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小駒さんと黒木を黙らせる。
「あの…… 鉄壁のアリバイがあるなら殺せないのではないですか? 」
田中さんがそもそもの前提条件に疑問を唱える。
「ああそうかい。確かに殺せないや。どうやったんだい? 」
ようやく静かになったと思ったらまた話に加わる小駒さん。
パワフルで厄介なお婆さんだ。
「はいここで注目。再現するので大人しく見ていてください」
ついでなので第三の事件を再現することに。
「まず疑われた山田さんは千田たちに無理矢理自分の部屋に閉じ込められます。
その時鍵はポケットの中。ではバリケードを…… 振りだけで結構。
バリケードにより出れなくなったはずの山田さんは皆が寝静まった頃に行動開始。
どうぞ部屋の前でお待ちください」
五分経過。
何一つ変化がない。せっかちな小駒さんがドアを叩く。
「あれ…… 反応がないね。寝ちまったのかいあの人」
ガチャガチャ
ガチャガチャ
だが鍵が掛ってるので開きようがない。
「あーもう! 当てにならないんだから」
イライラしながら部屋の前で陣取ってるとその隣で物音がする。
二号室に閉じ込められていたはずの山田さんは何と一号室から現れる。
「お待たせしました。少々手間取りました」
「あんたどこから出てくるんだい…… 」
驚きを隠せない小駒さん。
「こうして一号室から出た山田さんはバリケードを乗り越えます。
難しければ置き直して突破すればいい。
一号室に保管されていた壺を持ち出し六号室の雑見氏の元へ。
これで間違いありませんよね山田さん? 当日のあなたの行動を再現したんですが」
「またそんな憶測でものを言って。どうやって私が警戒中の雑見さんの部屋に? 」
「だからこそ私があなたの役をやったんですよ。あなたが私を演じたようにね。
まず私が日課の夜回りを。
あなたはその習慣を利用して見回りをしてると部屋の外から雑見氏に伝える。
私の喋り方を真似、その上でこう持ち掛ける。
「あなたのせいではありません。他の方は別にしてあなたはただ鑑定しただけ。
よろしければご相談に乗りましょうか? 」
このように言葉巧みに雑見氏の警戒を解く。
雑見氏はいつ殺されるか分からない恐怖からあなたに救いを求めた。
いくら仲間に相談したところで分かってくれるものではない。
裏切るのかと言われるのがオチ。
そこで彼に寄り添うように言葉を掛け部屋を開けさせた。
ですが実際話を聞く訳には行かなかった。あなたは私ではありませんからね。
偽ったあなたに気付いた雑見氏は言葉も出ずにベットの方へ走る。
騒がれては厄介なので用意した壺で仕方なく一発。
もちろん騒がれても雷雨が掻き消してくれるし隣は被害者の会の者。
ちょっとぐらいなら問題ないが。
こうして雑見氏は瀕死の重傷を負ったが辛うじて意識が。
最後の力を振り絞ってダイイングメッセージを残す。
それに山田さんが気づいたのは明け方。皆が眠りから覚める時間帯」
焦る真犯人の顔が浮かぶ。
「もうそろそろ認めてくれませんか? これ以上あなたを追い詰めたくない」
「探偵さん…… 」
「もう充分じゃないですか山田さん。ねえ山田さん! 」
「山田さん! 」
ガイドさんと田中さんも続く。
「山田さん! 」
犯罪被害者の会のメンバーも呼びかける。
「往生際が悪いよ山田さん! 」
小駒さんも説得に回る。
「まさか本当にお前なのか? 冴えないこのおっさんが犯人だって言うのか? 」
未だに信じられない様子の黒木。山田さんの演技にすっかり騙されていたようだ。
「山田さん! 」
相棒も釣られて。
「分かりました皆さん。探偵さん一つ質問しても? 」
「どうぞ」
「どうやって私は二号室から一号室へ? 」
「ですから秘密の通路を使ってお隣に。
あなたも何度も使った手ですよね? 本当に便利」
「そうですか…… ではもう一つ。部屋に入った私はどのように外へ? 」
ようやく真犯人から最後の質問が。これが最後の砦。
何と言われようがどれだけ疑われようと脱出方法を解明しなければ突っぱねられる。
「田中さんが言ってました。山田さんが怪しい。いつも一人だけ遅れて来ると。
それは相棒にも思い当たる節があるそうで」
「うん。第四の事件が起きた時一番最後に姿を見せたのが山田さん。
しかもいつの間にかいたんだ。不思議だろ? 」
相棒にはすぐ現場には行かずに皆の行動を監視するように頼んでいた。
「そうなんです。私も不思議に感じていました。
第三の事件では見かけず第二、第四では最後に姿を見せたので印象に残ってます。
別に監視していたのではなく悲鳴が聞こえ皆さんがどうしてるか気になって。
そうしたら山田さんが毎回…… 」
田中さんが相棒の証言を補強する。
「二人ともありがとう。そろそろ本当のことを教えてください山田さん」
これでいい。彼にはトリックが見破られたと悟らせる必要がある。
言い訳もできず打つ手なしの山田さんに王手。
「では最後にもう一つだけ教えてください。本当にすべての計画を解明したと? 」
「はい自信を持って言えます。この連続殺人事件はあなたの犯行だ!
