なぜお義母様と呼ばないのです

二廻歩

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ご主人様を見守る者

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追手を蹴散らせ逃走。
牧場まで行くとボノたちが待っていた。
追手がいないことを確認し近くの茂みで一休み。

「大丈夫だったかいディーテ? 」
心配そうにセピユロスが駆け寄る。
「もうセピユロス! 頼りにならないんだから! 」
つい咎めてしまう。助かったのに彼に当たるは良くない。
分かってるんですがこんな大事な時に役に立たないと今後が不安になる。
「ごめん。でも初めての馬を乗りこなすのは意外にも難しくて…… 」
「そう言うもの? 」
ボロに尋ねるとその通りと返ってくる。
見た目以上に乗りこなすのは大変らしい。

「馬は人を見るからね。舐められたんじゃないのかな? 」
「それはないよボノ! 」
「ははは! 」
「もうボノったらははは! 」
ボノとセピユロスが笑うので私もつい釣られて…… 少々下品だったかしら?
危機的状況を乗り越え終始和やかな雰囲気。
追手も隊を立て直すのに精一杯で再度迫るほどの力は残ってないでしょう。

「ディーテ! 本当によく切り抜けたな」
興奮気味のボノ。
「まさかボノ…… 心配してくれるの? 」
「当たり前だろ。まだ別れてはいない。夫婦じゃないか! 」
ご主人様に取り入ろうとボノは必死だ。
ヴィーナまで巻き込んで丸込めようとしてるのでしょう。
いいですよ。分かってますよ。少なくても助命はしてあげましょう。
形だけでもボノとの関係が改善されつつある。

それもこれも私を絶体絶命のピンチから救ってくれた彼女の活躍があってこそ。
「ありがとう。あなたが現れなかったらどうなっていたか」
馬から降りコソコソ逃げようとしてるところに声を掛ける。
さすがにこのままでは…… 礼も言わずに帰してはご主人様の名に傷がつく。
「いえ大げさですよ。ははは…… 」
「お願いこっちに! お礼を言いたいの! 」
強引に彼女の動きを封じる。

「あなたがいなければ私は…… 」
「やっぱりご主人様は放っておけませんから」
振り返った彼女の顔には見覚えが。
「あなた…… 」
影のメイドの姿がそこにはあった。

「いや気付かれましたか。せっかくばれずににお助けしようと思っていたんですが。
これは失態ですね」
「ありがとう! ありがとう! 」
彼女を抱きしめ再会の喜びを爆発させる。
「もう会えないかと思った! 」
影のメイドとの再会に涙が止まらない。
「そんな…… 大げさですよご主人様。いつも一緒に居るのが影のメイドです。
ご主人様あってこその私なのです。これからもそれは変わりません」
ご主人様と影のメイド。決して切れない二人の関係。
「駄目! 一緒に行動するんです! 」
「しかしそれでは影のメイドの意味がありませんが…… 」
「いいんです! 今日からは旅の仲間になってもらいます」
強引な展開に影のメイドも絶句。ただ頷くのみ。

こうして影のメイドが仲間に加わった。
「レベルアップとかするのかな? 」
セピユロスがふざける。
「いえそのような仕組みにはなっていません」
真面目に答える影のメイド。
セピユロスのおふざけが通用しない。

「俺はそろそろ戻るわ。馬の世話もしなくちゃならないしな」
ボロと別れ四人で旅をすることに。

「まさか馬車の女性ってあなた? 」
落とし物を拾ってくれた親切な女性。
私たちのことを嗅ぎ回っている不審者。
「はい、気付かれないよう見失わないよう慎重に」
「まさか天の恵みも? 」
「天の恵み? ああフルーツは私からのプレゼントです。
何もお口にしていないようでしたから」
「他にも変装して? 」
「はい、色々と。その辺のことはお教えできません。隠密ですので」
まだ隠れて何かしていたのは間違いない。まあいいでしょう。これくらいで充分。
彼女にも影のメイドとしてのプライドがある。

「ねえ君の名前は? 荷物重いでしょう? 持ってあげようか」
誰にも優しいセピユロス。影のメイドにも興味を示す。
まさか影のメイドに鞍替えするつもりじゃないでしょうね?
まさかただ女性には優しいだけの紳士なセピユロス。
万が一にもそんなことありません。たぶんきっと……
「ご主人様! 」
セピユロスの異常な優しさに影のメイドもお手上げ状態。

「これからどうしよう? 」
誰に言うとでもなくそれとなく投げかける。
「ボノも見つかったんですから港に行き新たな世界に旅立ちましょう」
魅力的な提案だがそれならもっと前に出来たはず。
「ボノはどう思う? 」
「おいおい。私に聞かれても困る」
困惑するボノ。
「ボノ? 」
「私は旅立った方がいいと思う。この際屋敷もメイドのこともすべて忘れてな。
新しいことにチャレンジすればいいさ」
さすがにボノの提案をそのままは受け入れられない。

                   続く
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