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青い鳥
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私を必要としてくれる者。
ボノよりも信頼がおけ私を一人の女性として見てくれる方。
それはセピユロスでしかあり得ない。
セピユロスあなたは一体どうしたいの?
私をどうしたいの?
お願い応えて。もう止まらない。
ヴィーナがいると言うのに理性ではもう抑えられない。
ヴィ―ナごめんなさい。でも信じて欲しい。
二人が幸せになって跡を継ぐことを切に願っている。
どうか二人仲良くいつまでも。我が一族の将来の為にも。
それが私の偽らざる気持ち。
でもだからと言ってセピユロスへの想いが消えることはない。
同時に存在する矛盾した二つの想い。
ヴィーナを思えば当然のこと。でも自分の幸せを優先するとなれば心穏やかでない。
あーやっぱりボノが悪い。ボノが私を突き放すものだから。
そしてセピユロスが思わせぶりな態度を取り続けるから。
もう娘ではない。だからセピユロスのアプローチを本気にはしてない。
でも心のどこかで期待をしてる自分がいる。
どんどん彼の魅力に引き寄せられもう止まらない。
「ねえヴィーナ。明日買い物に付き合わない? 」
お姉様の提案。落ち込んでいるヴィーナを連れ出す作戦。
気分転換になる。せっかくだから私も付き合うとしましょうか。
「どうヴィーナ? あなたに選んでもらいたいの」
「うん…… 」
子供のように頷く。
可愛らしいヴィーナ。いつの間にそんな素直になったのかしら。
私には決して見せなかった一面。
まるでメイド。さっそくキャルム効果が現れた?
ご主人様のご機嫌を伺うメイドの目をしている。
「そうだ。先日小鳥が迷い込んだの」
お姉様が面白い話を。まあこれは良く作られた話。
私も幼い頃に聞いた覚えがある。
もうヴィーナは子供ではないんですよ。いくら何でもそれは……
「うんうん…… 」
ヴィーナは静かに耳を傾けている。
これ以上はとボノが立ち上がる。
もう寝るよとメイドに手を引かれて退場。
邪魔者はいなくなった。
ボノはとりあえず放っておいてやはり今はヴィーナ。
「どうやら足を怪我してたみたい。傷口が化膿してしまって大変。
だから今は我が家で飼ってる。どうこの子可愛いでしょう? 」
この話は初めて聞いた。これは最近本当にあったことらしい。
お姉様は野鳥観察が趣味でそのせいか撮るのも上手。
羽ばたく瞬間を収めたものを見せてくれた。
「ほらこれはヴィーナも気に入るはずよ」
黄色い羽根が鮮やか。
「もう一つあるの」
青い鳥がこちらを見つめている。
「これは我が家で飼ってる小鳥。かわいいでしょう? 」
放し飼いにしてるそうで逃げないかそれだけが気になってしまう。
「家に来たら実物を見せてあげる」
「あのお姉様…… 今その小鳥は? 」
いくら放し飼いと言っても勝手に出て行くこともある。
野生でもあるまいし餌だってトイレだって大事。
「今は忙しくて夫も家を空けてるの。だからお隣の夫婦にお願いしてる」
安心。これなら小鳥に危険はない。
ヴィーナは食い入るように見る。
小鳥で気が紛れたのか少しずつ元気を取りもどすヴィーナ。
「ありがとう」
そう言うとメイドを伴い部屋へ。
「では私もこれで」
お姉様はヴィーナを追いかけるように出て行った。
せっかくもっと詳しく聞こうと思ったのに。
仕方がない。さあ私も休むとしましょう。
セピユロスの居ない夜は静かでいい。でも寂しい気もします。
あの頃がなぜか懐かしく愛おしい。
もう戻ってこないだろうあの頃。
彼はヴィーナに見切りをつけ私を忘れどこか遠くの世界へ。
そんなつまらない妄想に囚われる。
彼がそんなことする訳ないのに。不安でつい。
でも実家が火災に遭われたようにあり得ないことが起きても不思議ではない。
セピユロス。あなたは今何をしてるのですか?
