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気持ち
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翌日から本格的に寝込むことに。
お医者様の診察も受けた。
軽い風邪で疲れによるものだそう。
仕方なく言われた通り薬を飲むことに。
でも果たして立ち上がることは出来るのでしょうか?
結局風邪が治っても状況は好転しない。
ボノ次第で私だけでなくセピユロスにまでも迷惑が。
今のところボノは言うつもりはなさそうですが。
それも確証はない。ボノの考えが分からない以上楽観視は出来ない。
セピユロスとの関係を知られてしまった以上何か手を打つ必要がある。
先手必勝と行くべきでしょう。
でも思いつくことと言ったらそれこそ仮病で寝込むぐらい。
今その通りに。もちろん仮病ではないですが。
ただタイミング良く風邪になる体は便利だと言えなくもない。
これではまるで時間稼ぎをしてるみたい。
嵐が過ぎ去るのをじっと待つ。そうすればきっと好転する。
さあまずは体をしっかり治そう。
ボノやヴィーナとの関係も含めた問題。とは言え何とかなるでしょう。
もっと気楽に。前向きに。
必ず時間がすべてを解決してくれる。
「ああご主人様! 」
寝込んだなものだからお見舞いに来てくれる。
それは大変ありがたいことなのですがもう少し放って置いてくれると助かる。
「大丈夫ですかご主人様? 」
「ごめんなさい。あなた方に迷惑を掛けることになるわ」
「そんなことありません。屋敷のことは考えずにゆっくりお休みください」
メイドに気を遣われてしまう始末。情けない。実に情けない。
どうも頭がぼうっとする。
医者は不安や根本原因を取り除けばすぐ良くなると言っていたがそう簡単ではない。
これではいつまで経っても改善しない気がする。
うーんダメ。動く気力さえない。
仕方ないのでゆっくり寝ることにした。
でも朝からは眠れない。昨日だって寝ていた訳で睡眠も充分。
自慢じゃないが読書でもしなければ眠る自信はない。
今の私はただ本を読むことさえ億劫。
天井の一点を見る。じっと続けること一時間。
ただ無為に時間が過ぎていく。
物凄く勿体ない。こんなことしてていいのだろうか。
こんな時は楽しいことを考えればいいのに…… つい悪いことばかり浮かぶ。
ボノと離婚すればボノはこの屋敷を出て行きヴィーナは都会に戻るでしょう。
そうなったらどう?
もちろんメイドたちが相手するので暇を持て余すことはありません。
やることなどいくらだってある。足りないぐらい。まだマシな方だ。
もし二人が一緒に住むと言い出したらどうだろう?
断わるのもおかしい。だがそうなれば毎日セピユロスと顔を合わせることになる。
私はどんな顔をして彼を見ればいいの? ただの義母と息子の関係を演じろと?
それはあまりに残酷。セピユロスだって苦しいでしょうね。
一番の問題はヴィーナが気付くこと。ヴィーナ自身薄々は感じ取ってるはず。
でも証拠がない上にセピユロスを信じているだろうから心に留めておくのみ。
これでは誰一人幸せにならない。理想はヴィーナがセピユロスを諦めること。
そうすればすべて解決。ヴィーナお願い。皆の幸せのために犠牲になって。
でもやはり言えない。自分の幸せのためにヴィーナを犠牲にはできない。
それは愚かしいことであり決して選んではいけない。
つい誘惑に負けそうになるが必死で抑える。
セピユロスが来てから随分都合のいい妄想をするようになった。
毎日頭で浮かんでは消えてを繰り返す。
セピユロスに心を奪われてからは醜くて残酷なことばかり。
自分だけが良ければそれでいいならどれだけ楽か。
セピユロスと何の迷いもなく暮らせたら。
でも現実はそんなに甘くない。
毎日結論が変わっていった。
別にいいじゃないと軽く考えることもあった。
ヴィーナを思って身を引くべきだと諦めたことも。
そもそもセピユロスは私のことを本気にしていない。
ただのお遊びだと自分に言い聞かせたこともあった。
そのどれも正しいのだが決してはっきりしない。
霧が晴れることはない。それがどれだけ苦しくて辛いか。
続く
お医者様の診察も受けた。
軽い風邪で疲れによるものだそう。
仕方なく言われた通り薬を飲むことに。
でも果たして立ち上がることは出来るのでしょうか?
