26 / 59
捜査編
しおりを挟む
何としても警察に分かってもらう。
「そうだ。防犯映像は確認したんですか? 」
最近では個人宅のカメラも高性能。
道の至るところには監視カメラが。
そして近年は走る車にも搭載されだしている。
そのどれかに彼女の姿が映ってないか。
普通これだけあればどれかには……
だが駅前のコンビニはおろか道にあるカメラさえ当たってないと言う。
ははは…… 呑気だな。
「何でだよ! 」
調べれば一発なのになぜ手を抜く?
やる気あるのか?
「何度も言ってるでしょう? 事件性が認められなければ動けないと。
お店にせよ車にせよ重大事件でもなければなかなか貸してはくれません。
善意では貸してくれないのが現状。事件が発生し関係した防犯カメラに当たる。
そうやって手順を踏みようやく映像が見られる訳です」
事細かに説明してくれるが要するに事件性がないと警察は動かないとのこと。
同じことを繰り返す成長しない俺とどうやっても動こうとしない警察の戦い。
くそ! 冗談じゃない。早くしなければ映像が書き換えられるじゃないか。
これでは監視カメラの線は無理。諦めるしかないか。
「何とかならないのか? もう限界だ! 」
これだけ必死に頼み込んでも動いてくれない。
つい暴挙に。熱くなり腕を掴み書類作成の邪魔をしてしまう。
「ほら落ち着いて! 公務執行妨害で逮捕しますよ」
しつこく迫ったせいで伝家の宝刀を抜かせてしまう。
もちろん警告で本気ではない。冷静になれと促す。
「だから隣人が怪しいと言ってるだろ! きっと監禁してる。そうに違いない! 」
根も葉もないことでただの想像でしかないが強引に決めつける。
一度監禁事件と決めつければ警察も調べざるを得ない。
「だからもう…… 」
我慢比べは平行線かと思いきや警察の方が折れる。粘り勝ちの勝利って奴だ。
やはり監禁と言うワードに敏感に反応してしまう。
「お巡りさんはそいつらに話を聞いて来るだけでいいからさ」
まるで指図するよう。これでは印象が悪くなるか。
「もう分かりましたよ。明日その方たちに話を聞きます。
これでよろしいですね? 防犯カメラの映像も出来るだけ集めてみますから」
どうにか説得に成功。粘り勝ちとも言えるかな。
もちろんしつこいから口だけで実際は動かない恐れもある。
だが彼には俺の熱意が伝わったはずだ。
どうせこんな田舎では大した事件は起きてないんだから全力投入したっていいだろ。
身勝手だがこれが婚約者が突然居なくなった哀れな男の最後の抵抗。
「よろしくおねがいします! 」
こうして明日を迎える。
捜査編。
隣人からお話を伺う。
まずは一軒目。お爺さんの家。
本来はあの男からも再度話を聞きたいのだが平日の午後。抜け出せないそう。
住所と氏名を確認し訪問する。
「ああ警察の人かい。それで儂にどのような話ですかな? 」
「はい現在失踪事件の捜査中でして二、三お話を伺えないかと思いまして」
「失踪ってそれは大事ですな」
ありがたいことに暇つぶしに話を聞いてくれるそう。
市民の協力なくして事件解決はない。
「お構いなく」
遠慮するも和室に通されるとお茶と水ようかんが出てくる。
「実は裏の奥さん…… 女性が突然いなくなりまして」
「裏の家? はて裏には家などありませんが」
「はい? 」
よく見れば確かに裏に家など存在しない。この部屋からだって確認出来る。
お隣さんで裏隣のお爺さんと言ってたがどうやら男の勘違いだったらしい。
これは失踪も男の勘違い?
「あんた儂が年寄りだからって馬鹿にしておるな?
それとも今流行のオレオレ詐欺か?
その制服は偽物か? 証拠を見せてみろ! 」
お爺さん怒りはそれは凄まじいもの。
警察手帳を見せても偽造したものだと疑いの眼で見てくる。
勘弁して欲しい。
メモする前にごちゃごちゃ言うからせっかくの手がかりを忘れてしまう。
あれ何だったけかな? 重大な齟齬。決定的な何か?
今お爺さんに伺ってもふざけるなで終わりだろうしな。
「それに一人で捜査とはますます怪しい。言い訳してみろ! 」
「はい落ち着いてください。これはいわば聞き込みで正式な捜査ではありません。
ただある人から頼まれまして。事情をご理解ください」
ついに言い訳まで始めてしまった。
疚しいところなどないのになぜか強く出れない。
まだ協力の段階だからな仕方ないか。
続く
「そうだ。防犯映像は確認したんですか? 」
最近では個人宅のカメラも高性能。
道の至るところには監視カメラが。
そして近年は走る車にも搭載されだしている。
そのどれかに彼女の姿が映ってないか。
普通これだけあればどれかには……
だが駅前のコンビニはおろか道にあるカメラさえ当たってないと言う。
ははは…… 呑気だな。
「何でだよ! 」
調べれば一発なのになぜ手を抜く?
