上 下
39 / 195

カレー怖い

しおりを挟む
ようやくきちんとしたレッスンが出来た。
しかも二人とも思った以上に上達が早い。
これもすべて持ち物検査をし不安を取り除いたからだろう。
彼女たちも集中していたみたいだしな。
ははは…… 疲れた疲れた。

満足感に浸っていると二人が意外な提案をする。
どうやら今晩は彼女たちでカレーを作ってくれるらしい。
そう言えば来てすぐに冷蔵庫を開けていたな。
カレーか。はっきり言って好きではない。
ただそれは凝ったカレーの場合。
レトルトなどは好きでこいつらが作るんだから難しいのは避けるよな。

「先生は食べるでしょう? 」
「ああご馳走してくれるなら喜んで」
出来るなら今すぐ帰って欲しいがそれはそれで構わない。
荷物検査したんだから問題ないだろう。

俺は基本一人暮らしなので自炊することはもちろんある。
だがそれは週の初めぐらいで三日で飽きると言うか面倒臭くなる。
そうなると近くのファミレスか定食屋で済ましてしまう。情けないがこんなものだ。
これではいけないと一念発起し食材を買い込む。
気がつくと腐らせてしまうのがいつものパターン。

食材を無駄にするのは罪深いので敢えてたくさんは買わないことにしている。
だからその日のうちか最低でも次の日に消費期限が切れるものを選ぶ。
こうすれば無駄にならない。
困ったら彼女にでも作ってもらえばいいさ。
もちろん今はいないのだけど。ミホ先生作ってくれないかな。

キッチンを使いカレーを作ると張り切る二人。
本当に任せて大丈夫だろうか?
奴らの問題行動もそうだがクソまずいカレーを作りそうで心配になる。
どのみち一口食べるまで気が抜けそうにない。


「おいそのままだと制服が汚れるぞ」
「また誘導して。好きなんだから。先生大丈夫? 」
「違うって。着替えろって言ってるんじゃくてエプロン…… 」
まずいまた変な目で見られる。自分からやってどうする?
「エプロン? 」
「何でもない。好きにしろ」
エプロンもまずいよな。そもそもどこにあるやら。
とにかくクールに対応。これで少しは安心だろう。

「鍋はそれを使ってくれ! 」
「嘘…… これ洗ってないじゃない! 」
「いや一昨日使ってあれ…… そのままだっけ。まあいいや」
「本気ですか先生? 」
軽蔑の目で見られる。

調理はするが洗うのは苦手。
まあ焦げたら取れないしね。面倒なんだよな。
「水はペットボトルを使ってくれ。どうしてもカルキ臭くてな。
それからニンジンは苦手だから少な目で薄く頼む。味は辛過ぎず甘すぎず」
「うるさい! 」
あーあ怒られちゃった。もう口を出すのはよそう。

「おーいまだか? 」
三十分経ったがまだ出来る気配がない。
「もう少しよアナタ」
「大人をからかうんじゃない! それから…… まあいいか」
自由に伸び伸びとやらせるのが良い。

作り始めて一時間が過ぎたところでようやく出来上がった。
カレーがテーブルに運ばれてくる。
一応はきれいに拭いたがどうせカレーだから適当でいいよな。
お鍋にはまだ残りがたくさん。
明日の分なのかもしれない。これは有難い。

一口カレーを口に。
二口、三口とかきこむ。
「どうですか? 辛い? 」
どうやら作ったのは料理に自信のある二女の方。
長女は指示に従って野菜を切ったりしていただけらしい。
「うう! 辛い! 」
「あれおかしいな。どこで間違えたんだろう? 」
分量を間違えて辛くし過ぎたらしい。
これはこれで美味しいからまあいいか。

三人で仲良くカレーを食べる。
これが生徒とのコミュニケーションと信じて。
「なあもう一人はどうした? お前たち二人もいいが彼女を招待したい」
ぜひ来て欲しい。だがまた同様の惨事が起きないとも限らないので慎重に。
ただなぜ一人だけ来ないのか気になる。
「先生のお気に入りですもんね」
どうしてそうなる? ただ最近来ないから聞いただけだろうが。
「もうあんたが中止だって言ったからでしょう! 」
長女が怒って見せる。
「だって…… まずいでしょう…… 」

中止? 何が中止? まずい?
「おい二人ともどう言うことだ? 中止って何だ? 
まさか仲間外れにする気か? かわいそうじゃないか! 」
一体何を企んでいる? またしても怪しい動き。
まさかまだ終わらないのか?
「あの子は私たちとは違う。それだけは信じてあげてね先生」

どう信じろと? 仲間だろ? 違うのか?
美人三姉妹にも多少の違いがあるらしい。


                   続く
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

ぽっちゃりOLが幼馴染みにマッサージと称してエロいことをされる話

よしゆき
恋愛
純粋にマッサージをしてくれていると思っているぽっちゃりOLが、下心しかない幼馴染みにマッサージをしてもらう話。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

人違いで同級生の女子にカンチョーしちゃった男の子の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

処理中です...