190 / 200
第六世界空の旅
しおりを挟む
第六世界。
チーム・怖いお姉さんからチーム・アンカーへ。
アンカーはアンと冒険者の意味のウォーカーを合わせた造語。
俺が隊長になるはずがなぜかパワポが隊長に。
とにかく心機一転。
チーム・アンカーは歩き始めた。
歩けど歩けど人を見かけない。どうも人の気配がしないんだよな。
間違ったか? 迷ったか?
リナに聞いても第六世界についての情報はないそうだ。
これは困ったぞ。俺たちどうすれば?
そこにようやく現れたのがエアータクシーなるもの。
「お待たせしました。どうぞ好きな場所へお連れします」
人の良さそうなおじさん。笑顔が弾ける。
この世界には良い人しかいないそうで俺たちみたいな旅人にはありがたい存在。
エアータクシーは轟音を上げ大空へ旅立つ。
「それでどちらに参りましょうか? 」
「うーん…… よく分からないんだよ。おっさん」
「それでしたら…… 」
「いやおっさんには分からないって」
隊長になったパワポが失礼な発言を繰り返す。
パワポの目的はお忍びの旅に出てる王子様。
そんな都合のいいのがいる訳ないだろ?
「ああ王子様ですか…… それでしたら西の方で見かけました」
「おいおい! あんた話が分かるじゃないか。それは第何王子だ? 」
「確か第三王子だと伺いましたが」
「うんうん。第三王子ぐらいでないと面倒だからな。権力争いとかさ。
よし理想的だ。だったら早いところ連れてってよ」
どこまでも自分勝手で失礼なパワポ。隊長の自覚なしだな。
やっぱり俺が代わってやるべきだな。
「申し訳ない。西エリアは許可を得た者以外は降りられないんです」
どうやらこの第六世界には禁止エリア等があるようだ。
とにかくエアータクシーに乗ることに。
果たして本当にこの男を信用していいのか判断に迷う。
隊長のパワポが気にする素振りを見せないからな。
取り敢えず地元の方の好意をありがたく受け入れることに。
こうしてエアータクシーは出発地の北エリアを飛び立った。
男の話ではここには人は住んでないとのこと。
だとすればアンが居るはずもない。
残りの三つから。しかも西エリアが立ち入り禁止となると実質二エリアに絞られる。
これは展開が早いぞ。さあ急ごう。
「見えてきましたね。ここが中央。
ほとんどが砂漠と海で人が住めるようなところではありません。
これによって四つのエリアに分かれる訳です」
ありがたいことに親切なおじさんが詳しい説明をしてくれる。
「あの…… 私たち愛の言霊を探してるんですが。
どこにあるかご存じありませんか? 」
パワポでは男に悪いのでリナが代わる。
「はいはい。愛の言霊ですね。それなら南エリアに」
こうして南エリアに向かうことに。
「ありがとうございます。助かります」
「いえいえ。そうだ。ついでに良いことを教えてあげましょう。
愛の言霊とはある鳥の卵から作られていると聞きます」
「まさかご存じ? 」
「ええ。サザン鳥と言う鳴き声が独特の鳥で。その卵だと言われています」
男は良い人な者だからつい漏らしてしまう。これは手間が省ける。
「では急ぎましょう! 」
エアータクシーは速度を上げ南エリアに。
「それでそちらの方々はなぜおかしな独り言を? 」
「済みません。迷惑ですよね」
「ゲン! お前は何をやってるんだよ? 」
「その…… 手遅れだった場合に備えて祝福の言葉と言い訳をね…… 」
ブツブツ
ブツブツ
「俺は全然気にしてないよ…… うん良かったじゃないかアン。ではお幸せに」
「あのこちらの方は? 」
「はい。帰った時にいい訳を考えてるようです」
「違うんだって! 酒なんか飲んでない! 付き合いだからさ。
留守にしたのは謝るよ。刑務所? 知らないって…… 」
ウイルは震えている。
「ははは! 何を震えてるんだよゲン? 」
「それはウイルだって! 」
「お前もだろうがよ! 」
まずいパワポに情けないところを見られてしまった。
格好いい冒険者で通っていたのにな。残念だよ。仕方ない切り替えるか。
「あの…… 飛びませんよね? 」
「はあ? 何を言ってるんだい? 」
男は笑って答える。
「その…… 俺もう飛びたくないんで」
第三世界での苦い思い出が蘇ってくる。
あの時は俺に拒否権はなかった。半ば強引に飛ばされた。
思い出すだけで足が震え動悸が止まらない。吐き気さえ覚える。
「どうなんですか? 」
どうしても信用できずに何度も確認する。
「はい。オプションで付けることも可能です」
「ひえええ! 」
こうして再びの空の旅にビクつく俺たちであった。
実際は俺だけだけどね。
いくら良い人でもこればっかりは信用できない。
続く
チーム・怖いお姉さんからチーム・アンカーへ。
アンカーはアンと冒険者の意味のウォーカーを合わせた造語。
俺が隊長になるはずがなぜかパワポが隊長に。
とにかく心機一転。
チーム・アンカーは歩き始めた。
歩けど歩けど人を見かけない。どうも人の気配がしないんだよな。
間違ったか? 迷ったか?