やる気あるのか?
「何度も言ってるでしょう? 事件性が認められなければ動けないと。
お店にせよ車にせよ重大事件でもなければなかなか貸してはくれません。
善意では貸してくれないのが現状。事件が発生し関係した防犯カメラに当たる。
そうやって手順を踏みようやく映像が見られる訳です」
事細かに説明してくれるが要するに事件性がないと警察は動かないとのこと。
同じことを繰り返す成長しない俺とどうやっても動こうとしない警察の戦い。
くそ! 冗談じゃない。早くしなければ映像が書き換えられるじゃないか。
これでは監視カメラの線は無理。諦めるしかないか。
「何とかならないのか? もう限界だ! 」
これだけ必死に頼み込んでも動いてくれない。
つい暴挙に。熱くなり腕を掴み書類作成の邪魔をしてしまう。
「ほら落ち着いて! 公務執行妨害で逮捕しますよ」
しつこく迫ったせいで伝家の宝刀を抜かせてしまう。
もちろん警告で本気ではない。冷静になれと促す。
「だから隣人が怪しいと言ってるだろ! きっと監禁してる。そうに違いない! 」
根も葉もないことでただの想像でしかないが強引に決めつける。
一度監禁事件と決めつければ警察も調べざるを得ない。
「だからもう…… 」
我慢比べは平行線かと思いきや警察の方が折れる。粘り勝ちの勝利って奴だ。
やはり監禁と言うワードに敏感に反応してしまう。
「お巡りさんはそいつらに話を聞いて来るだけでいいからさ」
まるで指図するよう。これでは印象が悪くなるか。
「もう分かりましたよ。明日その方たちに話を聞きます。
これでよろしいですね? 防犯カメラの映像も出来るだけ集めてみますから」
どうにか説得に成功。粘り勝ちとも言えるかな。
もちろんしつこいから口だけで実際は動かない恐れもある。
だが彼には俺の熱意が伝わったはずだ。
どうせこんな田舎では大した事件は起きてないんだから全力投入したっていいだろ。
身勝手だがこれが婚約者が突然居なくなった哀れな男の最後の抵抗。
「よろしくおねがいします! 」
こうして明日を迎える。
捜査編。
隣人からお話を伺う。
まずは一軒目。お爺さんの家。
本来はあの男からも再度話を聞きたいのだが平日の午後。抜け出せないそう。
住所と氏名を確認し訪問する。
「ああ警察の人かい。それで儂にどのような話ですかな? 」
「はい現在失踪事件の捜査中でして二、三お話を伺えないかと思いまして」
「失踪ってそれは大事ですな」
ありがたいことに暇つぶしに話を聞いてくれるそう。
市民の協力なくして事件解決はない。
「お構いなく」
遠慮するも和室に通されるとお茶と水ようかんが出てくる。
「実は裏の奥さん…… 女性が突然いなくなりまして」
「裏の家? はて裏には家などありませんが」
「はい? 」
よく見れば確かに裏に家など存在しない。この部屋からだって確認出来る。
お隣さんで裏隣のお爺さんと言ってたがどうやら男の勘違いだったらしい。
これは失踪も男の勘違い?
「あんた儂が年寄りだからって馬鹿にしておるな?
それとも今流行のオレオレ詐欺か?
その制服は偽物か? 証拠を見せてみろ! 」
お爺さん怒りはそれは凄まじいもの。
警察手帳を見せても偽造したものだと疑いの眼で見てくる。
勘弁して欲しい。
メモする前にごちゃごちゃ言うからせっかくの手がかりを忘れてしまう。
あれ何だったけかな? 重大な齟齬。決定的な何か?
今お爺さんに伺ってもふざけるなで終わりだろうしな。
「それに一人で捜査とはますます怪しい。言い訳してみろ! 」
「はい落ち着いてください。これはいわば聞き込みで正式な捜査ではありません。
ただある人から頼まれまして。事情をご理解ください」
ついに言い訳まで始めてしまった。
疚しいところなどないのになぜか強く出れない。
まだ協力の段階だからな仕方ないか。
続く
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
お父様の相手をしなさいよ・・・亡き夫の姉の指示を受け入れる私が学ぶしきたりとは・・・
マッキーの世界
大衆娯楽
「あなた、この家にいたいなら、お父様の相手をしてみなさいよ」
義姉にそう言われてしまい、困っている。
「義父と寝るだなんて、そんなことは
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる