言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

文字の大きさ
上 下
183 / 200

突入!

しおりを挟む
お茶屋さんを張り込むこと一時間。
ようやく動きがあった。
店も閉まってるこの時間に怪しい人影が中へ。
それを皮切りに団体客が二グループ。続けて二組の男女。
これで少なくても中には十人いる計算になる。
さあ一体中では何が行われているのか?

「なあ突入しようぜ」
パワポがもう我慢できないと動き始める。
「もう少し待って! 慎重に。あと一人入ったら私たちもお邪魔しましょう」
うんうん。俺のためによく働いてくれるよこの怖いお姉さんたちは。
やっぱり俺に惚れつつあるのかな?
だが俺にはアンがいる訳で。どう断ればいいか。

「悪いね二人とも」
「ああ面白いからいい。これで何が分かる? 」
どうやらパワポはピンと来てないらしい。
まったく情けない。それでは足手まといになるぞ。
俺だってイマイチよく分かってないけどさ。

「本当に悪いね二人とも」
「残業代はきっちり請求するわよゲン」
とんでもないことを言い出した妖精さん。
「しかし…… これは隊長の命令。本来逆でしょう? 」
「このまま帰ってもいいのよ? 私の任務はあなたのお守ですからね」
「隊長それはないっす! 」
「まったくいつまでもふざけて。大体あなたが報告し忘れたんでしょう? 」
リナは俺に落ち度があると責め立てる。

「でも隊長…… 」
「残業代はきっちり請求しますからね」
「まあまあ。リナも楽しんでるんだからこれくらいいんじゃない? 」
堪らずに口を挟むパワポ。以外にも俺のことを考えてくれてるらしい。
「パワポは甘やかさないの! 」
「でも…… 」 
「そうっすよ隊長。俺と隊長の仲じゃないっすか」
「はい黙って! もう一人来た! 」

もう勝手に打ち切るんだから。少しは俺の話を聞いてくれよな。
大体残業代なんてファンタジーには合わないんだから野暮なこと言いっこなし。
それでも払えと言うなら二十四金で。くくく……
「ゲン。私を見くびらない方がいい」
恐ろしく冷たい表情で見つめるリナ。
どうやら魂胆は見え見えらしい。まったく大した妖精さんだ。

男が一人お茶屋に入って行く。
そのタイミングで突入。
「いらっしゃい」
店内はただのお茶屋。しかも閉店後だ。なぜ客が訪れる?
「ご一緒ですか? 」
「いや知らないよこんな奴ら」
男はいかにも迷惑だと首を振り困惑した表情を見せる。
「そんなダーリン。さっきまであんなにいちゃついていたのに…… 」
リナは急に声色を変え大人びた雰囲気を出す。
何だやればできるじゃないか。
「へへへ…… そうだったっけ? 」
「さあ今夜も楽しみましょう」
結局無理があっても男が受け入れてしまえばそれで問題ない。
少々強引だがこれもリナの作戦。
こうして男とリナは店内へ。
残された俺たちも恋人を装って店内へ……

「改めていらっしゃいませ。ここにはどのようなご用件でしょうか? 」
リナたちはすんなり地下室まで通されたが俺たちは警戒されてかストップがかかる。
「あなたはお婆さんの息子だねマスター? 」
「どうしてそのことを…… おっとまずい…… いや何でもないよ」
ここは正直に言うべきか? それともまだとぼけるべきか?
「マスター。俺は客だぜ」
「もう仕方ありませんね。ではお通りください」
こうしてついに中へ。

「うわああ! これはすごい」
地下室はお洒落なバーと化す。
これでもはや言い訳できない。
「そろそろいい? 」
「ああそうだな」
こそこそ話してると疑われてしまう。
「おい何だよお前ら? ただの客じゃないな」
マスターが怒りに任せて暴れだそうとするので落ち着かせる。

第五世界であれどこの世界であれ許可を取らずに営業してはいけない。
要するに秘密のバーを運営して町の者の満足を高めている。
これは決して悪いことではない。だが捕まったら大変。
店内はお洒落な雰囲気でお酒を楽しむ大人の交流の場となっている。

異変に気付いた客が慌てた様子。
「ハイ皆さんそのままでね」
現場を押さえたと大喜びのパワポ。
「何だよ? 」
客の一人が吠える。ふざけるな楽しい時間を台無しにしやがってと何と自分勝手。
「はいマスターは反省しましょうね。それであなた方は本来問題ないでしょうね。
でも知っていたにも関わらずに報告もせず楽しんでは同罪でしょう」
リナの追及は容赦ない。マスターも客も黙ってしまう。
もはや逃れるために言いなり状態。
そうこれでいい。これがリナの作戦。

「はいはい! 私たちは別にあなた方を破滅させようとは思っていません。
ただ協力してもらえたらな…… 」
リナは意味深な物言いで交渉を有利に進める。うん敵に回さなくて良かった。
「では一週間ほど前に失踪した門番について誰か知らない? 」
「ああそれならこの店で…… 」
リナが目を付けた常連の男が口を滑らせる。
ついに門番失踪の謎が明かされる。

               続く

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

処理中です...