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アークニン
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異世界の経験。
彼らよりも多く年を重ねてきたが生憎行けてない。
そもそも行ったと言う奴を知らない…… こともないか。
うわ…… やばい奴を思い出したぞ。忘れろ。忘れた方が生徒の為。
いや…… 全人類の為。
「それは答えになってませんよ」
部長が噛みつく。癇にでも障ったかな?
何をそんなにムキになってるんだろう? 異世界自体を否定してないが。
ただ経験でものを言っただけ。熱くなるようなことでもない。
ふう…… それにしても今日は暑いな。エアコン入れるかな。
部室の雰囲気が暗く寒々としてるから助かっていた。
しかしこれだけ熱心に語られると熱さに加え湿度も上昇してる気がする。
「いいじゃないか。それよりも研究者へのインタビューは慎重にな。
失礼があってはいけないのもあるがただのホラ吹き爺の可能性もあるからな」
幼気な高校生を騙す酷い大人。
異世界があるよと誘い出すおかしな奴もそれについて行く生徒もいないだろうが。
科学では証明できないことがあるのも事実。あなたは信じられますか?
そうやって問うこともとても大事。
「このジャンルの人はほとんどがホラ吹きで信用ならないでしょう」
今まで大人しくしていた真正面の男子が反応。
痛いところを突いてくる。事実その通り。
五人の中でこの子が一番まともかな。意見も言えるしな。
部長に比べてその異常性とも言える情熱が足りてない。それゆえにこの位置。
異常性を数値化出来ればいいのだが。
そうすれば彼らを自在にコントロール可能に。
俺が導けるだけの聞く耳を持ち合わせてると良い。
恐らく完全に手遅れだろうな。
「信じる信じないは別として君たちには全力で取り組んでもらいたい。
異世界へのコンタクト方法ははっきり言えばないと主張したい。
恐らく皆信じてるんだろ? 程度の差はあれど異世界があると。
俺が協力出来ることと言えば研究者を紹介することぐらいだ」
うわ…… つい口が滑ってしまった。
彼らがこれだけ一生懸命だと俺としても協力しない訳にはいかない。
何と言っても異世界探索部の顧問なのだから。
「先生! そのようなお知り合いがいるんですか? 」
隣の女の子が目を輝かせる。
もう怪我もよくなったのだろう。サングラスは外れた。
本来の美しさを取り戻したようだ。
「海外留学時に知り合ったかなり変なのがいるのさ。
昨日連絡を取ってみたんだが何と東京の外れに研究所があるらしいんだ。
都合もあるので今すぐとは行かないが夏休みまでにはお邪魔したいと思っている。
お前たちを連れて校外学習と行くか」
うわまずい…… 調子に乗ってまた余計なことを提案してしまった。
俺は信じてないんだからな。ただの冷やかしに行くんだからな。
うおおお!
先生凄い!
大歓声が上がる。ジメジメした暗い部室が一気に晴れ渡るようだ。
冷静な部長が確認する。
「専門は何でしょう? 所属は? お名前をお聞かせください」
「どこの国かまでは覚えてないが名前は確かアークニン。
何を隠そう彼は異世界研究の第一任者だ。
と言うよりも他にこの分野を真剣に学問に取り入れてる奴は居ないがな。
そう言う意味では貴重な存在だと思う」
「アークニンですか」
「そうだ。おかしな名前だろ? 」
「第一人者? 」
「本人がそう言ってるだけで確証はない」
言ったもの勝ち。自称異世界研究の第一人者。
俺だって実用英語の第一任者で通せなくもないしな。
「大丈夫なんですかそのアークニン博士? 」
「大丈夫か大丈夫でないかで括ればもちろん大丈夫なはずない。完全に狂ってる。
だがそれは君たちにも言えること」
異世界探索部がすでにイカレテいる。
「なーに。頼りになる専門家だ。大船に乗った気でいなさい。ははは…… は? 」
「何か心配事でも? 先生はお知り合いなんですよね? 」
そう知り合いなだけで友達ではない。あんなイカレタ奴と親しく出来るか。
「役に立つことを教えてくれるだろう。今後の部活動には間違いなく有用。
しかし人間性はどうかな」
少々脅かしも入ってるがあまり心酔しないように注意する意味もある。
これ以上前途有望な若者を迷わせてはならない。
うん…… 前途有望な若者って俺も入るのかな?
