞く。
「この地域周辺に伝わる伝承あるいは昔話をもう少し聞かせてください」
図々しいがこれもせっかくのチャンス。このチャンスを無駄には出来ない。
一個でも多くの手掛かりを見つけられたらな。
俺たちをただの観光客だと思ったならそれは違う。
今は彼女よりも詳しいはずだ。異世界までの地図もある。
この村も人口百人以下の島も地図に記されていた。
だがそれも名前だけ。詳しくは分からない。
若女将にこの地図を見せて協力を仰ぐべきだろうか?
でも…… 見知らぬ土地で会って間もない人物。信用し過ぎるのも問題だ。
「それはまさかあのこと…… 」
ほらまだ情報を持っていた。早く全部吐き出してもらおうか。
今は駆け引きしてる精神的余裕も時間的余裕もない。
しかしタダで情報をもらうのも悪い。それなりの礼をしないとな。
「お止めくださいお客様! 馬鹿な真似は! 」
酷く動揺する若女将。一体何を隠してると言うんだ?
「どうしました? 俺が何か気に障るようなことでも? 」
「もしあの話が本当なら…… 」
言いかけたがそこで止まってしまう。
顔色が悪いぞ。一体どうしたのか?
「あの話? 」
「あなたはどこかの研究機関の方ですか? 」
どうやら俺のことを疑ってるようだ。まあそれも無理ないか。怪しいよな。
ただの覗き魔の怪しいさと言うよりは専門的な臭いなのだろう。
異世界研究所の所長とでも言ったらどんな反応するだろう?
でも俺はただの高校の教師で引率者。大した権威もなければ力もない。
「ああそんな専門的なところではなくただの高校の部活動ですよ。
ですから高校の先生であって偉い学者先生ではありません。
部活だってたまたま合宿地が近くにあるだけで…… 」
ここまで安心させれば話してくれるだろう。
「最後の確認です。あなたはここや周辺地域に害をもたらさないと誓えますか? 」
おかしなことを言う。害を成すとはどう言うことだろう?
「害を成すつもりはありません。ただ生徒たちと探索ぐらいするかもしれませんね。
どこかお薦めありませんか? 」
暗に何をするか伝える。これで分かってもらえるかどうか。
さすがに異世界探索をするなどとストレートには言えない。
笑われるならそれでいい。呆れられるならそれもいい。
警戒されて邪魔をされるのが一番困る。見つかるものも見つからない。
「お客さん。あなた方は調査をするつもりですね?
やめた方が良い。あんな恐ろしいところに行くのはお止めください。
それにどっちにしろ地元の者でもない限り渡ることなど出来ませんよ」
これ以上進むなと説得されてしまった。
まだ一日しか経っていない。手掛かり一つ掴めてない状況で引き下がれるものか。
冗談じゃない。我々はどこまでも行くと決めたのだ。
異世界探索隊は前進あるのみ。
俺たちのことを思ってくれるなら知ってることを詳しく話してもらいたいぜ。
「若女将は随分詳しいようだ」
「お客さん。私の口からはこれ以上申し上げることは出来ません!
それにお勧めもしません。
これは一つの客寄せであって実際に行こうなど間違ってる。
どうぞ今一度考え直してください。あなた方は歓迎などされませんよ。絶体に! 」
必死に止めようと縋るが俺にはどうすることも出来ない。
「分かってます。無理はしませんしあなた方を困らせるような真似はしません。
ありがとうございました」
若女将は最後まで俺を気にかけてくれた。噂通りの良い人に違いない。
信頼に足る人物だと思う。
一瞬目的を告白し異世界への地図も見せようかと思った。
我々は選ばれし人間だとアピールする為に。
だがそれでもここまで心配してくれる若女将だからこそ信用できないと判断した。
彼女こそが最初に立ちはだかる壁なのではないか。
異世界への道を閉ざす者。そんな気がする。
礼を述べて皆の元へ。
若女将はすべてを知っているような口振りだった。
しかしあそこまで頑なに止めるとは尋常ではない。
美人女将が台無しになるほど取り乱しよう。
何かあるんだ。俺たちを阻もうとするとんでもない何かが。
それを突き止める。
果たして俺たちに出来るのか?
