55 / 125
我慢
しおりを挟む
セピユロスの為のお食事会。
最初は再会を喜び楽しい一時を送っていたがいつの間にか雲行きが怪しくなる。
セピユロスの両親との同居を巡ってヴィーナが反発。
私たちを巻き込んでの大騒動へ。
「どうにかならないのセピユロス? 」
「ほら困らせてどうするんですか? あなたが我慢なさいヴィーナ」
しっかりしろと叱り飛ばす。
「私は嫌! 」
「ヴィーナお願いだよ。村の為なんだ」
「嫌! 絶対に嫌! 」
「我慢なさいヴィーナ! 」
「まあまあ。落ち着いて三人とも」
ボノが場を収める。
「でもボノ」
「お父様も真剣にお願いします」
「どのようにお考えですかボノ? 」
三人でボノを攻撃する。
「いや私はどちらの気持ちも分かる。セピユロス君の願いも分かる。
でもいきなり言われて決断しろと言うのは酷。もう少し時間を与えてもいいのでは。
しかし早くしなければならない事情があることも理解してるつもりだ。
本来だったらヴィーナが我慢すべきだろうが……
まあそんなに感情的にならずに落ち着きなさい」
良い顔ばかりしてはっきりしないボノ。
だからどちらからも糾弾される。少々気の毒な気もしますが。
これも自分で蒔いた種。一番冷静なのはボノなのだからほら頑張って。
「ボノ。分かってください」
「だから分かってるんだって」
「ひどいお父様なんて知らない」
「ヴィーナ…… 」
可愛い可愛い大事な一人娘にそっぽを向かれ反論できずにただ天井を眺める。
哀れなボノ。このままでは平行線。
どちらの意見も決して間違っていないから長引く。
これはもうどちらかが譲歩するしかないでしょう。
セピユロスかヴィーナか?
いや、どちらかではなく明らかにヴィーナの方だ。
セピユロスは我がままを言ってるのではない。
その点ヴィーナは完全な我がまま。我慢すべき。
ただそれをヴィーナに言っても泣き喚くだけでどうにもならない。
「ボノ? 」
「二人で納得するまで話し合いなさい」
ボノは逃げる。
元気になったヴィーナを傷つけまいと配慮。
「分かりました。説得して見せます」
セピユロスは自信満々だが果たして上手く行く?
賭けてもいい。ヴィーナは決して首を縦に振らない。
どうして私を分かってくれないの? と泣き喚くのが目に見えてる。
セピユロスも呑気な方だからどうにかなるだろうと軽く考えてる節が。
そうして現実を知ることになる。
決して曲げないヴィーナとどうにもならない状況に追い込まれたセピユロス。
まあ好きにしなさい。これは二人の問題。これ以上巻き込まないで欲しい。
仕方なく私はセピユロスの方に。ボノは甘いからヴィーナに。
どうなろうと二人で決めたこと。ただ見守るのみ。
いい見物なんて言ったらさすがに悪いわよね。
歓迎の昼食会は和やかにとはいかない。
ふう疲れた。
結局平行線のまま食事を終える。
二人の喧嘩に巻き込まれ大変な目に遭った。
部屋で一休み。
「ご主人様午後の予定はどう致します」
予定をすべてキャンセルしたので暇で仕方がない。
秘密の特訓にはまだ時間があるしとりあえず散歩でも。
その前に横になる。ああ気持ちいい。
「大丈夫ですかご主人様。無理をなさらずにもうお年なのですから」
メイドは決して悪気があって言ってるのではない。ただ私の体を気遣って。
だから叱れない。
心と体を落ち着かせてから散歩に向かう。
敷地内を散歩するだけなので随行メイドはつけない。
監視もなく逃げようと思えばいつでも姿をくらませられる状況。
仮に随行メイドが居ても命令すればすぐにでも一人になれる。
まあ逃げるつもりはさらさらないですが。
自由だ。
私を監視する者はいない。
そこに隙が生まれる。
「ディーテ! 」
こんな風に情熱的なのは間違いなくセピユロス。
「あらセピユロスさんも散歩ですか? 」
「はいぜひお供させてください」
一人が良いのですけどまあ誰も見てないのだし構わないでしょう。
仮に見られても別に怪しいところもない。
ただの散歩。二人の関係を勘ぐるものなどいない。
いえ一人だけいた。
ボノだ。彼なら密会を嗅ぎつけてもおかしくない。
私の弱みを握れば離婚がしやすくなる。
まあ私には対抗できる証拠はいくらでもあるので怖くないですがね。
セピユロスとの一時を楽しむ。
