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脱走猫チャウチャウ
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チャウチャウ捜索隊。
「あなたは外をお願い」
メイドには念のため外を見てきてもらう。
夜になるとメイド館に姿を見せる脱走猫チャウチャウ。もしかしたら今夜も……
「セピユロスさんもお願いします」
「このセピユロスにお任せください! 」
二人を捜索に向かわせたところで秘策と行きましょう。
まずは基本の情報収集から。
笛を鳴らす。
すぐに影のメイドが姿を見せる。
「お呼びでしょうかご主人様? 」
「やはりいたわね」
「はいご命令はボノ様の動向を探れですから」
影のメイドには引き続きボノの動きを探るように指示していた。
特に女性。近づくメイドの動きを注視せよと命じている。
もちろん罰を与えるためでもあるが一番には得体のしれないメイドとの接触。
敵はもうすでにメイドとして潜入している可能性が高い。
彼女を通して何か良からぬことを企んでいるのではと考えている。
大事件が勃発する前に何としても阻止する必要がある。
ボノはすぐに騙されるから。
ボノが離婚を切り出したことに違和感を覚えた。
それにセピユロスとの関係を知っていたのもおかしい。
考えたくはないがこの屋敷の中にしかもすぐ近くに裏切者がいるかもしれない。
影のメイドには決定的なつながりと証拠を掴むよう指示している。
「それで動きはどう? 」
「今のところ不穏な動きは見られません。ご主人様の勘違いなのでは?
警戒し過ぎもどうかと思います」
彼女は冷静になるように諭すがそんなに甘いもの?
まあ動きがないなら今は平和と言うことでしょう。
「あなた誰かに正体を悟られてはいませんよね? 」
「それはもちろん。充分警戒して行動してますので。
ご主人様を失望させる真似はしません」
要するに完璧だと自負するとともに裏切ってもいないと主張している。
そうそれが聞きたかった。
メイドの裏切りは日常茶飯事。
私のお付きの者は大丈夫でしょうが特に若いメイドは信用ならない。
ボノの手先となることも。
それでもボノがただの女好きを越えなければ問題ない。
この屋敷で我が一族に反旗を翻す愚かな真似さえしなければいい。
「それでご主人様…… 」
「そうでしたね。チャウチャウの行方を知りませんか? 」
彼女ならきっと知ってるはず。
「チャウチャウ? ああご主人様の猫ですね。それでしたらお客様のところです」
お客様とはおそらくエイドリアスの者のことでしょう。
お付きの者がいなければ迷ってしまう大きな屋敷。
今そこにはエイドリアスの者が仮住まいしている。
得体のしれない輩を招き入れるのではなく火事で行き場を失った者を受け入れてる。
それもめどが立つまでの短い間。
エイドリアスは原因不明の大火により村のほとんどを消失。
と言っても山深い田舎の村であるから家とその他の建物が少しだけ。
再建はそれほど困難ではない。
このまま棲みついても一向に構いません。ただあちらにもプライドがあります。
出来るだけ早く再建するように協力していくのがいいでしょう。
屋敷には村長と副村長の二家族にセピユロスの両親が。
それ以外はメイド館に住んでもらっている。
決して長だけを優遇する気はありませんがあちらとの話し合いの結果。納得ずく。
ではお邪魔するとしましょう。
「あの…… 夜分に申し訳ありません。そちらに猫が来ませんでしたか? 」
ダメ…… 村長一家は眠ってしまっているようでドアをノックしても反応がない。
仕方なく副村長の方へ。
「ああご主人様ですか。先日はどうも」
エイドリアスが火事になって以来だ。
屋敷に移ってきた時は挨拶程度で済まし話まではしていなかった。
「どうも。それで猫を探してるんですが…… 」
「はいお預かりしています。どうぞお入りください」
「チャウチャウ! チャウチャウ! 」
心配して探してみればチャウチャウは図々しく寝床を占領していた。
