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愛の言霊
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うぎゃああ!
嫉妬竜の様子がおかしい。これは急がないと大変なことに。
でも本当にどうすれば?
一応は暴言カードも使ってみたが効果はない。
残すは名刀・辛水だけどさすがにこれでは役に立ちそうにないし。
「ご主人様早く! 」
「ああ…… 俺どうしたらいい? アトリだけが頼りなんだ」
倒すべきモンスターだと言うのに情けない。本当に自分が情けない。
俺がこんなんだからアトリが嫉妬竜になってしまうんだ。
それにしてもこんな緩い戦いで本当にいいのかな?
二人の間にはまだ主従関係が続いてる。
どちらかが消えるまで。その関係は消えない。
たとえ嫉妬竜に堕ちようとも。
「なぜこのように醜くなった嫉妬竜に頼るのです? 敵なんですよ? 」
「細かいことは良いじゃないか。それより何かないのか? 」
「まったくご主人様ったら…… 」
あれほど激しく怒り狂っていたと言うのに今は殺気を感じなくなった。
恐ろしいモンスターだと言うのに可愛くて仕方がない。抱きしめてやりたいほど。
「ああ! あの女が動きだした! もう我慢出来ません」
必死の訴え。堪えきれないそう。
「そうか…… それで何かいい方法はないかアトリ? 」
俺はイカレちまったのか? この状況でまだ頼るなんて。
自分でもどうかしてるって分かってる。
それでも二人の絆はまだ残っているとそう信じたい。
「もうご主人様ったら甘えて。ではその青く光ってるものをお出しください」
「うん分かったよ」
しっかり答えようとするものだからついつい頼ってしまう。
ギャアギャア
ギャアギャア
息をするのも大変そうだ。
この辺で葬ってやるのが優しさだろうな。
「ああこれって何だっけ? 」
「それは…… もう限界です。早く! 早く! 」
アンが第五世界に走り出そうとしたのを見逃さない。
「ご主人様! 」
そう言って再びただの嫉妬竜へと戻った。
もう会話さえ難しい状況。
「クソ! 待ってろアトリ! 今すぐに楽にしてやるからな」
頼りないご主人様とただ盲目に従うアトリ。
その関係が倒す者倒される者となっても変わらず継続される。
急いでバックの一番奥に突っ込んでおいた聖なる光を取り出す。
そう呼ぶに相応しい箱。
これはまさか…… そうか海底王国でミヨちゃんからもらったお宝。
三つのうちの一つでバックに保管していた小さな宝箱。
一番大きな箱には白い煙。恐らくドライアイスのようなもの。
中くらいの箱にはテープが。地上へと繋がるテープで。
そして一番小さなこの箱は時が来たら開くと言ってたっけ。
さっそく聖なる箱を開き中身を取り出す。
これはまさか……
【愛の言霊】
最後の宝箱にはレアアイテムの愛の言霊が入っていた。
これはアンに告白する用だがそれだけでなくモンスターを一撃で倒すことも可能。
実際これで嫉妬竜となったエクセルを葬った。
よしもう迷う必要はないな。
「アトリ受け取ってくれ! 」
急いで嫉妬竜のところまで。
嫉妬竜はアンの進路を塞ぎ攻撃を加えようとしていた。
「アトリ! 」
「ご主人様! 」
振り向いた嫉妬竜は動きを止めた。
その間に辛くも第五世界へと逃れたアン。
振り返ることもせずに走って行き姿を消す。
恐らく俺の存在に気づかなかっただろうな。
これでやる意味などないがアトリの為にも最後の始末をすべきだろうな。
「受け取ってくれアトリ! これがお前への気持ちだ! 」
愛の言霊を投げつける。
「ご主人様…… 」
レアアイテムの愛の言霊は嫉妬竜を包み込むと大爆発を起こす。
視界を遮る煙が昇り空が明るくなったと思ったら嫉妬竜の姿はどこにもなかった。
恐らく消滅したのだろう。
こうして再び一人になったゲンはアンを追って第五世界へ。
「ああ君。勝手に抜けないでくれ。順番だからね。ほらこの人たちが先だ」
流浪の民の姿があった。
数名が負傷しているみたいだが軽傷らしい。
アトリがどうにか堪えたのだろう。
アンもあれだけ動けたのなら軽傷に違いない。
さあ急いで追いかけなくてはな。
「おお! お主はゲンではないのか? 」
俺を知ってる者。そう彼は言の葉村の者。
第一世界で顔を合わせている。
「何でアンを助けない? 」
「ああ済まん済まん。そんな余裕なくてな。
それにこの男が細かいこと言うから時間が掛かって襲われたんだ。
文句言うならこの男に文句言うんだな」
「うるさい! 規則だ! 勝手に入れられないんだよ。まったく異人のくせに」
どうやら間に合っていたらしい。
もしアトリが嫉妬竜になってなければアンに追いつけていた。
クソ! どうしてこう上手く行かないんだ。
こうして命からがら逃れたアンを追い求め第五世界に足を踏み入れる。
「はい手続き完了です。ではゆっくり進んでくださいね」
第五世界へ。
続く
嫉妬竜の様子がおかしい。これは急がないと大変なことに。
でも本当にどうすれば?
