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タピオカ部

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「先生! 」
「まあまあ。我が部には三年生がいない。去年出来たばかりだからね。
だからこそ廃部にしたくない。この気持ちは嘘じゃない。それくらいだな」
ようやく教師らしいまともな意見。
これくらいの熱量を生徒に注ぐのが教師と言うもの。
今の我々はただの穢れた失格者。
いくらお酒の席とは言え自分を恥ずかしく思う。

「はあ…… 」
沈黙が流れた。もうそろそろお開きかな。
「おっと肝心なことを聞いてませんでしたね。
先生の受け持ちは何部でしたか? 」
今日誘われるままに来てしまった訳で。
この先輩変態英語教師が何部かなど気にもしていなかった。
トラブルでも起こせば別だが先生自体地味なタイプだから。
見た目が強烈でそのギャップから生徒からの人気が高い。
ただこの見た目なので変な噂も。いつの間にか見た目に相応しいあだ名まで。

「最初に伝えしておくべきだったね。我が部は…… 」
「失礼します。デザートをお持ちしました」
そろそろ帰るのでセットのデザートが運ばれてくる。
よく忘れて帰ってしまうテーブルを見かける。
まあサービスだからいいのだろうけど。少々もったいないかな。

シンプルにバニラアイスクリーム。ケチったな?
何かを掛けると美味しくなるがそのままだとどうもな。
ひとまず溶ける前にアイスを頂く。
うんバニラが濃厚でこれはこれで悪くない。
酒でムカムカしたところを清涼感溢れるバニラアイスで元通り。

おっと話の途中だった。
従業員が去るともう一度やり直す。
「それで何部でしょうか? 」
「タピオカ」
何だトッピングにタピオカを頼んだのか。
でもその音量では聞こえる訳がない。
それにベルを押すのが決まり。
「代わりに注文しましょうか? 」
「いや…… だから…… 」
モジモジと恥ずかしそうにしてるのでベルに手をかける。
「待て違うって! 注文じゃない! 我が部はタピオカ部なんだ」
「タピオカ? タピオカ! 」
驚いて叫んだから店員さんがやってくる事態に。
「済みませんお客さん。うちタピオカ置いてないんですよ」
ここはただの居酒屋だからそんなお洒落なスイーツ置いてるはずがない。
そう断定するには早いが店員が言うなら間違いない。

店員さんが戻り落ち着いたところで確認。
「タピオカ…… タピオカ? 」
「何じゃそれはって感じだろ? ははは! 
去年、いやもっと前からタピオカが流行っててそれこそ世界的に。
今は随分落ち着いたみたいだがな。
それで昨年タピオカの研究がしたいと顧問を頼まれタピオカ部が誕生した」
誕生したってどっかの電器屋でもあるまいし。でっかくオープンってか。

「タピオカ。タピオカ部…… 」
もう頭が痛い。訳の分からない聞いたこともないタピオカ部に振り回される。
「よし食い終ったことだしそろそろ行くか! 」
「はあ…… 」
これでようやく帰れる。失うものが多すぎたがそれでも前を向く。

会計を済ませ店を後にする。
「さあもう一軒行こう! もちろんおごりだ」
これは朝までコースだな。そんなに飲めないのに。
「うーん。これで良かったのかな…… 」
「何か言ったか? さあ行くぞ! 行くぞ! ほら早く! 」
誘われるまま夜の繁華街へ。

「浅はかだったかな? 」
「何をごちゃごちゃ言ってやがる! そうだ。今から耐性をつけておかないとな」
「遠慮します。気持ちだけで結構です」

地獄へと誘うタピオカ部顧問就任。
もう決して後戻りできない。

                   続く

次回から第二章に突入。
ここでキャラクター紹介。

<学園編>


青井三郎太  この物語の主人公で英語教師。今春から夏部とタピオカ部の顧問に。
       タピオカ部の手荒い歓迎に四苦八苦する毎日。

ミホ先生   仲のいい同僚。この学校出身のお嬢様。学園と関係があるとの噂。
       容姿端麗で性格も良いが冗談が通じないところが玉に瑕。

スケルトン  元タピオカ部の顧問で先輩変態英語教師。現在ロンドンに滞在中。
       タピオカ部存続に尽力。
             
ZERO館   旧校舎のことでタピオカ部等の部室がある。
       在校生にも認識されていない怪しげな建物。
       七不思議の一つだが今回は関係ない。

夏部     サマー部とも言い多くは夏に活動する謎のクラブ。
       登場するのは部長ぐらいなもの。

タピオカ部  部長・副部長・美人三姉妹
        
これらを総合して
タピオカ部時々サマー部andmore……

序章はゆっくりと過ぎて行く。

本番は九月?

学園編が終わる頃にまたキャラクター紹介する予定。
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