副村長のところでお世話に。
本当に困ったチャウチャウ。
続く
「あなたは外をお願い」
メイドには念のため外を見てきてもらう。
夜になるとメイド館に姿を見せる脱走猫チャウチャウ。もしかしたら今夜も……
「セピユロスさんもお願いします」
「このセピユロスにお任せください! 」
二人を捜索に向かわせたところで秘策と行きましょう。
まずは基本の情報収集から。
笛を鳴らす。
すぐに影のメイドが姿を見せる。
「お呼びでしょうかご主人様? 」
「やはりいたわね」
「はいご命令はボノ様の動向を探れですから」
影のメイドには引き続きボノの動きを探るように指示していた。
特に女性。近づくメイドの動きを注視せよと命じている。
もちろん罰を与えるためでもあるが一番には得体のしれないメイドとの接触。
敵はもうすでにメイドとして潜入している可能性が高い。
彼女を通して何か良からぬことを企んでいるのではと考えている。
大事件が勃発する前に何としても阻止する必要がある。
ボノはすぐに騙されるから。
ボノが離婚を切り出したことに違和感を覚えた。
それにセピユロスとの関係を知っていたのもおかしい。
考えたくはないがこの屋敷の中にしかもすぐ近くに裏切者がいるかもしれない。
影のメイドには決定的なつながりと証拠を掴むよう指示している。
「それで動きはどう? 」
「今のところ不穏な動きは見られません。ご主人様の勘違いなのでは?
警戒し過ぎもどうかと思います」
彼女は冷静になるように諭すがそんなに甘いもの?
まあ動きがないなら今は平和と言うことでしょう。
「あなた誰かに正体を悟られてはいませんよね? 」
「それはもちろん。充分警戒して行動してますので。
ご主人様を失望させる真似はしません」
要するに完璧だと自負するとともに裏切ってもいないと主張している。
そうそれが聞きたかった。
メイドの裏切りは日常茶飯事。
私のお付きの者は大丈夫でしょうが特に若いメイドは信用ならない。
ボノの手先となることも。
それでもボノがただの女好きを越えなければ問題ない。
この屋敷で我が一族に反旗を翻す愚かな真似さえしなければいい。
「それでご主人様…… 」
「そうでしたね。チャウチャウの行方を知りませんか? 」
彼女ならきっと知ってるはず。
「チャウチャウ? ああご主人様の猫ですね。それでしたらお客様のところです」
お客様とはおそらくエイドリアスの者のことでしょう。
お付きの者がいなければ迷ってしまう大きな屋敷。
今そこにはエイドリアスの者が仮住まいしている。
得体のしれない輩を招き入れるのではなく火事で行き場を失った者を受け入れてる。
それもめどが立つまでの短い間。
エイドリアスは原因不明の大火により村のほとんどを消失。
と言っても山深い田舎の村であるから家とその他の建物が少しだけ。
再建はそれほど困難ではない。
このまま棲みついても一向に構いません。ただあちらにもプライドがあります。
出来るだけ早く再建するように協力していくのがいいでしょう。
屋敷には村長と副村長の二家族にセピユロスの両親が。
それ以外はメイド館に住んでもらっている。
決して長だけを優遇する気はありませんがあちらとの話し合いの結果。納得ずく。
ではお邪魔するとしましょう。
「あの…… 夜分に申し訳ありません。そちらに猫が来ませんでしたか? 」
ダメ…… 村長一家は眠ってしまっているようでドアをノックしても反応がない。
仕方なく副村長の方へ。
「ああご主人様ですか。先日はどうも」
エイドリアスが火事になって以来だ。
屋敷に移ってきた時は挨拶程度で済まし話まではしていなかった。
「どうも。それで猫を探してるんですが…… 」
「はいお預かりしています。どうぞお入りください」
「チャウチャウ! チャウチャウ! 」
心配して探してみればチャウチャウは図々しく寝床を占領していた。
副村長のところでお世話に。
本当に困ったチャウチャウ。
続く
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