続く
最初は再会を喜び楽しい一時を送っていたがいつの間にか雲行きが怪しくなる。
セピユロスの両親との同居を巡ってヴィーナが反発。
私たちを巻き込んでの大騒動へ。
「どうにかならないのセピユロス? 」
「ほら困らせてどうするんですか? あなたが我慢なさいヴィーナ」
しっかりしろと叱り飛ばす。
「私は嫌! 」
「ヴィーナお願いだよ。村の為なんだ」
「嫌! 絶対に嫌! 」
「我慢なさいヴィーナ! 」
「まあまあ。落ち着いて三人とも」
ボノが場を収める。
「でもボノ」
「お父様も真剣にお願いします」
「どのようにお考えですかボノ? 」
三人でボノを攻撃する。
「いや私はどちらの気持ちも分かる。セピユロス君の願いも分かる。
でもいきなり言われて決断しろと言うのは酷。もう少し時間を与えてもいいのでは。
しかし早くしなければならない事情があることも理解してるつもりだ。
本来だったらヴィーナが我慢すべきだろうが……
まあそんなに感情的にならずに落ち着きなさい」
良い顔ばかりしてはっきりしないボノ。
だからどちらからも糾弾される。少々気の毒な気もしますが。
これも自分で蒔いた種。一番冷静なのはボノなのだからほら頑張って。
「ボノ。分かってください」
「だから分かってるんだって」
「ひどいお父様なんて知らない」
「ヴィーナ…… 」
可愛い可愛い大事な一人娘にそっぽを向かれ反論できずにただ天井を眺める。
哀れなボノ。このままでは平行線。
どちらの意見も決して間違っていないから長引く。
これはもうどちらかが譲歩するしかないでしょう。
セピユロスかヴィーナか?
いや、どちらかではなく明らかにヴィーナの方だ。
セピユロスは我がままを言ってるのではない。
その点ヴィーナは完全な我がまま。我慢すべき。
ただそれをヴィーナに言っても泣き喚くだけでどうにもならない。
「ボノ? 」
「二人で納得するまで話し合いなさい」
ボノは逃げる。
元気になったヴィーナを傷つけまいと配慮。
「分かりました。説得して見せます」
セピユロスは自信満々だが果たして上手く行く?
賭けてもいい。ヴィーナは決して首を縦に振らない。
どうして私を分かってくれないの? と泣き喚くのが目に見えてる。
セピユロスも呑気な方だからどうにかなるだろうと軽く考えてる節が。
そうして現実を知ることになる。
決して曲げないヴィーナとどうにもならない状況に追い込まれたセピユロス。
まあ好きにしなさい。これは二人の問題。これ以上巻き込まないで欲しい。
仕方なく私はセピユロスの方に。ボノは甘いからヴィーナに。
どうなろうと二人で決めたこと。ただ見守るのみ。
いい見物なんて言ったらさすがに悪いわよね。
歓迎の昼食会は和やかにとはいかない。
ふう疲れた。
結局平行線のまま食事を終える。
二人の喧嘩に巻き込まれ大変な目に遭った。
部屋で一休み。
「ご主人様午後の予定はどう致します」
予定をすべてキャンセルしたので暇で仕方がない。
秘密の特訓にはまだ時間があるしとりあえず散歩でも。
その前に横になる。ああ気持ちいい。
「大丈夫ですかご主人様。無理をなさらずにもうお年なのですから」
メイドは決して悪気があって言ってるのではない。ただ私の体を気遣って。
だから叱れない。
心と体を落ち着かせてから散歩に向かう。
敷地内を散歩するだけなので随行メイドはつけない。
監視もなく逃げようと思えばいつでも姿をくらませられる状況。
仮に随行メイドが居ても命令すればすぐにでも一人になれる。
まあ逃げるつもりはさらさらないですが。
自由だ。
私を監視する者はいない。
そこに隙が生まれる。
「ディーテ! 」
こんな風に情熱的なのは間違いなくセピユロス。
「あらセピユロスさんも散歩ですか? 」
「はいぜひお供させてください」
一人が良いのですけどまあ誰も見てないのだし構わないでしょう。
仮に見られても別に怪しいところもない。
ただの散歩。二人の関係を勘ぐるものなどいない。
いえ一人だけいた。
ボノだ。彼なら密会を嗅ぎつけてもおかしくない。
私の弱みを握れば離婚がしやすくなる。
まあ私には対抗できる証拠はいくらでもあるので怖くないですがね。
セピユロスとの一時を楽しむ。
続く