ドスグロ山の雷人は山田さん、あなただ! 」
「ふふふ…… そうですか。もうこれ以上は無駄みたいですね。
では最後にもう一つだけ」
くそ! 粘るなこの男。もう懺悔をする時間なのに。
「いいですよ。罪を認めて頂ければもうやることも特にありませんから」
「認めます! ですがその前に最後の質問をさせてください。
黒木はなぜ殺されなかったと思いますか? 」
続く
「あの…… 鉄壁のアリバイがあるなら殺せないのではないですか? 」
田中さんがそもそもの前提条件に疑問を唱える。
「ああそうかい。確かに殺せないや。どうやったんだい? 」
ようやく静かになったと思ったらまた話に加わる小駒さん。
パワフルで厄介なお婆さんだ。
「はいここで注目。再現するので大人しく見ていてください」
ついでなので第三の事件を再現することに。
「まず疑われた山田さんは千田たちに無理矢理自分の部屋に閉じ込められます。
その時鍵はポケットの中。ではバリケードを…… 振りだけで結構。
バリケードにより出れなくなったはずの山田さんは皆が寝静まった頃に行動開始。
どうぞ部屋の前でお待ちください」
五分経過。
何一つ変化がない。せっかちな小駒さんがドアを叩く。
「あれ…… 反応がないね。寝ちまったのかいあの人」
ガチャガチャ
ガチャガチャ
だが鍵が掛ってるので開きようがない。
「あーもう! 当てにならないんだから」
イライラしながら部屋の前で陣取ってるとその隣で物音がする。
二号室に閉じ込められていたはずの山田さんは何と一号室から現れる。
「お待たせしました。少々手間取りました」
「あんたどこから出てくるんだい…… 」
驚きを隠せない小駒さん。
「こうして一号室から出た山田さんはバリケードを乗り越えます。
難しければ置き直して突破すればいい。
一号室に保管されていた壺を持ち出し六号室の雑見氏の元へ。
これで間違いありませんよね山田さん? 当日のあなたの行動を再現したんですが」
「またそんな憶測でものを言って。どうやって私が警戒中の雑見さんの部屋に? 」
「だからこそ私があなたの役をやったんですよ。あなたが私を演じたようにね。
まず私が日課の夜回りを。
あなたはその習慣を利用して見回りをしてると部屋の外から雑見氏に伝える。
私の喋り方を真似、その上でこう持ち掛ける。
「あなたのせいではありません。他の方は別にしてあなたはただ鑑定しただけ。
よろしければご相談に乗りましょうか? 」
このように言葉巧みに雑見氏の警戒を解く。
雑見氏はいつ殺されるか分からない恐怖からあなたに救いを求めた。
いくら仲間に相談したところで分かってくれるものではない。
裏切るのかと言われるのがオチ。
そこで彼に寄り添うように言葉を掛け部屋を開けさせた。
ですが実際話を聞く訳には行かなかった。あなたは私ではありませんからね。
偽ったあなたに気付いた雑見氏は言葉も出ずにベットの方へ走る。
騒がれては厄介なので用意した壺で仕方なく一発。
もちろん騒がれても雷雨が掻き消してくれるし隣は被害者の会の者。
ちょっとぐらいなら問題ないが。
こうして雑見氏は瀕死の重傷を負ったが辛うじて意識が。
最後の力を振り絞ってダイイングメッセージを残す。
それに山田さんが気づいたのは明け方。皆が眠りから覚める時間帯」
焦る真犯人の顔が浮かぶ。
「もうそろそろ認めてくれませんか? これ以上あなたを追い詰めたくない」
「探偵さん…… 」
「もう充分じゃないですか山田さん。ねえ山田さん! 」
「山田さん! 」
ガイドさんと田中さんも続く。
「山田さん! 」
犯罪被害者の会のメンバーも呼びかける。
「往生際が悪いよ山田さん! 」
小駒さんも説得に回る。
「まさか本当にお前なのか? 冴えないこのおっさんが犯人だって言うのか? 」
未だに信じられない様子の黒木。山田さんの演技にすっかり騙されていたようだ。
「山田さん! 」
相棒も釣られて。
「分かりました皆さん。探偵さん一つ質問しても? 」
「どうぞ」
「どうやって私は二号室から一号室へ? 」
「ですから秘密の通路を使ってお隣に。
あなたも何度も使った手ですよね? 本当に便利」
「そうですか…… ではもう一つ。部屋に入った私はどのように外へ? 」
ようやく真犯人から最後の質問が。これが最後の砦。
何と言われようがどれだけ疑われようと脱出方法を解明しなければ突っぱねられる。
「田中さんが言ってました。山田さんが怪しい。いつも一人だけ遅れて来ると。
それは相棒にも思い当たる節があるそうで」
「うん。第四の事件が起きた時一番最後に姿を見せたのが山田さん。
しかもいつの間にかいたんだ。不思議だろ? 」
相棒にはすぐ現場には行かずに皆の行動を監視するように頼んでいた。
「そうなんです。私も不思議に感じていました。
第三の事件では見かけず第二、第四では最後に姿を見せたので印象に残ってます。
別に監視していたのではなく悲鳴が聞こえ皆さんがどうしてるか気になって。
そうしたら山田さんが毎回…… 」
田中さんが相棒の証言を補強する。
「二人ともありがとう。そろそろ本当のことを教えてください山田さん」
これでいい。彼にはトリックが見破られたと悟らせる必要がある。
言い訳もできず打つ手なしの山田さんに王手。
「では最後にもう一つだけ教えてください。本当にすべての計画を解明したと? 」
「はい自信を持って言えます。この連続殺人事件はあなたの犯行だ!
ドスグロ山の雷人は山田さん、あなただ! 」
「ふふふ…… そうですか。もうこれ以上は無駄みたいですね。
では最後にもう一つだけ」
くそ! 粘るなこの男。もう懺悔をする時間なのに。
「いいですよ。罪を認めて頂ければもうやることも特にありませんから」
「認めます! ですがその前に最後の質問をさせてください。
黒木はなぜ殺されなかったと思いますか? 」
続く
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