結局風邪が治っても状況は好転しない。
ボノ次第で私だけでなくセピユロスにまでも迷惑が。
今のところボノは言うつもりはなさそうですが。
それも確証はない。ボノの考えが分からない以上楽観視は出来ない。
セピユロスとの関係を知られてしまった以上何か手を打つ必要がある。
先手必勝と行くべきでしょう。
でも思いつくことと言ったらそれこそ仮病で寝込むぐらい。
今その通りに。もちろん仮病ではないですが。
ただタイミング良く風邪になる体は便利だと言えなくもない。
これではまるで時間稼ぎをしてるみたい。
嵐が過ぎ去るのをじっと待つ。そうすればきっと好転する。
さあまずは体をしっかり治そう。
ボノやヴィーナとの関係も含めた問題。とは言え何とかなるでしょう。
もっと気楽に。前向きに。
必ず時間がすべてを解決してくれる。
「ああご主人様! 」
寝込んだなものだからお見舞いに来てくれる。
それは大変ありがたいことなのですがもう少し放って置いてくれると助かる。
「大丈夫ですかご主人様? 」
「ごめんなさい。あなた方に迷惑を掛けることになるわ」
「そんなことありません。屋敷のことは考えずにゆっくりお休みください」
メイドに気を遣われてしまう始末。情けない。実に情けない。
どうも頭がぼうっとする。
医者は不安や根本原因を取り除けばすぐ良くなると言っていたがそう簡単ではない。
これではいつまで経っても改善しない気がする。
うーんダメ。動く気力さえない。
仕方ないのでゆっくり寝ることにした。
でも朝からは眠れない。昨日だって寝ていた訳で睡眠も充分。
自慢じゃないが読書でもしなければ眠る自信はない。
今の私はただ本を読むことさえ億劫。
天井の一点を見る。じっと続けること一時間。
ただ無為に時間が過ぎていく。
物凄く勿体ない。こんなことしてていいのだろうか。
こんな時は楽しいことを考えればいいのに…… つい悪いことばかり浮かぶ。
ボノと離婚すればボノはこの屋敷を出て行きヴィーナは都会に戻るでしょう。
そうなったらどう?
もちろんメイドたちが相手するので暇を持て余すことはありません。
やることなどいくらだってある。足りないぐらい。まだマシな方だ。
もし二人が一緒に住むと言い出したらどうだろう?
断わるのもおかしい。だがそうなれば毎日セピユロスと顔を合わせることになる。
私はどんな顔をして彼を見ればいいの? ただの義母と息子の関係を演じろと?
それはあまりに残酷。セピユロスだって苦しいでしょうね。
一番の問題はヴィーナが気付くこと。ヴィーナ自身薄々は感じ取ってるはず。
でも証拠がない上にセピユロスを信じているだろうから心に留めておくのみ。
これでは誰一人幸せにならない。理想はヴィーナがセピユロスを諦めること。
そうすればすべて解決。ヴィーナお願い。皆の幸せのために犠牲になって。
でもやはり言えない。自分の幸せのためにヴィーナを犠牲にはできない。
それは愚かしいことであり決して選んではいけない。
つい誘惑に負けそうになるが必死で抑える。
セピユロスが来てから随分都合のいい妄想をするようになった。
毎日頭で浮かんでは消えてを繰り返す。
セピユロスに心を奪われてからは醜くて残酷なことばかり。
自分だけが良ければそれでいいならどれだけ楽か。
セピユロスと何の迷いもなく暮らせたら。
でも現実はそんなに甘くない。
毎日結論が変わっていった。
別にいいじゃないと軽く考えることもあった。
ヴィーナを思って身を引くべきだと諦めたことも。
そもそもセピユロスは私のことを本気にしていない。
ただのお遊びだと自分に言い聞かせたこともあった。
そのどれも正しいのだが決してはっきりしない。
霧が晴れることはない。それがどれだけ苦しくて辛いか。
続く
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