リナに聞いても第六世界についての情報はないそうだ。
これは困ったぞ。俺たちどうすれば?
そこにようやく現れたのがエアータクシーなるもの。
「お待たせしました。どうぞ好きな場所へお連れします」
人の良さそうなおじさん。笑顔が弾ける。
この世界には良い人しかいないそうで俺たちみたいな旅人にはありがたい存在。
エアータクシーは轟音を上げ大空へ旅立つ。
「それでどちらに参りましょうか? 」
「うーん…… よく分からないんだよ。おっさん」
「それでしたら…… 」
「いやおっさんには分からないって」
隊長になったパワポが失礼な発言を繰り返す。
パワポの目的はお忍びの旅に出てる王子様。
そんな都合のいいのがいる訳ないだろ?
「ああ王子様ですか…… それでしたら西の方で見かけました」
「おいおい! あんた話が分かるじゃないか。それは第何王子だ? 」
「確か第三王子だと伺いましたが」
「うんうん。第三王子ぐらいでないと面倒だからな。権力争いとかさ。
よし理想的だ。だったら早いところ連れてってよ」
どこまでも自分勝手で失礼なパワポ。隊長の自覚なしだな。
やっぱり俺が代わってやるべきだな。
「申し訳ない。西エリアは許可を得た者以外は降りられないんです」
どうやらこの第六世界には禁止エリア等があるようだ。
とにかくエアータクシーに乗ることに。
果たして本当にこの男を信用していいのか判断に迷う。
隊長のパワポが気にする素振りを見せないからな。
取り敢えず地元の方の好意をありがたく受け入れることに。
こうしてエアータクシーは出発地の北エリアを飛び立った。
男の話ではここには人は住んでないとのこと。
だとすればアンが居るはずもない。
残りの三つから。しかも西エリアが立ち入り禁止となると実質二エリアに絞られる。
これは展開が早いぞ。さあ急ごう。
「見えてきましたね。ここが中央。
ほとんどが砂漠と海で人が住めるようなところではありません。
これによって四つのエリアに分かれる訳です」
ありがたいことに親切なおじさんが詳しい説明をしてくれる。
「あの…… 私たち愛の言霊を探してるんですが。
どこにあるかご存じありませんか? 」
パワポでは男に悪いのでリナが代わる。
「はいはい。愛の言霊ですね。それなら南エリアに」
こうして南エリアに向かうことに。
「ありがとうございます。助かります」
「いえいえ。そうだ。ついでに良いことを教えてあげましょう。
愛の言霊とはある鳥の卵から作られていると聞きます」
「まさかご存じ? 」
「ええ。サザン鳥と言う鳴き声が独特の鳥で。その卵だと言われています」
男は良い人な者だからつい漏らしてしまう。これは手間が省ける。
「では急ぎましょう! 」
エアータクシーは速度を上げ南エリアに。
「それでそちらの方々はなぜおかしな独り言を? 」
「済みません。迷惑ですよね」
「ゲン! お前は何をやってるんだよ? 」
「その…… 手遅れだった場合に備えて祝福の言葉と言い訳をね…… 」
ブツブツ
ブツブツ
「俺は全然気にしてないよ…… うん良かったじゃないかアン。ではお幸せに」
「あのこちらの方は? 」
「はい。帰った時にいい訳を考えてるようです」
「違うんだって! 酒なんか飲んでない! 付き合いだからさ。
留守にしたのは謝るよ。刑務所? 知らないって…… 」
ウイルは震えている。
「ははは! 何を震えてるんだよゲン? 」
「それはウイルだって! 」
「お前もだろうがよ! 」
まずいパワポに情けないところを見られてしまった。
格好いい冒険者で通っていたのにな。残念だよ。仕方ない切り替えるか。
「あの…… 飛びませんよね? 」
「はあ? 何を言ってるんだい? 」
男は笑って答える。
「その…… 俺もう飛びたくないんで」
第三世界での苦い思い出が蘇ってくる。
あの時は俺に拒否権はなかった。半ば強引に飛ばされた。
思い出すだけで足が震え動悸が止まらない。吐き気さえ覚える。
「どうなんですか? 」
どうしても信用できずに何度も確認する。
「はい。オプションで付けることも可能です」
「ひえええ! 」
こうして再びの空の旅にビクつく俺たちであった。
実際は俺だけだけどね。
いくら良い人でもこればっかりは信用できない。
続く
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる