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上機嫌

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夕食。
今日はタラの蒸し焼き。
香ばしい匂いが漂う。
ライムや香草をふんだんに使った伝統料理。
私はどちらかと言えば苦手。香りは良いのですが匂いが受け付けない。
一口食べる。ああやっぱりダメ。
もう少し抑えてくれるといいのですがやはりそれは贅沢と言うもの。
またしても文句を。悪い癖。せっかくのご馳走を貶しては悪い。

「ふふふ…… 幸せ」
「あれどうしたディーテ。随分ご機嫌だね」
今まで無関心だったボノが今更私に関心を示すなど珍しい。
私の機嫌がいいのには何かあると踏んだようだ。
「ボノったらもう」
機嫌が悪ければ気にもするでしょう。ですが機嫌が良いのだから放っておけばいい。
それが出来ないのはなぜ?

「お母様が機嫌がいいのはいつ以来でしょう? 」
ヴィーナも饒舌だ。セピユロスが戻って来てからよく笑うようになった。
私だって嬉しくて嬉しくてつい顔に出てしまう。
どうも誤解されてるが基本的にいつも機嫌が良い。
ボノがメイドにちょっかいを出さなければ。
ヴィーナが笑顔ならば尚更。
二人とも本当に呑気。自分のことを棚に上げ過ぎですよ。
ただヴィーナも何かを感じ取ったのでしょう。まあ娘とは言え何て大胆な発言。

「セピユロスはどう思う? 」
「ディーテに良いことでもあったのでしょう。余計な詮索は良くないよ」
どうにかセピユロスが庇う。あっさりと関心がないように。でも逆にそれが怪しい。
そこを理解してないセピユロス。
「ふふふ…… セピユロスさんもお疲れになったでしょう。
今晩はゆっくりお休みください」
どうにかごまかす。
「あははは…… まるで二人が示し合わせたみたいじゃないか」
核心を突くボノ。この短い間にそこまで親密になったとは思わないのだろう。
あくまで冗談だと笑い飛ばす。

「まさか…… 」
嫉妬深いヴィーナはこんな些細なことでも気になるらしい。
「ほらヴィーナもボノも手が止まってますよ」
話ばかりしていてはせっかくの夕食が台無しになってしまう。
それでは作った者に悪い。
「うんそうだな。よしセピユロス君。さあ好きなのを呑むといい」
お酒が振る舞われる。

「美味しい。何このお酒? 」
セピユロスではなくヴィーナが調子に乗る。
「ほらあなたはお酒に弱いんだからそれくらいにしておきなさい」
こうして気付かれることもなく過ぎて行く。
二人には悪いがこれも傷つけない為。
決して悪いことをしてるのではない。

「そうだご近所の方がセピユロスさんに会いたがってましたよ」
セピユロスは人気が高くご近所で噂になる程。
「ああ、あの下品な者どもか。冗談を真に受けずともよい」
ボノは酔って横柄になっている。
私もそうは思いますが言い過ぎ。
「一度ご近所の皆さんにきちんと紹介したいわ」
少なくてもセピユロスが滞在してる間に時間を作って。
「全部君に任せるよ」
面倒臭いものだから私にすべて押し付けて知らんふりをする。
どうして私に任せる訳? なぜ積極的に関わろうとしないの?
でもそれでも構いません。今の私はとても幸せ。何でも許せる。
セピユロスからの求愛。しかもはっきりとした告白を受ける。
嬉しすぎて困ってしまう。下手に感情を抑えれば逆効果。

「分かりました。そのように致します」
「ちょっと。余計なのに触れさせないで」
ヴィーナはセピユロスが見世物にされるのが嫌なのだろう。
ただそれ以上に独占したいのでしょうが。
変な虫がつくのを極端に嫌がっている。
あらあらそれではセピユロスだってなびかない。
ヴィーナが元気を取り戻したのは良い。
でも前のように我がままでは意味がない。
これ以上の口出しは無用。
出来れば大人しく従って欲しい。

久しぶりのセピユロスとのディナー。
楽しくないはずがない。
ついボノに勧められるまま呑み干してしまう。
ボノの気持ちが良く分からない。
それ以上にセピユロスがお酒を控えてるのが気になる。
聞いていいものか?
「どうしたのですセピユロスさん。お酒が進んでないようですが」
思い切って聞くことに。
何か意図があるのか。ただ遠慮してるだけなのか。

                  続く
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