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第六世界空の旅

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第六世界。
チーム・怖いお姉さんからチーム・アンカーへ。
アンカーはアンと冒険者の意味のウォーカーを合わせた造語。
俺が隊長になるはずがなぜかパワポが隊長に。
とにかく心機一転。
チーム・アンカーは歩き始めた。

歩けど歩けど人を見かけない。どうも人の気配がしないんだよな。
間違ったか? 迷ったか?
リナに聞いても第六世界についての情報はないそうだ。
これは困ったぞ。俺たちどうすれば?

そこにようやく現れたのがエアータクシーなるもの。
「お待たせしました。どうぞ好きな場所へお連れします」
人の良さそうなおじさん。笑顔が弾ける。
この世界には良い人しかいないそうで俺たちみたいな旅人にはありがたい存在。

エアータクシーは轟音を上げ大空へ旅立つ。
「それでどちらに参りましょうか? 」
「うーん…… よく分からないんだよ。おっさん」
「それでしたら…… 」
「いやおっさんには分からないって」
隊長になったパワポが失礼な発言を繰り返す。
パワポの目的はお忍びの旅に出てる王子様。
そんな都合のいいのがいる訳ないだろ?

「ああ王子様ですか…… それでしたら西の方で見かけました」
「おいおい! あんた話が分かるじゃないか。それは第何王子だ? 」
「確か第三王子だと伺いましたが」
「うんうん。第三王子ぐらいでないと面倒だからな。権力争いとかさ。
よし理想的だ。だったら早いところ連れてってよ」
どこまでも自分勝手で失礼なパワポ。隊長の自覚なしだな。
やっぱり俺が代わってやるべきだな。

「申し訳ない。西エリアは許可を得た者以外は降りられないんです」
どうやらこの第六世界には禁止エリア等があるようだ。
とにかくエアータクシーに乗ることに。

果たして本当にこの男を信用していいのか判断に迷う。
隊長のパワポが気にする素振りを見せないからな。
取り敢えず地元の方の好意をありがたく受け入れることに。
こうしてエアータクシーは出発地の北エリアを飛び立った。

男の話ではここには人は住んでないとのこと。
だとすればアンが居るはずもない。
残りの三つから。しかも西エリアが立ち入り禁止となると実質二エリアに絞られる。
これは展開が早いぞ。さあ急ごう。

「見えてきましたね。ここが中央。
ほとんどが砂漠と海で人が住めるようなところではありません。
これによって四つのエリアに分かれる訳です」
ありがたいことに親切なおじさんが詳しい説明をしてくれる。

「あの…… 私たち愛の言霊を探してるんですが。
どこにあるかご存じありませんか? 」
パワポでは男に悪いのでリナが代わる。
「はいはい。愛の言霊ですね。それなら南エリアに」
こうして南エリアに向かうことに。
「ありがとうございます。助かります」
「いえいえ。そうだ。ついでに良いことを教えてあげましょう。
愛の言霊とはある鳥の卵から作られていると聞きます」
「まさかご存じ? 」
「ええ。サザン鳥と言う鳴き声が独特の鳥で。その卵だと言われています」
男は良い人な者だからつい漏らしてしまう。これは手間が省ける。

「では急ぎましょう! 」
エアータクシーは速度を上げ南エリアに。

「それでそちらの方々はなぜおかしな独り言を? 」
「済みません。迷惑ですよね」
「ゲン! お前は何をやってるんだよ? 」
「その…… 手遅れだった場合に備えて祝福の言葉と言い訳をね…… 」

ブツブツ
ブツブツ
「俺は全然気にしてないよ…… うん良かったじゃないかアン。ではお幸せに」

「あのこちらの方は? 」
「はい。帰った時にいい訳を考えてるようです」

「違うんだって! 酒なんか飲んでない! 付き合いだからさ。
留守にしたのは謝るよ。刑務所? 知らないって…… 」
ウイルは震えている。

「ははは! 何を震えてるんだよゲン? 」
「それはウイルだって! 」
「お前もだろうがよ! 」
まずいパワポに情けないところを見られてしまった。
格好いい冒険者で通っていたのにな。残念だよ。仕方ない切り替えるか。

「あの…… 飛びませんよね? 」
「はあ? 何を言ってるんだい? 」
男は笑って答える。
「その…… 俺もう飛びたくないんで」
第三世界での苦い思い出が蘇ってくる。
あの時は俺に拒否権はなかった。半ば強引に飛ばされた。
思い出すだけで足が震え動悸が止まらない。吐き気さえ覚える。

「どうなんですか? 」
どうしても信用できずに何度も確認する。
「はい。オプションで付けることも可能です」
「ひえええ! 」
こうして再びの空の旅にビクつく俺たちであった。
実際は俺だけだけどね。
いくら良い人でもこればっかりは信用できない。

                 続く
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