続く
「この地域周辺に伝わる伝承あるいは昔話をもう少し聞かせてください」
図々しいがこれもせっかくのチャンス。このチャンスを無駄には出来ない。
一個でも多くの手掛かりを見つけられたらな。
俺たちをただの観光客だと思ったならそれは違う。
今は彼女よりも詳しいはずだ。異世界までの地図もある。
この村も人口百人以下の島も地図に記されていた。
だがそれも名前だけ。詳しくは分からない。
若女将にこの地図を見せて協力を仰ぐべきだろうか?
でも…… 見知らぬ土地で会って間もない人物。信用し過ぎるのも問題だ。
「それはまさかあのこと…… 」
ほらまだ情報を持っていた。早く全部吐き出してもらおうか。
今は駆け引きしてる精神的余裕も時間的余裕もない。
しかしタダで情報をもらうのも悪い。それなりの礼をしないとな。
「お止めくださいお客様! 馬鹿な真似は! 」
酷く動揺する若女将。一体何を隠してると言うんだ?
「どうしました? 俺が何か気に障るようなことでも? 」
「もしあの話が本当なら…… 」
言いかけたがそこで止まってしまう。
顔色が悪いぞ。一体どうしたのか?
「あの話? 」
「あなたはどこかの研究機関の方ですか? 」
どうやら俺のことを疑ってるようだ。まあそれも無理ないか。怪しいよな。
ただの覗き魔の怪しいさと言うよりは専門的な臭いなのだろう。
異世界研究所の所長とでも言ったらどんな反応するだろう?
でも俺はただの高校の教師で引率者。大した権威もなければ力もない。
「ああそんな専門的なところではなくただの高校の部活動ですよ。
ですから高校の先生であって偉い学者先生ではありません。
部活だってたまたま合宿地が近くにあるだけで…… 」
ここまで安心させれば話してくれるだろう。
「最後の確認です。あなたはここや周辺地域に害をもたらさないと誓えますか? 」
おかしなことを言う。害を成すとはどう言うことだろう?
「害を成すつもりはありません。ただ生徒たちと探索ぐらいするかもしれませんね。
どこかお薦めありませんか? 」
暗に何をするか伝える。これで分かってもらえるかどうか。
さすがに異世界探索をするなどとストレートには言えない。
笑われるならそれでいい。呆れられるならそれもいい。
警戒されて邪魔をされるのが一番困る。見つかるものも見つからない。
「お客さん。あなた方は調査をするつもりですね?
やめた方が良い。あんな恐ろしいところに行くのはお止めください。
それにどっちにしろ地元の者でもない限り渡ることなど出来ませんよ」
これ以上進むなと説得されてしまった。
まだ一日しか経っていない。手掛かり一つ掴めてない状況で引き下がれるものか。
冗談じゃない。我々はどこまでも行くと決めたのだ。
異世界探索隊は前進あるのみ。
俺たちのことを思ってくれるなら知ってることを詳しく話してもらいたいぜ。
「若女将は随分詳しいようだ」
「お客さん。私の口からはこれ以上申し上げることは出来ません!
それにお勧めもしません。
これは一つの客寄せであって実際に行こうなど間違ってる。
どうぞ今一度考え直してください。あなた方は歓迎などされませんよ。絶体に! 」
必死に止めようと縋るが俺にはどうすることも出来ない。
「分かってます。無理はしませんしあなた方を困らせるような真似はしません。
ありがとうございました」
若女将は最後まで俺を気にかけてくれた。噂通りの良い人に違いない。
信頼に足る人物だと思う。
一瞬目的を告白し異世界への地図も見せようかと思った。
我々は選ばれし人間だとアピールする為に。
だがそれでもここまで心配してくれる若女将だからこそ信用できないと判断した。
彼女こそが最初に立ちはだかる壁なのではないか。
異世界への道を閉ざす者。そんな気がする。
礼を述べて皆の元へ。
若女将はすべてを知っているような口振りだった。
しかしあそこまで頑なに止めるとは尋常ではない。
美人女将が台無しになるほど取り乱しよう。
何かあるんだ。俺たちを阻もうとするとんでもない何かが。
それを突き止める。
果たして俺たちに出来るのか?
続く
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