永遠のトナラー 消えた彼女の行方と疑惑の隣人

二廻歩

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新婚作戦

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機嫌を悪くしたようだ。
しつこすぎたかな? それともこの手の怪談話が苦手なのだろうか?
付き合って僅かでお互いをそれほど知ってる訳ではない。
それでも俺は彼女に運命を感じた。
俺には彼女しかいない。
彼女だってきっと…… 俺しかいない?
急に不安になってくる。
なぜか遠くへ行ってしまうのではないかと。

あーつまらない話をするんじゃなかったな。
仕方なく強引にキスしてごまかす。
この手は出来れば使いたくなかった。
だがこれも新婚の特権。思いっ切りイチャイチャしようじゃないか。
まだ正式には結婚してないけどね。つい浮かれてしまい妄想してしまう。
へへへ…… 二人で『新婚様らっしゃいらっしゃい』に出演したっていい。
電波を使って彼女を全世界の人に自慢してやるんだ。
もちろん生放送じゃないから伝わり辛いがそれでもいい。

それから『新婚作戦』に飛び入り参加してやれ。
うん。いいぞ。夢が広がるばかり。
ちなみに『新婚作戦』と言うのは新婚を男女に分け色々なゲームで競わせるもの。
最終的に運命の出会いを果たす壮大なプロジェクト。
参加費はほぼ無料だし賞金が莫大。何と言っても一位は億越えとも言われている。
それからベストテンに入れば賞金が出る。
しかも男女に別れてる訳で二人ともランクインすれば物凄いことになる。
目指すは優勝だが現実的にはどちらかがトップテンに入ること。
参加賞だって太っ腹で商品券一万円分。
 
参加資格はその年に結婚した男女。
これに参加する為に毎年相手を変えて…… 要するに離婚と結婚を繰り返す強者も。
資格は満たしてるので主催者側も断れない。
だが趣旨に反するのでなるべく控えなければ他の者に迷惑が掛る。
ここで言う他の者とは参加者だけでなく親族、知人のこと。

「ねえせっかく結婚するんだから『新婚作戦』に出てみない? 」
少々直接的でダサく時代遅れな気もするが魅力的な賞金。
今年しか参加出来ない貴重なイベント。開催は夏だから申し込みは一ヶ月を切った。
説得して二人の思い出に。

だが彼女は首を振るばかり。やっぱり恥ずかしいのかな。
確かに参加すれば緊張して特に俺が失敗するのが目に見えてる。
そしたら生放送ではなくとも全国に恥をさらすことになる。
それでも可愛くて魅力的な彼女を披露出来れば文句ない。

「考えておいて」
「ふふふ…… 」
はっきりしない。やはり嫌なんだろうな。ちょっと自分勝手過ぎたかな。
無理強いはしない。でも出来たら一緒に。

「今日はこれで帰るよ」
本当は一緒に夜を過ごしたい。だが水道もまだだし引っ越しの後始末も残っている。
今月まで借りている部屋に戻ることにした。
うーん。これは前の家の片づけとインフラの解消まで通うしかなさそうだ。
寂しくて辛いけど今月までの辛抱。来月になったら念願の共同生活。
離れたくはないが我慢するのが男と言う者だろう。
とりあえず業者に掛け合うしかない。まったく新居を何だと思ってるんだろう。
せっかくの二人だけの空間が…… 残念でならない。

寂しそうに手を振る彼女を見ると別れるのが辛い。
引っ越し早々に俺は一体何をやってるのだろう?
バカなのか? 間抜けなのか?

一週間後。
業者に掛け合ったがまだ無理らしい。今月一杯は解消されない。
前の家の整理も残ってるしな。
誰か手伝ってくれないかな。俺後片付も整理も断捨離も苦手。
超が付くほどの苦手。子供の頃から放っておく癖が。
いつの間にか目も当てられない惨状に。
なるべく増やさないように努力はするんだけどいつの間にか増えてると言う不思議。
そもそも分別の仕方もよく分かっていない。これがゴミなのか資源なのか。
そう言う時は取り敢えず保留。先送りする。
まるで政治家のようだが実際はただの優柔不断なだけ。
これを見て友人は俺をこうからかう。

『コレクター』

そんな大層なものじゃない。
その時の思い付きで適当に。だから未だにどこに何があるかは勘でしかない。

今日は向かいの家に引っ越し業者の車が何台かやって来た。
どうやらお隣さんが越してきたらしい。


                     続く
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