続く
彼らよりも多く年を重ねてきたが生憎行けてない。
そもそも行ったと言う奴を知らない…… こともないか。
うわ…… やばい奴を思い出したぞ。忘れろ。忘れた方が生徒の為。
いや…… 全人類の為。
「それは答えになってませんよ」
部長が噛みつく。癇にでも障ったかな?
何をそんなにムキになってるんだろう? 異世界自体を否定してないが。
ただ経験でものを言っただけ。熱くなるようなことでもない。
ふう…… それにしても今日は暑いな。エアコン入れるかな。
部室の雰囲気が暗く寒々としてるから助かっていた。
しかしこれだけ熱心に語られると熱さに加え湿度も上昇してる気がする。
「いいじゃないか。それよりも研究者へのインタビューは慎重にな。
失礼があってはいけないのもあるがただのホラ吹き爺の可能性もあるからな」
幼気な高校生を騙す酷い大人。
異世界があるよと誘い出すおかしな奴もそれについて行く生徒もいないだろうが。
科学では証明できないことがあるのも事実。あなたは信じられますか?
そうやって問うこともとても大事。
「このジャンルの人はほとんどがホラ吹きで信用ならないでしょう」
今まで大人しくしていた真正面の男子が反応。
痛いところを突いてくる。事実その通り。
五人の中でこの子が一番まともかな。意見も言えるしな。
部長に比べてその異常性とも言える情熱が足りてない。それゆえにこの位置。
異常性を数値化出来ればいいのだが。
そうすれば彼らを自在にコントロール可能に。
俺が導けるだけの聞く耳を持ち合わせてると良い。
恐らく完全に手遅れだろうな。
「信じる信じないは別として君たちには全力で取り組んでもらいたい。
異世界へのコンタクト方法ははっきり言えばないと主張したい。
恐らく皆信じてるんだろ? 程度の差はあれど異世界があると。
俺が協力出来ることと言えば研究者を紹介することぐらいだ」
うわ…… つい口が滑ってしまった。
彼らがこれだけ一生懸命だと俺としても協力しない訳にはいかない。
何と言っても異世界探索部の顧問なのだから。
「先生! そのようなお知り合いがいるんですか? 」
隣の女の子が目を輝かせる。
もう怪我もよくなったのだろう。サングラスは外れた。
本来の美しさを取り戻したようだ。
「海外留学時に知り合ったかなり変なのがいるのさ。
昨日連絡を取ってみたんだが何と東京の外れに研究所があるらしいんだ。
都合もあるので今すぐとは行かないが夏休みまでにはお邪魔したいと思っている。
お前たちを連れて校外学習と行くか」
うわまずい…… 調子に乗ってまた余計なことを提案してしまった。
俺は信じてないんだからな。ただの冷やかしに行くんだからな。
うおおお!
先生凄い!
大歓声が上がる。ジメジメした暗い部室が一気に晴れ渡るようだ。
冷静な部長が確認する。
「専門は何でしょう? 所属は? お名前をお聞かせください」
「どこの国かまでは覚えてないが名前は確かアークニン。
何を隠そう彼は異世界研究の第一任者だ。
と言うよりも他にこの分野を真剣に学問に取り入れてる奴は居ないがな。
そう言う意味では貴重な存在だと思う」
「アークニンですか」
「そうだ。おかしな名前だろ? 」
「第一人者? 」
「本人がそう言ってるだけで確証はない」
言ったもの勝ち。自称異世界研究の第一人者。
俺だって実用英語の第一任者で通せなくもないしな。
「大丈夫なんですかそのアークニン博士? 」
「大丈夫か大丈夫でないかで括ればもちろん大丈夫なはずない。完全に狂ってる。
だがそれは君たちにも言えること」
異世界探索部がすでにイカレテいる。
「なーに。頼りになる専門家だ。大船に乗った気でいなさい。ははは…… は? 」
「何か心配事でも? 先生はお知り合いなんですよね? 」
そう知り合いなだけで友達ではない。あんなイカレタ奴と親しく出来るか。
「役に立つことを教えてくれるだろう。今後の部活動には間違いなく有用。
しかし人間性はどうかな」
少々脅かしも入ってるがあまり心酔しないように注意する意味もある。
これ以上前途有望な若者を迷わせてはならない。
うん…… 前途有望な若者って俺も入るのかな?
続く
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