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
拝啓、許婚様。私は貴方のことが大嫌いでした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【ある日僕の元に許婚から恋文ではなく、婚約破棄の手紙が届けられた】
僕には子供の頃から決められている許婚がいた。けれどお互い特に相手のことが好きと言うわけでもなく、月に2度の『デート』と言う名目の顔合わせをするだけの間柄だった。そんなある日僕の元に許婚から手紙が届いた。そこに記されていた内容は婚約破棄を告げる内容だった。あまりにも理不尽な内容に不服を抱いた僕は、逆に彼女を遣り込める計画を立てて許婚の元へ向かった――。
※他サイトでも投稿中


【完結】望んだのは、私ではなくあなたです
灰銀猫
恋愛
婚約者が中々決まらなかったジゼルは父親らに地味な者同士ちょうどいいと言われ、同じ境遇のフィルマンと学園入学前に婚約した。
それから3年。成長期を経たフィルマンは背が伸びて好青年に育ち人気者になり、順調だと思えた二人の関係が変わってしまった。フィルマンに思う相手が出来たのだ。
その令嬢は三年前に伯爵家に引き取られた庶子で、物怖じしない可憐な姿は多くの令息を虜にした。その後令嬢は第二王子と恋仲になり、王子は婚約者に解消を願い出て、二人は真実の愛と持て囃される。
この二人の騒動は政略で婚約を結んだ者たちに大きな動揺を与えた。多感な時期もあって婚約を考え直したいと思う者が続出したのだ。
フィルマンもまた一人になって考えたいと言い出し、婚約の解消を望んでいるのだと思ったジゼルは白紙を提案。フィルマンはそれに二もなく同意して二人の関係は呆気なく終わりを告げた。
それから2年。ジゼルは結婚を諦め、第三王子妃付きの文官となっていた。そんな中、仕事で隣国に行っていたフィルマンが帰って来て、復縁を申し出るが……
ご都合主義の創作物ですので、広いお心でお読みください。
他サイトでも掲載しています。
たとえ貴方が地に落ちようと
長岡更紗
恋愛
貴族の屋敷で働くサビーナは、兄の無茶振りによって人生が変わっていく。
当主の息子セヴェリは、誰にでも分け隔てなく優しいサビーナの主人であると同時に、どこか屈折した闇を抱えている男だった。
そんなセヴェリを放っておけないサビーナは、誠心誠意、彼に尽くす事を誓う。
志を同じくする者との、甘く切ない恋心を抱えて。
そしてサビーナは、全てを切り捨ててセヴェリを救うのだ。
己の使命のために。
あの人との約束を違えぬために。
「たとえ貴方が地に落ちようと、私は決して貴方を見捨てたりはいたしません!!」
誰より孤独で悲しい男を。
誰より自由で、幸せにするために。
サビーナは、自己犠牲愛を……彼に捧げる。

魔法のせいだから許して?
ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。
どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。
──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。
しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり……
魔法のせいなら許せる?
基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。
きっと貴女は、僕のものにはならない
遠堂瑠璃
恋愛
何でだろう。僕の日常に、貴女は居ない。
非日常の中でだけ会える貴女。
僕と貴女は、いつだって帰る場所が違って……。
いつでも貴女を独り占めにしたいのに、貴女は僕とは別の場所に帰っていく。本当は帰したくないんだ、いつだって。
こうして僕の隣で呼吸をしている貴女。ほんの限られた時間だけど、今は僕だけの貴女。今だけは、このまま離れないで。
風に揺れる髪が、触れる程傍に居て……。
19歳大学生と、28歳既婚女性の束の間の恋の結末は。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる