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お弁当タイム

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異世界探索隊は一回目の乗り換えを無事に終える。
部長とカズトが弁当を巡って口論に。
そこをすかさずミホ先生が止める。
二人の話を聞くにどうやら部長がカズトの弁当を横取りしたらしい。
ははは…… 元気な奴らだな。

ガキではないので謝れば済む問題ではないが形だけでも双方謝るように求める。
これで文句を言うなら同行を拒否する。今すぐに帰ってもらって構わない。
異世界探索隊は団結が求められる。
喧嘩して絆が深まるならそれに越したことはないがそんな甘いものでもないだろう。

気をつけてないといつの間にか隊全体の雰囲気が悪くなる。
それだけは何としても避けなければならない。
隊にとって致命傷になりかねない事態。だからこそ些細なことでも神経質になる。
生徒たちは特段気にする様子もないが我々教師は注意深く見ている。
少々窮屈だがこれも隊の規律を守るため。生徒たちの安全を守るため。

「いいかお前らよく聞け! 他の乗客に迷惑を掛けないのはもちろんのこと。
多少のことは我慢して皆仲良くするんだ。分かったな? 」
「はい! 」
うんこれでいい。起きてしまったことは仕方ない。
後はどれだけ反省し己と向き合うかだ。
これで少しは大人しくなるだろう。

もしかして生徒に行き先を伝えてないことが不安を招くのか?
ミステリートレインだと思って楽しんでくれると助かるんだが。
よし今がちょうど良い。トラブルもあって皆が集中してる時に話しておこう。
「いいか今日から何があっても不思議はない。各自の役割に集中しろ!
身を引き締めて行動してくれ。特に今喧嘩していたお前ら! 」
「はい! 」
返事だけは一人前なんだよな。きちんと話を聞いていたかは定かではないが。

「それから集団行動を守れ! 我々はチームだ。
単独行動をするな! 勝手な行動は慎め! それから…… 」
つい熱くなってしまう。これも生徒を思ってのこと。
「青井先生。もうそれくらいで。お弁当にしましょう」
ミホ先生が止めに入る。これも彼女に期待する役割。
どちらかが叱ってどちらかが止める。
どちらかが怒ってどちらかが宥める。
言い足りなかっだがまあこれくらい勘弁してやるか。

「そうだよ先生一緒に食べよう」
素直なアイ。うんこれくらい素直だといつも助かるんだよな。
素直なアイ。うんこれくらいで食べれるといいんだが。
アイだけではなく美人三姉妹上二人も素直で表裏がなければと願っている。
まあもう過ぎた話か。

「ミホ先生…… アイ…… 」
確かに興奮して我を失ったら止めるのがミホ先生の役目。いいコンビプレー。
出来たら逆の役割だと俺の人気も上がるんだろうが。

「先生抑えて。周りが見てますよ」
ミコが周りの異変に気づく。
地元の者だろうか。ヒソヒソ話しだす。
さすがに俺の話を聞いてれば教師だと分かるだろう。
少々張り切り過ぎたかな? うわ…… 恥ずかしい。

「ははは…… これは失礼しました」
誰に言うでなく下では視線があるので天井を向く。
本来なら急いでこの場を離れるべきだが俺一人だけ離れてもな……
「ミホ先生後を頼みました」
一旦落ち着かせようとトイレに。

特急についたクラシックなトイレに圧倒される。
うっわ…… 清潔とはとてもとても。
臭いも相まってこれでは出るものも出ない。
それでも我慢してトイレでちょっとだけ。
やっぱり言い過ぎたかな? しかしこれも生徒のためだもんな。
そう自分に言い聞かせる。

キイイイ!
危うく飛び散るところだった。
あれ…… 急ブレーキ掛けた?
特急は東へ東へ。

アナウンスが流れる。
「安全確認のため停車します」
どうやら線路内に立ち入ったらしい。
嫌な音を立てて止まったからてっきり駅に着いたのだと思ったが違った。
地元の人はこの辺りではよくあると言っていた。
どうやら人間ではなく動物だそう。
これくらいのトラブルどうってことはないが遅れるのは確実。
前途多難な船出となってしまった。
あまり印象がよくない。

仕方なく座席に戻って景色を楽しみつつお弁当をがっつく。
幕の内弁当。
景色を見てミホ先生を見て生徒を見る。
これを繰り返してから幕の内へ。

うん。うまいうまい。
シャケとたまごと唐揚げにご飯。
シンプルだがそれが堪らない。
異世界探索とは言え旅行は旅行。
電車旅なら決して外せない。
別に幕の内弁当でなくてもいい。
しかしやはり風情が違う。

                   続く
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