一応は暴言カードも使ってみたが効果はない。
残すは名刀・辛水だけどさすがにこれでは役に立ちそうにないし。
「ご主人様早く! 」
「ああ…… 俺どうしたらいい? アトリだけが頼りなんだ」
倒すべきモンスターだと言うのに情けない。本当に自分が情けない。
俺がこんなんだからアトリが嫉妬竜になってしまうんだ。
それにしてもこんな緩い戦いで本当にいいのかな?
二人の間にはまだ主従関係が続いてる。
どちらかが消えるまで。その関係は消えない。
たとえ嫉妬竜に堕ちようとも。
「なぜこのように醜くなった嫉妬竜に頼るのです? 敵なんですよ? 」
「細かいことは良いじゃないか。それより何かないのか? 」
「まったくご主人様ったら…… 」
あれほど激しく怒り狂っていたと言うのに今は殺気を感じなくなった。
恐ろしいモンスターだと言うのに可愛くて仕方がない。抱きしめてやりたいほど。
「ああ! あの女が動きだした! もう我慢出来ません」
必死の訴え。堪えきれないそう。
「そうか…… それで何かいい方法はないかアトリ? 」
俺はイカレちまったのか? この状況でまだ頼るなんて。
自分でもどうかしてるって分かってる。
それでも二人の絆はまだ残っているとそう信じたい。
「もうご主人様ったら甘えて。ではその青く光ってるものをお出しください」
「うん分かったよ」
しっかり答えようとするものだからついつい頼ってしまう。
ギャアギャア
ギャアギャア
息をするのも大変そうだ。
この辺で葬ってやるのが優しさだろうな。
「ああこれって何だっけ? 」
「それは…… もう限界です。早く! 早く! 」
アンが第五世界に走り出そうとしたのを見逃さない。
「ご主人様! 」
そう言って再びただの嫉妬竜へと戻った。
もう会話さえ難しい状況。
「クソ! 待ってろアトリ! 今すぐに楽にしてやるからな」
頼りないご主人様とただ盲目に従うアトリ。
その関係が倒す者倒される者となっても変わらず継続される。
急いでバックの一番奥に突っ込んでおいた聖なる光を取り出す。
そう呼ぶに相応しい箱。
これはまさか…… そうか海底王国でミヨちゃんからもらったお宝。
三つのうちの一つでバックに保管していた小さな宝箱。
一番大きな箱には白い煙。恐らくドライアイスのようなもの。
中くらいの箱にはテープが。地上へと繋がるテープで。
そして一番小さなこの箱は時が来たら開くと言ってたっけ。
さっそく聖なる箱を開き中身を取り出す。
これはまさか……
【愛の言霊】
最後の宝箱にはレアアイテムの愛の言霊が入っていた。
これはアンに告白する用だがそれだけでなくモンスターを一撃で倒すことも可能。
実際これで嫉妬竜となったエクセルを葬った。
よしもう迷う必要はないな。
「アトリ受け取ってくれ! 」
急いで嫉妬竜のところまで。
嫉妬竜はアンの進路を塞ぎ攻撃を加えようとしていた。
「アトリ! 」
「ご主人様! 」
振り向いた嫉妬竜は動きを止めた。
その間に辛くも第五世界へと逃れたアン。
振り返ることもせずに走って行き姿を消す。
恐らく俺の存在に気づかなかっただろうな。
これでやる意味などないがアトリの為にも最後の始末をすべきだろうな。
「受け取ってくれアトリ! これがお前への気持ちだ! 」
愛の言霊を投げつける。
「ご主人様…… 」
レアアイテムの愛の言霊は嫉妬竜を包み込むと大爆発を起こす。
視界を遮る煙が昇り空が明るくなったと思ったら嫉妬竜の姿はどこにもなかった。
恐らく消滅したのだろう。
こうして再び一人になったゲンはアンを追って第五世界へ。
「ああ君。勝手に抜けないでくれ。順番だからね。ほらこの人たちが先だ」
流浪の民の姿があった。
数名が負傷しているみたいだが軽傷らしい。
アトリがどうにか堪えたのだろう。
アンもあれだけ動けたのなら軽傷に違いない。
さあ急いで追いかけなくてはな。
「おお! お主はゲンではないのか? 」
俺を知ってる者。そう彼は言の葉村の者。
第一世界で顔を合わせている。
「何でアンを助けない? 」
「ああ済まん済まん。そんな余裕なくてな。
それにこの男が細かいこと言うから時間が掛かって襲われたんだ。
文句言うならこの男に文句言うんだな」
「うるさい! 規則だ! 勝手に入れられないんだよ。まったく異人のくせに」
どうやら間に合っていたらしい。
もしアトリが嫉妬竜になってなければアンに追いつけていた。
クソ! どうしてこう上手く行かないんだ。
こうして命からがら逃れたアンを追い求め第五世界に足を踏み入れる。
「はい手続き完了です。ではゆっくり進んでくださいね」
第五世界へ。
続く
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