早く帰って来て欲しい。
ヴィーナの為にも。そして私の為にも。
随分と勝手で我がままだと自覚しています。
でも止らない。あなたへの想い。
続く
ボノよりも信頼がおけ私を一人の女性として見てくれる方。
それはセピユロスでしかあり得ない。
セピユロスあなたは一体どうしたいの?
私をどうしたいの?
お願い応えて。もう止まらない。
ヴィーナがいると言うのに理性ではもう抑えられない。
ヴィ―ナごめんなさい。でも信じて欲しい。
二人が幸せになって跡を継ぐことを切に願っている。
どうか二人仲良くいつまでも。我が一族の将来の為にも。
それが私の偽らざる気持ち。
でもだからと言ってセピユロスへの想いが消えることはない。
同時に存在する矛盾した二つの想い。
ヴィーナを思えば当然のこと。でも自分の幸せを優先するとなれば心穏やかでない。
あーやっぱりボノが悪い。ボノが私を突き放すものだから。
そしてセピユロスが思わせぶりな態度を取り続けるから。
もう娘ではない。だからセピユロスのアプローチを本気にはしてない。
でも心のどこかで期待をしてる自分がいる。
どんどん彼の魅力に引き寄せられもう止まらない。
「ねえヴィーナ。明日買い物に付き合わない? 」
お姉様の提案。落ち込んでいるヴィーナを連れ出す作戦。
気分転換になる。せっかくだから私も付き合うとしましょうか。
「どうヴィーナ? あなたに選んでもらいたいの」
「うん…… 」
子供のように頷く。
可愛らしいヴィーナ。いつの間にそんな素直になったのかしら。
私には決して見せなかった一面。
まるでメイド。さっそくキャルム効果が現れた?
ご主人様のご機嫌を伺うメイドの目をしている。
「そうだ。先日小鳥が迷い込んだの」
お姉様が面白い話を。まあこれは良く作られた話。
私も幼い頃に聞いた覚えがある。
もうヴィーナは子供ではないんですよ。いくら何でもそれは……
「うんうん…… 」
ヴィーナは静かに耳を傾けている。
これ以上はとボノが立ち上がる。
もう寝るよとメイドに手を引かれて退場。
邪魔者はいなくなった。
ボノはとりあえず放っておいてやはり今はヴィーナ。
「どうやら足を怪我してたみたい。傷口が化膿してしまって大変。
だから今は我が家で飼ってる。どうこの子可愛いでしょう? 」
この話は初めて聞いた。これは最近本当にあったことらしい。
お姉様は野鳥観察が趣味でそのせいか撮るのも上手。
羽ばたく瞬間を収めたものを見せてくれた。
「ほらこれはヴィーナも気に入るはずよ」
黄色い羽根が鮮やか。
「もう一つあるの」
青い鳥がこちらを見つめている。
「これは我が家で飼ってる小鳥。かわいいでしょう? 」
放し飼いにしてるそうで逃げないかそれだけが気になってしまう。
「家に来たら実物を見せてあげる」
「あのお姉様…… 今その小鳥は? 」
いくら放し飼いと言っても勝手に出て行くこともある。
野生でもあるまいし餌だってトイレだって大事。
「今は忙しくて夫も家を空けてるの。だからお隣の夫婦にお願いしてる」
安心。これなら小鳥に危険はない。
ヴィーナは食い入るように見る。
小鳥で気が紛れたのか少しずつ元気を取りもどすヴィーナ。
「ありがとう」
そう言うとメイドを伴い部屋へ。
「では私もこれで」
お姉様はヴィーナを追いかけるように出て行った。
せっかくもっと詳しく聞こうと思ったのに。
仕方がない。さあ私も休むとしましょう。
セピユロスの居ない夜は静かでいい。でも寂しい気もします。
あの頃がなぜか懐かしく愛おしい。
もう戻ってこないだろうあの頃。
彼はヴィーナに見切りをつけ私を忘れどこか遠くの世界へ。
そんなつまらない妄想に囚われる。
彼がそんなことする訳ないのに。不安でつい。
でも実家が火災に遭われたようにあり得ないことが起きても不思議ではない。
セピユロス。あなたは今何をしてるのですか?
早く帰って来て欲しい。
ヴィーナの為にも。そして私の為にも。
随分と勝手で我がままだと自覚しています。
でも止らない。あなたへの想い。
続く
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