言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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ハンターは左利き

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お婆さんと別れて宿へ。
おっとその前に爺さんが勝手にどこかへ。
「ちょっと待って…… 」
ダメだ。ちっとも言うことを聞かない。困るんだよなまったく……
爺さんはフラフラと怪しげな店に入っていく。
ここは一体何だろう? 剣と盾のマークが特徴的なお店。

「いらっしゃいませ。何をお求めでしょうか? 」
「ここは武器屋じゃろ? 」
「はい剣でも鉄砲でも何でも取り揃えております。何なりとお申し付けください」
そう言ってすり寄って来る店員。
金持ちの爺さんにでも見えたのかな? でも実際は無一文のはず。

ここは爺さんが言うように武器の専門店。
剣に鉄砲に手榴弾と専門家と言うか武器マニアにも対応している。
もちろん誰にでも売ってる訳ではない。
勇者の資格を持った者のみが買うことが許される。
だから俺は当然として一応爺さんもチーム・スターフィッシュの一員なので。

「猟銃はこれだけか? 」
まさか本気で買う気か? そう言えば愛用の猟銃を没収されて落ち込んでいたっけ。
もちろんそれも最初だけですぐに復活したけどさ。
「はいどれもお安くなっております」
「では思い切って一番高いのをもらおうかの」
「ありがとうございます」
「支払いは二十四金で良いか? 」
「はい。ああこんなによろしいんですか? 」
あーあ喜んじゃって。一日経てば無価値になるものを。
爺さんも本当に酷いな。とは言え俺も仲間だから何も言えない。

「お釣りはいらぬ。うん? ちょっと待て? これは左でも問題ないか? 」
「はあ。お客様は左利きでしょうか? 」
「いや違う。両利きだ。剣は右で銃は左でと決めておるのだ」
爺さんの変なこだわり。そう言えば出会ったばかりの時に銃を左肩に掛けてた気が。
確か没収される前だからノコタンは知らないだろうけど。

「ノコタン? 」
「ゲン…… いや何でもない。ただの偶然さ。ははは…… 」
汗を掻いて焦ってる感じがするノコタン。何か変だ。
そう言えばノコタンは銃に敏感だったな。
そうか…… 可哀想に昔の嫌な記憶が蘇ったのだろう。
「無理するなノコタン」
そう言って急いで店を出うようとするもノコタン自身が止めてしまう。
あーあもう遅いか。これはまずかったかな?

「はい問題ありません」
「そうか。それなら良いのじゃ。では頼む」
「喜んで! まさか本物のハンターの方であらされますか? 」
店員は商売上手なのか煽ててもっと買わせようとしている。
きっとその手には乗らないんだろうな? この爺さんケチだかさ。

「ははは! 隠せんか? 確かに地元では五本の指に入る名手であったぞ。
そしてサウスポーでは一番じゃな。何と言っても他に左利きはいないからな」
「そんな謙遜なさらずとも…… 」
「いやいや事実だからな。しかも何十年もの間そうであったわ」
気持ち良くなった爺さんは何も考えずに自慢ばかり。
しかし時と場所を選ぶべきだな。
もう俺だって確信している。
ノコタンの話に出て来たハンターは恐らくこの爺さんだ。

ノコタンは怒りに震えている。
俺はリーダーとしてどう振る舞えばいいかもう分からなくなってきた。
そう言えば夢占いではそんな感じのことを言っていたような。
二人が決闘する夢を見たような気がする。正夢になるのか?

チーム・スターフィッシュ崩壊の予感。
うおおお! 俺は本当にどうすればいいのか?

翌日。
キャピタル駅から一駅のニューキャピタル駅へ。
大体歩いて約十五分。宿からも約二十分。
ニューキャピタル駅七時二十分発ハイマウンテン行きの列車に乗る。

ゴールドエクスプレスに対抗してど田舎エクスプレスとの愛称で呼ばれる。
ど田舎エクスプレスは定刻を十五分遅れて発車した。
さあこれで後は終点までゆっくりしていればいい。

「いや…… 本当に人はおらんのう」
昨日と比べて天と地ほどの差がある。
あの激しさも癖になるがな。
でもやっぱり二度と経験したくないよ。
爺さんはいつも通り寛いでいる。
それに対してノコタンは元気がない。
まさか…… 爺さんへの復讐を果たそうとしてるのか?

どうすればいい? 
アトリにはノコタンを励ますように言っておいたが上手く行った様子がない。
ここはアトリに頼るしかないのに。
ノコタンがトイレに立ったところでアトリに確認。
「大丈夫なのか? 」
「大丈夫ですよご主人様。いつもと変わりませんよ」
アトリはそう言うがやっぱり心配なんだよな。

こうしてど田舎エクスプレスは間もなく終点のハイマウンテン駅へ。
乗車中は爺さんとノコタンが会話を交わすことはなかった。
車内は徐々に重々しい雰囲気に包まれた。

                   続く
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